「大菩薩峠」(その5) [映画(邦画)]
今回は、東映のリメイク・シリーズの第2作について記します。
東映リメイク・シリーズ第2作「大菩薩峠 第二部」
作品データを記しておくと、1958年の東映京都の作品で、時間は105分、原作は中里介山、監督は内田吐夢、脚本は猪俣勝人と柴英三郎の2人、撮影は三木滋人、美術は鈴木孝俊、音楽は深井史郎である。また、助監督として大西秀明、倉田準二、本田達男という名前がある。そして出演は、片岡千恵蔵、中村錦之助、長谷川裕見子、月形龍之介、浦里はるみ、丘さとみ、山形勲、岸井明、木暮実千代、市川小太夫、里見浩太郎、加賀邦男、星美智子、東千代之介、片岡栄二郎、左卜全、上田吉二郎、沢村貞子、河野秋武、香川良介、植木義晴、水野浩、阿部九州男、楠本健二、赤木春恵、熊谷武、石丸勝也、尾上華丈、原京市、小田部通麿、加藤浩、島田秀雄、橋本平八、藤木錦之助、南方英二、遠山恭二、七条友里子、たちである。
物語としては前作の続きである。天誅組の残党狩りで追われた竜之助は、目を潰されたものの、何とかして脱出して、紀州竜神の池に近くでお豊の助けで傷を癒していた。そんな中、竜之助はお豊の亭主・金蔵を斬ったことで、伊勢古市に身を隠す。一方、お豊は竜之助の治療費を稼ぐために旅篭の備前屋に住み込んで働くが、そこに宿泊した旗本・神尾主膳に体を奪われたことで自害した。お豊の遺書を預かった芸人の娘・お玉は竜之助を訪ねようとするが、神尾主膳の印籠を愛犬が加えていたことから犯人扱いされる。それを曲芸師・米友が助け、お玉を逃がした。そして竜之助はお玉によって、お豊の死を知る。で、江戸に向かうことにした。途中で神尾主膳の妾・お絹に拾われた竜之助だったが、清水の山中でお絹を狙う者によって谷底に転落。が、薬売りのお徳に助けられた。やがて、お徳によって竜之助に人間らしい心が蘇ってきたが、竜之助のいた村に神尾主膳がやってきた。路銀を手に入れようとする神尾主膳に、竜之助は反発して家来を殺すが、これによって再び竜之助に「人を斬りたい」という思いが蘇えることになった。神尾主膳はそんな竜之助を家来として迎え入れ、甲府に向かった。が、神尾主膳にはある企みがあった...
前作の続きであるが、竜之助が人間的に変わっていく姿がじっくりと描かれているということで、なかなか重厚なドラマを見せてくれている。そんな中、前作からの因縁のある登場人物と、本作のみの登場人物とか入り乱れて物語が進んで行くことになるが、前作と次作の三部作を続けて見ないと苦しくなってしまいますね。(が、片岡千恵蔵が物語に引き込んでくれるので、続けて見たくなるので、宜しいかと...)
↓前作と次作
BIG COUNTRY『STEELTOWN』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1984年に発表された彼らの2nd.アルバムである。デビュー・アルバムから『In A Big Country』という大ヒット曲が生まれていることで知られている彼らであるが、本国イギリスでは、それが収録されている1st.アルバムよりも2nd.である本作の方がチャート上ではより上を記録している。(イギリス以外では1st.アルバムの方がより大きなヒットを記録している。)本アルバムはイギリスではNo.1の座を獲得しているが、アメリカではBillboardで最高位72位というように、前作と比べると寂しい規模のヒットであった。
収録曲はオリジナル版では全10曲であったが、1996年にリマスターされたときに5曲のボーナス・トラックが追加左例、現在では全15曲の収録となっている。後ろの5曲がボーナス・トラックであって、収録曲は以下の通りである。『Flame Of The West』『East Of Eden』『Steeltown』『Where The Rose Is Sown』『Come Back To Me』『Tall Ships Go』『Girl With The Grey Eyes』『Rain Dance』『Great Divide』『Just A Shadow』。(以下がボーナス・トラックとなる。)『Bass Dance』『Belief In The Small Man』『Prairie Rose』『Wonderland [12" Version]』『Winter Sky』。
この中からシングル・カットされたのは3曲である。いずれもがイギリスではチャートインしているが、アメリカではチャートインしていない。まずは『East Of Eden』がイギリスで最高位17位、2nd.シングルの『Where The Rose Is Sown』が最高位29位、3rd.シングルの『Just A Shadow』が最高位26位を記録した。
お薦め曲は、シングル曲である『East Of Eden』と『Just A Shadow』、そして『Flame Of The West』とアルバム・タイトル・ナンバーでもある『Steeltown』をピックアップしておく。
スコティッシュなサウンドは健在であって、彼ら独特のサウンドを突き進んでいて、前作よりもロック色が強くなり、完成度としては上っている。それだけに、ロック・ファンであればじっくりと堪能しておくタイ所であるが、アメリカでは広く受け入れられなかった。(社会的なメッセージ色が強くなったという影響もあるでしょうが...)これは『In A Big Country』のインパクトがそれだけ強烈だったということになって、アメリカでは「一発屋」というレッテルが貼られてしまったのが残念な所である。
'80's前半のU2や彼らは独特のサウンドを奏でていたが、'80'sロック・ファンであればしっかりとチェックしておきたいアルバムの一つである。
ケータイ刑事銭形命10話[裏ネタ編]PART 5 [ケータイ刑事]
「銭形命」の第10話「美しき脚本家たち ~美脚連殺人事件」の「裏ネタ編」の5回目となる今回は、中江が口にした言葉から「誘導尋問」について、「証拠」についてと、「隠滅」について、「捏造」について記します。
また、BS-TBSの本放送時に記した記事は「ここをクリック」してご覧下さい。
「誘導尋問」:「尋問」とは、尋ね問うこと、問い糾すことである。但し、単なる質問ではなくて、官憲などの質問のことを指す。(普通に尋ねることであれば「質問」と言い、学会や会議などでは「質疑」と言うが、それらでは「尋問」とは呼ばれることはない。)警察官が行う「職務質問」(「不審尋問」)と、裁判所で行われる尋問とがある。英語では「Questioning」「Examination」「Interrogation」「Inquisition」などと言う。
「誘導尋問」は、それらの尋問の際、尋問者(=質問をする方)が自分の欲する供述を得ようとして、期待するような供述が行われるように誘導する尋問のことを言う。(この場合、冤罪に繋がることが多くなる。)しかし、誘導尋問は法律では制限されていて、法的には被尋問者は保護されている。(が、現状と言うと、そうでもないため、冤罪事件が発生することにもなっている。)
英語では「Leading Question」または「Loaded Question」と言う。また、「誘導尋問をする」というのは「Lead」と言う。
「証拠」:「証明の根拠」を縮めた言葉であるが、現在では一般名詞になっている。事実認定を行う際、そのよりどころとなる根拠のことである。また、裁判に於いては、法律を適用する事実の有無を確定する材料となるものであって、これを積み重ねていって事実認定を行い、判決を下すことになる。
英語では「Evidence」または「Proof」と言うが、「Evidence」はデータとしての証拠のことを指していて、それを積み重ねていったものを「Proof」と言う。よって、裁判では「Evidence」を積み重ねていって事実の認定を行うが、認定されたものが「Proof」となり、判決に使われるものは「Proof」を用いて行われることになる。
証拠にはいくつかのものがある。事実を認定するための資料として提供されるものが人である場合(証言など)を「人的証拠」と言い、資料が物や書類である場合(事件では指紋や遺留品などがこれに該当する。)を「物的証拠」と言う。また、人の供述によるものを「供述証拠」と言い、そうでない証拠のことは「非供述証拠」という。更に、直接的に事実を証明する証拠を「直接証拠」と言い、間接的に事実を証明する証拠(目撃証言などはこれに該当することになる。)を「間接証拠」と言う。
裁判では、証拠があってこそ成り立つものであるため、訴訟に於いてはこれが命となる。よって、「証拠不十分」というような事件では、公判が維持できないために不起訴となることがある。
「隠滅」:存在していた物事を跡形無く消して無くしてしまうこと、または完全に隠してしまうことである。これを行うことで、存在していたものを存在していないものにしてしまうことになる。(が、何かとボロは出るものであって...)一般には「湮滅」または「堙滅」と表記するのだが、「湮」と「堙」という漢字は共に常用漢字ではないため、法律の世界では「隠滅」と表記することになっている。(→法の世界で使用する「隠滅」という表記が実質的には一般的な表記となっている。)
尚、この物語に於いて、中江が行った「証拠隠滅」というのは、物的証拠となるノートに記されているものを隠した行為ということになる。
「捏造」:慣用的には「ねつぞう」と読んでいるが、元々は「でつぞう」と読んでいた。事実ではないことを事実のように仕立て上げること、または事実のように流布することを言う。類義語としては「でっち上げ」「作り話」「嘘」「虚構」「フィクション」という言葉がある。英語では「Fabrication」と言う。
三流週刊誌であれば、たいていの記事はこれによるものというのが一般的な認識である。また、駅売りの某スポーツ紙に掲載されている記事は、誰もがこれだという認識でいるのが常識になっている。(まあ、「フィクション」としたら話のネタにはなりますが...また、よくもまあ想像力が働くものだと感心してしまいますが...)
また、これまでにも、捏造された事件として知られているものがいくつかある。たいていは、権力者が政敵を追い落とすために行われたというものである。
中江が口にした「証拠捏造」とは、そういう証拠が無いのに、証拠となるようなものを事実であるかのように作り出した、ということを指摘しているものである。が、真犯人の言動に於いては、このような発言はよくあることである。(実際、「ケータイ刑事」では同じような台詞を真犯人が口にしたことが多いですね。また、中には捏造したことがバレたことが動機となった事件もいくつかありました。)
言うまでも無く、捏造は犯罪行為ということになるものが多い。(例えば、詐欺の類は基本的にあり模試無い話を捏造したものが殆どである。(振り込め詐欺はその典型的なものである。))また、貨幣の捏造(=偽造)というものも、貨幣でないものを本物の貨幣のように仕立てるということで、「捏造」ということになる。(当然、貨幣の偽造は重大な犯罪である。→近年では、複合機(コピー機)の普及もあって、紙幣をカラーコピーするという事件が増えている。例えそれを使用する意図が全く無くても、紙幣をコピーする行為は立派な紙幣偽造事件となって、犯罪行為となり、検挙されることになる。)
↓参考まで
ちょっと大人の誘導尋問―恋愛関係、人間関係、仕事関係を知る心理常識
- 作者: 渋谷 昌三
- 出版社/メーカー: 青春出版社
- 発売日: 2000/05
- メディア: 単行本
世界史未解決事件ファイル 「モナ・リサ贋作疑惑」から「アポロ11号着陸捏造疑惑」まで (PHP文庫)
- 作者: 日本博学倶楽部
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2006/08/02
- メディア: 文庫