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BONNIE TYLER『FROM THE HEART: GREATEST HITS』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは2007年にリリースされたベスト盤である。これまでにも数多くベスト盤がリリースされている(彼女の場合は、オリジナル・アルバムの数よりもベスト盤の数の方が多いということになっている...)が、1枚もののベスト盤で内容的に充実したアルバムは意外と少ない。そんな中、本ベスト盤は初期の作品から全盛期の作品など、バランスの良い選曲がされているアルバムということでお薦めのベスト盤である。(当然、収録時間も十分に長い。)尚、本ベスト盤は彼女の本国・イギリスではチャートで最高位31位を記録したのをはじめ、アイルランドでは2位、ニュージーランドでは26位を記録するなど、人気が健在であると言うことを知らしめたアルバムでもある。

収録曲は以下の全17曲である。『Total Eclipse Of The Heart』『Lost In France』『Faster Than The Speed Of Night』『It's A Heartache』『Have You Ever Seen The Rain?』『Holding Out For A Hero』『Loving You Is A Dirty Job (But Somebody's Gotta Do It)』『Rockin' Good Way (To Mess Around And Fall In Love)』『In My Life』『Making Love Out Of Nothing At All』『(The World Is Full Of) Married Men』『More Than A Lover』『If You Were A Woman (And I Was A Man)』『Streets Of Little Italy』『You Won't See Me Cry』『Louise』『Si Demain... (Turn Around)』。

強いて言うと、東京音楽祭でグランプリを獲得した『Sitting On The Edge Of The Ocean』も収録しておいてほしかったところであるが、『Total Eclipse Of The Heart』のフランス語バージョンである『Si Demain... (Turn Around)』が収録されているところは嬉しいところである。(名曲はいつの時代でも名曲である、ということを教えてくれる曲でもあって、『Total …』は1983年の大ヒット曲であるが、『Si …』は2003年のフランスでNo.1ヒットになっている。)

曲の構成は年代順でもなく、代表的な曲を中心にして、強弱のメリハリを付けた構成となっているが、あくまでも看板となっているのは『Total Eclipse Of The Heart』である。(この曲は彼女の最大のヒット曲である。)日本では『Holding Out For A Hero』の方がより知られていることを思うと、違和感を感じるかも知れないが、世界的な認識では正しい構成である。

彼女のボーカルはハスキー・ボイスであって、女ロッド・スチュワートと呼ばれたこともあったが、パワフルで迫力のあるボーカルは実に魅力的である。そんなボーカルをたっぷりと堪能出来るだけに、本ベスト盤はお薦めである。数多くのベスト盤がある彼女であるが、ライブラリーに加えましょう!

 

From the Heart: Greatest Hits

From the Heart: Greatest Hits

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony/BMG
  • 発売日: 2007/02/19
  • メディア: CD


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BON JOVI『7800°FAHRENHEIT』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1985年に発表された彼らの2nd.アルバムである。前作のデビュー・アルバムのような勢いは無くなってしまったこともあって、評価は今一つであるが、日本ツアーでの成功を受けて、日本に対する感謝の気持ちを込めた曲『Tokyo Road』が収録されていて、日本ではアメリカよりも評価が高いアルバムである。一応、本アルバムはBillboardのアルバム・チャートで最高位37位、イギリスでは最高位28位を記録しているが、日本では最高位5位を記録している。

収録曲は以下の全10曲である。『In And Out Of Love』『Price Of Love』『Only Lonely』『King Of The Mountain』『Silent Night』『Tokyo Road』『The Hardest Part Is The Night』『Always Run To You』『(I Don't Wanna Fall) To The Fire』『Secret Dreams』。

この中からシングル・カットされたのは4曲である。大ヒットという所までは延びなかったものの、そこそこのヒット曲が2曲生まれていて、『Only Lonely』はBillboardで最高位54位をも『In And Out Of Love』は最高位69位を記録している。また、『The Hardest Part Is The Night』はイギリスでは最高位68位を記録している。4th.シングルの『Silent Night』はチャートインしていない。

お薦め曲は、シングル曲からは『Only Lonely』と『In And Out Of Love』を、そして『Price Of Love』『Always Run To You』に加えて、冒頭が『さくらさくら』のメロディで始まる『Tokyo Road』も忘れずにピックアップしておきます。

一般的に本アルバムは失敗作だったと言われているが、それでも本アルバムは全世界で250万枚のセールスを記録している。この数字は彼らの発表したアルバムの中では下から2番目である。(最低は2009年の「THE CIRCLE」であるが、このアルバムは世界のCDマーケットがDLに取って代わっていることもあって、同列での数値比較は出来ない。)が、「失敗」で250万枚のセールスは記録できない。それだけに、もっと評価されても良いと思うのですがね...

ただ、確かに1st.アルバムと比べると、スケールダウンしていて、小さく纏まってしまったという印象はある。が、本作を「失敗」という認識で捕らえて、それを後に生かしたからこと、世界的な大ヒット・アルバムが生まれたということも出来る。ということで、彼らのキャリアに於いては、セールス的には今一つ伸びなかったものの、重要なアルバムになったことだけは事実である。改めて聴いて、再評価して貰いたいアルバムの一つである。→本アルバムの「SPECIAL EDITION」が2010年5月にリリースされる(された)が、これには1985年の日本ツアーから『In And Out Of Love』と『Only Lonely』、そして1990年のリオ・デ・ジャネイロでのライヴ・バージョンの『Tokyo Road』という3曲がボーナス・トラックとして追加されることになっている。ということで、少しは再評価されたということですかね...?

 

7800° Fahrenheit

7800° Fahrenheit

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Polygram International
  • 発売日: 1999/02/09
  • メディア: CD

7800ファーレンハイト(紙ジャケット仕様)

7800ファーレンハイト(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
  • 発売日: 2007/12/26
  • メディア: CD

 

↓SPECIAL EDITIONはこちらです。(日本盤は6月リリースです。)

7800 Degrees Fahrenheit: Special Edition

7800 Degrees Fahrenheit: Special Edition

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Mercury
  • 発売日: 2010/05/31
  • メディア: CD

7800 Fahrenheit: Special Edition

7800 Fahrenheit: Special Edition

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Island
  • 発売日: 2010/05/11
  • メディア: CD

7800°ファーレンハイト+ライヴ・トラックス(紙ジャケット仕様)

7800°ファーレンハイト+ライヴ・トラックス(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルインターナショナル
  • 発売日: 2010/06/23
  • メディア: CD


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BEST HIT USA 2010[2010/5/25] [音楽(etc.)]

今回もこれというものがなくて、面白くなかったですね。しかも、またまたがあったということで、相変わらず三流のヘボ・スタッフしかいないズタボロな内容でした。(嘘については、当然ながらBS朝日にクレームを送っておきました。)

時間の無駄遣いでしかないOP-PVは2005年のJACK JOHNSON『Sitting, Waiting, Wishing』、OP挨拶に続いて、主題が何かが分からないような話を始めて、グダグダと喋っている内にCAROLE KINGとJAMES TAYLORの名前が出てきて主題が分かり、2007年のライヴでCAROLE KING & JAMES TAYLORの『You've Got A Friend』、続いて「HOT MENU」でJACK JOHNSONについて語り、『You And Your Heart』でした。続いて「COUNT DOWN USA」の20位から11位の発表、CMを挟んで「STAR OF THE WEEK」はJUSTIN BIEBERで、インタヴューと『Baby』(名義はJUSTIN BIEBER featuring LUDACRIS)、「C/D USA」の続き(10位から4位の発表)、CMを挟んで「大いなる伝説」といういつみのつまらないものが続く。

そして「TIME MACHINE」のコーナー(今回も内容的には薄かったですね...)は5/25ということで以下の5件が紹介された。

1965年:THE KINKSが初の大規模なツアーを行い、ロンドンでのライヴでギタリストのDAVE DAVIESが盛り上がってドラムセットに突入し、シンバルに当たって気絶し、ライヴが途中で中止となった。意識は直ぐに回復したが体中に怪我を負ったため、残りのツアーは全てキャンセルされた。1973年:CAROL KINGが故郷・ニューヨークのセントラルパークで無料コンサートを開催した。この日の観客は10万人だった、1978年:THE WHOがドキュメンタリー映画「THE KIDS ARE ALRIGHT」の撮影のためにロンドンのクラブでファンだけを集めたシークレット・ライヴが行われた。またこのライヴはKEITH MOONにとっては最後のライヴとなった。(彼は1978/9/7にアルコール依存症の治療のための薬の過剰摂取のために急死してしまう。)1985年:WHAM!の『Everything She Wants』が全米シングル・チャートで1位を獲得した。2週連続1位となり、1985年のBillboard年間シングル・チャートでは24位にランクインしている。(『Careless Whisper』が年間1位、『Wake Me Up Before You Go-Go』が年間3位、『Freedom』が年間76位にランクインしていることを考えると、この曲は陰に隠れてしまっているのですがね...)1996年:SUBLIMEのBRADLEY NOWELLがドラッグの過剰摂取で死亡しているのが発見された。享年28歳。

5/25が誕生日のアーティストとして紹介されたのは以下の3人でした。MILES DAVIS(1926年生まれ、享年65歳)、SCORPIONSのKLAUS MEINE(1948年生まれ)、PAUL WELLER(1958年生まれ)。が、「」というのはこの部分であり、MILES DAVISの誕生日は5/25ではなくて5/26である。1日違いということで、おそらく「5」と「6」とを見間違えたという初歩的なミスをしているのだろうが、その嘘を堂々と放送する三流スタッフ(二重三重のチェック体制が取れないバカ)は追放して貰わないと...(ここ1年でかなりの回数の嘘に達しているだけに...)

また、筆者のデータベースに名前がある5/25が誕生日のアーティストは以下の通りです。BILLY MURRAY(1877年生まれ)、KAZI NAZRUL ISLAM(1899年生まれ)、HAL DAVID(1921年生まれ)、KITTY KALLEN(1922年生まれ)、BEVERLY SILLS(1929年生まれ)、TOM T. HALL(1936年生まれ)、JESSI COLTER(1943年生まれ)、JOHN PALMER(1943年生まれ)、PIERRE BACHELET(1944年生まれ)、DAVID P. SARTOR(1956年生まれ)、SUGAR MINOTT(1956年生まれ)、CARRIE NEWCOMER(1958年生まれ)、GLEN DROVER(1969年生まれ)、JAMIE KENNEDY(1970年生まれ)、DAZ DILLINGER(1973年生まれ)、FRANK KLEPACKI(1974年生まれ)、LAURYN HILL(1975年生まれ)、SANDRA NASIĆ(1976年生まれ)、JOE KING(1980年生まれ)、RASHEEDA(1981年生まれ)、KOSTAS MARTAKIS(1984年生まれ)、MARION RAVEN(1984年生まれ)、LUCIANA ABREU(1985年生まれ)。

一方、紹介されたBRADLEY NOWELL以外の5/25が命日のアーティストとしては、SONNY SHARROCK(1994年没、享年53歳)、LAXMILANT S. PYARELAL(1998年没、享年61歳)、JEREMY MICHAEL WARD(2003年没、享年27歳)、DESMOND DEKKER(2006年没、享年64歳)、CAMU TAO(2008年没、享年30歳)、という名前があります。

今回はSCORPIONSの話から入って(現在、ラスト・ツアーで、終了したら解散するということも話していました。)、1984年の『Rock You Like A Hurricane』でした。そして「C/D USA」のTOP 3の発表を挟み、ラストのリクエストは1984年のCYNDI LAUPERの『Time After Time』でした。

次回のEPGの情報としては、元ガンズのカリスマギタリスト、スラッシュが登場!彼が思う理想なヴォーカリストは?25年ぶりの登場!?リック・スプリングフィールドが登場!、とあります。→日本語がおかしくない???

 

In Between Dreams

In Between Dreams

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Universal Island
  • 発売日: 2005/03/01
  • メディア: CD

Tapestry

Tapestry

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony Japan
  • 発売日: 1998/12/31
  • メディア: CD

To the Sea

To the Sea

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Republic
  • 発売日: 2010/06/01
  • メディア: CD
マイ・ワールズ~デラックス・エディション

マイ・ワールズ~デラックス・エディション

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルインターナショナル
  • 発売日: 2010/05/19
  • メディア: CD
My World 2.0

My World 2.0

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Island
  • 発売日: 2010/03/23
  • メディア: CD
Love at First Sting

Love at First Sting

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Toshiba EMI
  • 発売日: 1997/08/19
  • メディア: CD
She's So Unusual

She's So Unusual

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Epic
  • 発売日: 2000/11/23
  • メディア: CD

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ケータイ刑事銭形泪27話(2nd.14話)[裏ネタ編]PART 10 [ケータイ刑事]

銭形泪・裏ネタ編」も今回からは通算で27話となる2nd.14話の「BS初のミュージカル!! ~歌って踊って殺人事件(前編)」に突入です。この物語の「裏ネタ編」は過去にはPART 9まで記している(2009/7/18、19、20、22、23、25、26、27、29日付けで記しています。)ので、PART 10からということになります。今回はサブタイトルにある言葉から「ミュージカル」についてを、「・27話(2nd.14話)[裏ネタ編]PART 1」で記したものをベースにして加筆しました。

また、この物語について過去に記した記事については「ここをクリック」してご覧下さい。

ミュージカル」:英語では「Musical」と言うが、元々は「ミュージカル・コメディ」という言葉の省略形である。(現在ではそれ以外の意味も含んでいて、「ミュージカル・シアター」「ミュージカル・プレイ」「ミュージカル・コメディ」「ミュージカル・レビュー」という言葉の省略形という場合と、それらを含んだ総称としての意味がある。)

現代的な音楽劇の一つであって、音楽を中心にして、歌と台詞、ダンスとを結合させた演劇である。また、「ミュージカル・コメディ」と呼ばれたのは、初期のミュージカル作品の内容は喜劇というものが比較的多かったこともあるためである。(その後、喜劇の要素を廃した音楽劇と言うものが増えたこともあって、「ミュージカル」というのが普通になった。)演劇であるため、基本的には舞台(専用劇場を含む)で上演されるものである。

歴史的には、オペラがその原形となっているが、オペラと大きく異なるのは使用される楽曲と歌唱方法である。「音楽を使った舞台劇」という共通点があるが、それ以外は根本的に違っているため、完全にオペラとは別物として扱われていて、「ミュージカル」として独立した存在となっている。

特に異なっているのは、オペラはベルカント唱法が用いられているが、ミュージカルではポピュラー音楽と同じ発声法が用いられていること、オペラではクラシック音楽を楽曲に使用するが、ミュージカルはポピュラー音楽(ジャズ、ポップス、ロックなど)を楽曲として使用していることが大きい。また、ミュージカルでは歌だけでなくて踊り(ダンス)も見せ場の一つとなっている(この部分ではオペラよりもバレエに近いと言うことが出来る。)のと、庶民的な題材を取り上げているという特徴がある。ということで、クラシック音楽を中心としてオペラにはちょっと垣根が高いと感じるような人たちに対して、その垣根を取り払ったような感じにして親しみやすいものとしている。

ミュージカルが登場したのは1866年にアメリカで上演された「ブラック・クルック」が最初のミュージカルとされている。(オペラは16世紀末に誕生したとされているのでミュージカルよりも300年近く昔から存在していることになる。)その後、ニューヨークのブロードウェイを中心に上演されて、ヨーロッパでもロンドンのウエストエンドなどで上演されて、人気を博し、発展していくことになる。

また、ミュージカルが広く知られるようになったのは、1920年代終盤に、それまではサイレントだった映画に音声が付くことになり、トーキーが登場したことがある。(最初のトーキー映画は「ジャズシンガー」というミュージカル作品である。)映画が喋るだけでなく、音楽を使ったミュージカル映画が多数制作されるようになり、ミュージカルの人気が更に高まった。特に1930年代のフレッド・アステアとジンジャー・ロジャースのコンビによるミュージカル映画作品が大ヒットを記録したが、このコンビのミュージカル映画(ダンス映画)は余りにも有名である。(「空中レヴュー時代」「コンチネンタル」「トップ・ハット」「有頂天時代」「踊らん哉」「カッスル夫妻」などがある。)

その後、1940年代後半から1950年代はスター・システムによるミュージカル映画の全盛期となって、更にミュージカル映画の人気が高まり、各映画会社もこぞってミュージカル映画を製作することになる。特にMGMのミュージカル映画は人気を博し、他社を圧倒する人気となる。(この時代の作品では、アカデミー賞を受賞した「巴里のアメリカ人」「恋の手ほどき」等が特に有名であるが、MGMミュージカルはきりがないぐらいにヒット作がある。)

ミュージカル映画の全盛は舞台でのミュージカル作品の方にも波及して、新たな作品が生まれるが、映画の方もネタが付いてきたのか(?)、1950年代の後半になると舞台でヒットしたミュージカル作品の映画化ということが中心になっていく。これは1943年が初演で1955年に映画化された「オクラホマ!」が有名であり、この映画版が大ヒットしたことがきっかけとなり、次々とヒットした(舞台)ミュージカル作品が映画化されていった。そして1960年代には「サウンド・オブ・ミュージック」「マイ・フェア・レディ」「メリー・ポピンズ」「ウエストサイド物語」などの大作ミュージカル映画がヒットを記録している。また、大作ミュージカルはこれまでの映画界を支えていたスター・システムに取って代わるようになり、1960年代の映画界は大作主義へと変わっていくことにもなった。

しかし、大作主義は製作費を湯水の如く注ぎ込み、豪華な作品が多数を占めることになるが、全ての映画作品がヒットして興行的に成功するとは限らず、中には商業的に失敗する作品が出てくる。1本の製作費が莫大なものであるため、興行的失敗は映画会社の存続にまで影響し、豪華なミュージカル映画は影を潜めてしまった。(これが1970年代のミュージカル映画の暗黒の時代である。)

大作主義の時代で舞台でヒットしたミュージカル作品が次々と映画化されることで、舞台の方にも新たな動きが生まれることになっていく。特に60年代までの作品とは異なった視点に立った作品が生まれ、ミュージカルの中心地であるニューヨーク・ブロードウェイ以外の場所で上演されていた作品に注目されるようになる。特に70年代後半のロンドンのウエスト・エンドで上演されたミュージカル作品の「CATS」や「オペラ座の怪人」が大ヒットを記録したが、これらは新たなミュージカル作品として知られている。(これらの作品は劇団四季によって日本でも上演されて大ヒットを記録した。)また、「オペラ座の怪人」は以前にも映画化されたことがあったが、後に再び映画化されるまで至っている。

70年代は低迷したミュージカル映画であるが、1977年の「サタデー・ナイト・フィーバー」によってミュージカル映画が大きく変わり、再び盛り返していくことになる。この作品は、これまでのミュージカル映画というと、主役を務めるスターに頼っていたが、劇中で数多くのポピュラー音楽を使い、しかも曲の方はミュージシャンに任せるという形を採ったのだが、これが大当たりとなった。そしてこれをきっかけに、ポピュラー音楽のミュージシャンたちの音楽を使ったミュージカル映画が幅を広げていくことになる。また、これは80年代初期に登場したMTVと共に、ミュージシャンが映像作品(所謂PVというものです。)を作ることに向けさせることになった。そして、1983年の映画「フラッシュダンス」、1984年の映画「フットルース」の大ヒットで、主役の俳優はダンスを見せて、音楽はミュージシャンに任せるという形が定着することになる。また、これらの作品の豪華ミュージシャンたちが集まったオムニバス盤のようなサントラ盤が大ヒットを記録したことから、ミュージカル映画に限らずに映画と音楽の新たな形が定着することになった。

しかし、90年代になると'80'sの延長線上にあった作品が伸び悩むようになり、再び低迷するようになる。そんな90年代のミュージカル映画は、ディズニーのアニメ作品のミュージカル映画「美女と野獣」がヒットを記録したが、これは元々舞台劇のミュージカル作品でもあった作品であり、再び舞台劇のミュージカル作品が注目されることになる。そして2000年代になると「シカゴ」や「ドリームガールズ」をはじめとして、舞台でヒットしたミュージカル作品の映画化が再び盛んになった。(「歴史は繰り返す」と言うが、その言葉を証明する様な形で2000年代のミュージカルの柱となった。)

これまでにミュージカル作品は多数生まれているが、有名なミュージカル作品としては「ショー・ボート」「南太平洋」「王様と私」「サウンド・オブ・ミュージック」「マイ・フェア・レディ」「ウエストサイド物語」などの名前が出てくる。(人気投票をすると、上位にランクインする作品でもある。)また、これらの作品は舞台だけでなく映画化もされて、映画の方も大ヒットを記録した人気作品となっている。舞台の方は上演されていないと見る機会は無いが、映画の方はビデオソフトでもリリースされている(レンタルもある)ので、見る機会はイクラでもある。→一度は見ておきたい作品である。

尚、舞台で上演されるミュージカルと、その映画化作品である「ミュージカル映画」との間には、物語としては(基本的には)同じであっても、演出の違いをはじめ、表現の自由度の違い(映画の方が自由度が高い)がある。特に舞台では「場面(シーン)」の制約があるが、映画ではそれがないという違いがある。この違いを楽しむというのが舞台のミュージカルとミュージカル映画の違いでもある。(→そのため、同じ作品で遭っても舞台の「ミュージカル」と映画の「ミュージカル映画」は区別されていて、別物扱いされる。)それぞれの作品はその特徴を活かした演出がされているので、舞台は舞台で、映画は映画で、それぞれ楽しむというのが良いでしょう。

 

↓今回からはこちらになります。

ケータイ刑事 銭形泪 DVD-BOX 3

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  • 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
  • メディア: DVD

↓参考まで

知識ゼロからのミュージカル入門 (幻冬舎実用書)

知識ゼロからのミュージカル入門 (幻冬舎実用書)

  • 作者: 塩田 明弘
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2009/09
  • メディア: 単行本

華麗なるミュージカルの世界 (キネ旬ムック)

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: キネマ旬報社
  • 発売日: 2010/04/02
  • メディア: ムック

知ってるようで知らないミュージカルおもしろ雑学事典

知ってるようで知らないミュージカルおもしろ雑学事典

  • 作者: 石川 隆司
  • 出版社/メーカー: ヤマハミュージックメディア
  • 発売日: 2002/12
  • メディア: 単行本

進化するミュージカル

進化するミュージカル

  • 作者: 小山内 伸
  • 出版社/メーカー: 論創社
  • 発売日: 2007/12
  • メディア: 単行本

華麗なるミュージカル・ガイド―作品ガイド30選/俳優インタビュー (キネ旬ムック)

華麗なるミュージカル・ガイド―作品ガイド30選/俳優インタビュー (キネ旬ムック)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: キネマ旬報 社
  • 発売日: 2007/07
  • メディア: 大型本

ミュージカル洋画ぼくの500本 (文春新書)

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  • 作者: 双葉 十三郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/09
  • メディア: 新書

一冊でわかる ミュージカル作品ガイド100選

一冊でわかる ミュージカル作品ガイド100選

  • 作者: 瀬川 昌久
  • 出版社/メーカー: 成美堂出版
  • 発売日: 2001/12/10
  • メディア: 単行本

ブロードウェイ・ミュージカル (文春新書)

ブロードウェイ・ミュージカル (文春新書)

  • 作者: 井上 一馬
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1999/05
  • メディア: 新書

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空中レヴュー時代 [DVD]

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トップ・ハット [DVD]

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スイング・タイム<有頂天時代> [DVD]

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  • 出版社/メーカー: IVC,Ltd.(VC)(D)
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巴里のアメリカ人 [Blu-ray]

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巴里のアメリカ人 [DVD] FRT-080

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恋の手ほどき [Blu-ray]

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オクラホマ!(製作50周年記念版) [DVD]

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マイ・フェア・レディ スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

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サウンド・オブ・ミュージック 製作40周年記念版 (ファミリー・バージョン) [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
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メリーポピンズ スペシャル・エディション [DVD]

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ウエスト・サイド物語 コレクターズ・エディション [DVD]

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サタデー・ナイト・フィーバー 製作30周年記念版 デジタル・リマスター版 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

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フラッシュダンス & フットルース パック [DVD]

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美女と野獣 ― スペシャル・リミテッド・エディション [DVD]

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シカゴ [Blu-ray]

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ドリームガールズ スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]

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