「THE THIEF OF BAGDAD」(1978) [映画(洋画)]
表題の作品は1978年のイギリスとフランスの合作映画「バグダッドの盗賊」である。日本での公開は1979年3月であった。尚、本作は劇場公開されているものの、元々はTVムービーとして製作されたものであり、それなりのキャスティングがされているものの、作りとしてはTVムービーの範疇にあるため、劇場公開映画としてはB級作品であると言って良い。
作品データを記しておくと、時間は102分、原作はA・J・カロザース、監督はクライヴ・ドナー、脚本はアンドリュー・バーキン、撮影はデニス・ルイストン、音楽はジョン・キャメロンである。そして出演は、ロディ・マクドウォール、ピーター・ユスティノフ、カビール・ベディ、パブラ・ユスティノフ、テレンス・スタンプ、マリナ・ヴラディ、フランク・フィンレイ、ダニエル・エミルフォーク、イアン・ホルム、たちである。
サクハール国の国王が突然亡くなったと言うことで、クージ王子はその悲しみに暮れていた。そんな王子に、父王の忠臣だったアブ・バカールが、大臣のジョードゥールが王座を狙っているので注意するように忠告し、それを確かめようとした王子は、魔法使い・ジョードゥールの策略に填り、隣国のバグダッドに旅に出ることとなった。その頃、バグダッド国では、王が娘のヤズミン姫の婿を求めていた。ということで、誰もがその座を狙っていた。ということで、王子の一行は途中でジョードゥールの刺客に襲われる。ただ1人逃げることが出来た王子は、ジョードゥールの陰謀を悟り、奇術師・ハッサンの強力を得て、何とかバクダッドに辿り着き、居並ぶ各国の花婿候補たちを押しのけて、国王とヤズミン姫に気に入られた。が、「世界で一番価値のある物」を持ってきた者を姫と結婚させるということになり、みんなはそれを探し求める旅に出る。王子も旅に出るが、ハッサンとペリザーダの協力を得て、様々な障害を乗り込え、遂に正邪殿という寺にある水晶の透視眼を手に入れた。しかし、バグダッドへり帰路で、その透視眼をジョードゥールに奪われてしまう。が、王子は壷に閉じこめられていた大魔人を救ったことから、3つの願いを叶えて貰えることになり、その力でジョードゥールを倒し、ヤズミン姫との結婚を許されることになった。
物語としてはお馴染みの物語であるのだが、映像的にはのっぺらとしていて、臨場感が今一つということで、ファンタジックな印象が薄いのが残念な所である。キャスティングがそれなりに豪華なところがあるだけに、重ねて残念である。
ということで、B級作品として、色々と突っ込みながら見るといういじれる作品としてならば面白いが、物語を堪能するという作品としては失格である。(本作よりも38年も前に制作された1940年盤のイギリス映画の方がはるかに出来が良い。)
尚、本作は現在ではDVD化されておらず、ビデオでも目にしないが、LDではかつてリリースされていた作品である。LDでリリースされていた作品のDVD化(と言うよりもBD化)を望むところであるが、本作のような作品ではその可能性も残念ながらゼロに近いでしょうね...
↓出来の良い1940年版です。
PAUL DAVIS『SINGER OF SONGS - TELLER OF TALES』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1977年に発表された彼の5枚目のアルバムである。Billboardのシングル・チャート(Hot 100)に40週連続チャートインするという当時の記録(1982年にSOFT CELLに更新され、現在では歴代20位以下になっている)を樹立したヒット・シングルを含んだアルバムである。と言っても、チャート成績ということでは目立った記録を残していないのも事実である。(本アルバムはBillboardのアルバム・チャートでは最高位82位、カナダで最高位77位を記録しただけである。)一応、それまでに発表したアルバムの中では記録を更新している。(1981年に発表した7枚目のアルバム「COOL NIGHT」がキャリア・ハイでそれに次ぐ2番目の記録となる。)
収録曲は以下の全10曲である。『I Go Crazy』『I Never Heard The Song At All』『Darlin'』『Sweet Life』『Never Want To Lose Your Love』『Hallelujah Thank You Jesus』『I Don't Want To Be Just Another Love』『You're Not Just A Rose』『Bad Dream』『Editorial』。
この中からシングル・カットされたのは3曲である。1st.シングルの『I Go Crazy』は最高位7位を記録し、1978年の年間シングル・チャートでは12位にランクインし、カナダでは最高位4位を記録した。(カナダでは彼のシングル曲で最大のヒットになった。ちなみにアメリカでは2番目のヒットである。)また、この曲がBillboardのHot 100内に40週連続でチャートインした曲である。年間チャートでの順位が高いのはロング・ヒットになったためであるのは言うまでも無い。2nd.シングルの『Sweet Life』はBillboardで最高位17位、カナダで15位を記録、3rd.シングルの『Darlin'』はBillboardで51位、カナダで37位を記録している。
お薦め曲は、やはり『I Go Crazy』は絶対に外せない。と言うよりも、余りにも有名なこの曲のオリジナルとして聴くにはやはり本アルバムがベストである。(後に何人かのアーティストがカヴァーしているが、やはりオリジナルの彼のバージョンが最高である。)そして、シングル・ヒットを記録している『Sweet Life』、SUSAN COLLINSとのデュエットであるジングル曲の『Darlin'』、それ以外からは『I Never Heard The Song At All』と『Bad Dream』をピックアップしておく。
カントリーからブルー・アイド・ソウルという所に分類される彼であるが、本アルバムはソフト・ロックやA.O.R.と言っても良いサウンドを聴かせている。当時はA.O.R.の走りとなるいくつかのアルバムが発表された時期でもあって、彼もその中の一人でもある。そして、世の中のディスコ・サウンドの大ブームに埋もれながらも'80's初頭にかけてのA.O.R.ブームに繋がることになり、その立役者の1人でもある。ただ、彼の場合は、A.O.R.のシンガーでもあるが、カントリー系のシンガーソングライターとしての才能を発揮していただけに、そちらでのイメージが強いのもまた事実である。
しかし、彼が残した楽曲の中でも『I Go Crazy』は1981年の『Cool Night』と共に歴史に残る名曲であることに変わりはない。ということで、じっくりと聴き込みましょう。
尚、彼は2008/4/22(60歳の誕生日を迎えた翌日である。)に心臓発作で突然亡くなってしまったが、本当にそれが残念である。
Singer Of Songs - Teller Of Tales
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Wounded Bird
- 発売日: 2009/10/11
- メディア: CD
ケータイ刑事銭形雷26話[裏ネタ編]PART 5 [ケータイ刑事]
「銭形雷」の第26話の「さよなら、トミー! ~ひょっこりひょう多もん島殺人事件(後編)」についての「裏ネタ編・増補」の4回目となる今回は、岡野さん救出のところで出てきた事柄から、「サイレン」について、「おんぶ」について、根井署長たちを逮捕する所に出てきた「笠」について、署長が口にした言葉の「袋の鼠」について、そしてこの物語では1年前に殺された警官の名前あった「間宮林蔵」について記します。尚、「サイレン」については「愛・10話[裏ネタ編]PART 2」で記したものをベースにして加筆しました。
また、BS-iの本放送時に記した記事は2006/6/25付けで、MBSでの放送時に記した[改訂版]は「ここをクリック」(ここにはBS-i本放送時に記した記事へのリンクもあります。)してご覧下さい。
「サイレン」:大きい音を発する装置のことである。但し、火薬などを爆発させて音を発するというものではなく、空気を特別な構造物に送り込んで音を出すものである。「警笛」または「警報」と言う場合もある。
サイレンを使って発せられる音は、他人に注意を与えるために使われるものであって、空襲警報を知らせるのに使用されたり、救急車、パトカー、消防車などの緊急車両に設置されている。それ以外では、甲子園の高校野球の試合開始/終了時などに鳴らされる。
仕組みは簡単なものであり、円周上に等間隔に小孔を開けた2枚の円盤を重ね合わせ、そのうちの1枚の円盤を回転させ、そこに空気を送ることによって音が出る。(2枚の孔が重なった時だけ空気が噴出し、その空気圧によって音が出る。)→そのため、サイレンというと手回しハンドルが付いている。(当然、手回しではないものもありますが...)これはフランスのカニャール・ド・ラ・トゥールが1819年に発明したものである。
「サイレン」の語源は、ギリシャ神話に登場する半人半鳥(上半身が女性、下半身が鳥という姿をしている。)の海の怪物(魔女)のセイレーン(Seiren、日本語表記では「サイアレン」「サイレン」と記される場合もあり、また「セイレーネス」と呼ばれることもある。)である。セイレーンは船の航路上にある岩礁から美声で船人を誘惑し、その船を難破させて死に至らせる怪物として知られている。
英語では「Siren」、ドイツ語では「Sirene」、フランス語では「Sirène」、イタリア語とスペイン語では「Sirena」(但し、発音は異なる)、中国語では「警笛」と言う。
「おんぶ」:背負うことである。漢字で表記すると「負んぶ」と記す。元々は「おぶう」と呼んでいたが、発音が転化して「おんぶ」と言うことになった。
英語では「Piggyback ride」、ドイツ語では「Huckepack」、フランス語では「Sur le Dos」、イタリア語では「Sulle Spalle」、スペイン語では「Cuestas」、中国語では「背」と言う。
「笠」:雨、雪などを防いだり、直射日光を遮るために頭に被る道具である。「被り笠(かぶりがさ)」と言うこともある。(一般的にはこの意味で使われる。)尚、同じ目的で使用される「傘」は、頭に被るのではなくて頭上にかざすものである。(役目は同じであるが使い方が異なっていて、それによって「笠」と「傘」と言うように同音異字で区別される。)
それ以外では、笠の形をした道具のことを指す。(例えば、石灯籠の上部、ランプの上部、上下逆向きになっているが照明器具の覆いなどを「○○の笠」と言う。)更に、上部を覆うと言うことから「お椀の蓋」のこと、「筆の鞘」の別名でもある。
素材は檜板、竹、藺草などであるが、大別すると「塗笠」と呼ばれるものと「陣笠」と呼ばれるものとがある。前者は主に女性が使ったものであり、薄く剥いだ「へぎ板」と呼ばれるものに和紙を貼り、その上から漆を塗ったものである。一方、後者は(主に)竹で網代を組み、その上に和紙を貼り、墨で染め、更に柿渋を塗ったものである。これは防具として使われたため、足軽兵たちが主につかったものである。
英語では「Conical Asian Hat」、ドイツ語では「Schatten」、フランス語では「Chapeau Chinois」、イタリア語では「Cappello a Cono di Paglia」、スペイン語では「Sombra」、中国語では「斗笠」と言う。
「袋の鼠」:「袋の中の鼠」と言うこともある。袋に入れられた鼠はそこから出ることが出来ないことから、逃げることが出来ない状態のことを言う。
言葉上では、逃げることが出来ないことであるが、現実世界では、追い込んだことで「袋の鼠」と思ったが、その状態からまんまと逃げられてしまうということが実際にある。(この物語でも署長がそう言ったが、逆に雷ちゃんに逮捕されることになりましたし...)その原因は様々であるが、よく言われる原因としては「慢心」があるとされている。ということで、物事を殺っている場合は最後まで気を抜かずにやり遂げるようにしなければならない、ということである。
「間宮林蔵」:江戸時代後期の冒険家であり、かつ、幕府隠密である。生まれは1775年で、常陸の国(現在の茨城県)出身、農民の子である。冒険家としては間宮海峡(彼の名前に因んで命名された。しかし、ロシア、中国などでは「タタール海峡」と呼んでいる。)を発見したことで知られており、幕府隠密としてはシーボルト事件(1828年)を密告したとされている。
江戸に出て地理学を真謎、幕府の命令で蝦夷地に渡る。測量中は日本地図を作ったことで知られる伊能忠敬から測量術を学び、後に蝦夷地や択捉島の測量を行っている。更に、1808年には幕府の命令で樺太(サハリン)に渡り、樺太の探検、更にシベリアに渡ってアムール川にあるとされていたデレンという町に至り、その周辺の調査を行った。この時、樺太が島であることを確認していて、一連の調査内容は「東韃地方紀行」に記した。→これが間宮海峡の発見者ということの証拠となった。
帰国後幕府に復命し、以後は幕府隠密として各地の調査活動を行っている。そんな中、シーボルトが帰国する際、日本国外に持ち出すことが禁じられていた品(日本地図など)が所持品の中にあったことから、それを贈った複数の人物が処分され、シーボルトも国外追放のうえ再渡航禁止という処分になった。間宮はシーボルトから彼に宛てられた手紙を当時の規定に従って提出し、それによって事件が発覚した。よって、シーボルト事件は間宮が密告したとされている。
晩年は体力の衰えから隠密としても行動できなくなり、1844年に没した。
間宮林蔵・探検家一代―海峡発見と北方民族 (中公新書ラクレ)
- 作者: 高橋 大輔
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2008/11
- メディア: 新書
まぼろしのデレン―間宮林蔵の北方探検 (日本傑作絵本シリーズ)
- 作者: 関屋 敏隆
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 2005/01/01
- メディア: 単行本