「DÉTECTIVE」 [映画(洋画)]
表題の作品は1985年のフランス映画「ゴダールの探偵」である。日本での劇場公開は1986年5月であった。パリにあるホテルを背景にして、過去に起きた殺人事件とそれを追う探偵たちを中心にした、様々な人間たちのドラマである。
作品データを記しておくと、時間は98分、監督はジャン・リュック・ゴダール、脚本はジャン・リュック・ゴダール、アラン・サルド、フィリップ・セトボンの3人、撮影はブルーノ・ニュイッテン、音楽はピエール・ガメである。そして出演は、ジョニー・アリディ、ナタリー・バイ、クロード・ブラッスール、ローラン・テルジェフ、ジャン・ピエール・レオ、アラン・キュニー、ジュリー・デルピー、エマニュエル・セニエ、オーレル・ドアザン、ステファン・フェラーラ、ピエール・ベルタン、グザヴィエ・サン・マカリー、たちである。
パリの一流ホテル・コンコルド・サン・ラザール。2年前に事件が起こり、それを調査していた探偵のウィリアムはホテルに雇われて監視していたが、その最中に事件が起き、犯人を挙げられずにクビになっていたが、犯人逮捕の意欲は衰えず、ホテルの一室に居住して、刑事で甥のイジドールと共に今でも事件を追っていた。しかも彼らにはイジドールの従姉妹のアリエルとアンヌという2人の若い女の同居人もいて、イジドールとアリエルは恋人関係にあった。また、ホテルのロビーにはパイロットのエミール夫妻がいて、このホテルの一室に住んでいるボクシングのプロモーター・ジムと会うことになっていて、貸している金を回収しようとしていたが、2人の関係は既に冷めていた。一方、ジムは、タイガーというボクサーを抱えていて、し合いのプロモートを行っていたが、借金がかさんで苦しんでいた。そのため、イカサマ試合を仕組もうとしていた。また、彼は過去にマフィアの4000万ドルという金を横領していたため、マフィアに狙われていた。そのマフィアのボスは家族を連れてこのホテルに宿泊していて、ジムを監視していた。
そんな4組の人物たちが複雑に絡み、錯綜していく関係の中、ゲーム感覚で繰り広げていくことになる。そして、2年前の事件の真相が明らかになっていくが、新たな殺人事件がまたホテルの近くで起こってしまい...
ゴダール流のフィルム・ノワールであって、色々と面白いところのある作品である。登場する4組の人間関係が次第にはみ出していってとんでもない方向に進んでいくことになっていく所が本作の面白い所である。
ただ、その本作の面白さが十分に理解されていないことから、本作を難解な作品として、低い評価しかしていないものを時に目にすることがあるが、そんなに難しい作品とは思えず、登場人物の関係を丁寧に追っていけば、色々と楽しめるのですがね...
ケータイ刑事銭形愛20話[裏ネタ編]PART 6 [ケータイ刑事]
今回からの「銭形愛・裏ネタ編」の増補は第20話の「聴くと必ず死ぬレコード ~呪いの賛美歌殺人事件」に突入です。(以前にPART 5まで記しているので、PART 6からということになります。)で、今回はサブタイトルにある言葉から「聴く」について、「レコード」について、「呪い」について、「賛美歌」について記します。尚、「レコード」は「舞・2話[裏ネタ編]PART 7」で、「呪い」は「海・28話(3rd.2話)[裏ネタ編]PART 9」で、「賛美歌」は「愛・20話[裏ネタ編]PART 1」で記したものをベースにして、それぞれ加筆しました。
また、この物語について過去に記した記事は「ここをクリック」してご覧下さい。また、この物語に対する過去に記した裏ネタ編は2009/5/31、6/1、3、4、6付です。
「聴く」:「聞く」という表記もあるが、「聞く」は耳に感じて認めるという意味であり、「聴く」はその内容を理解しようととて積極的に「きく」という意味という細かい違いがある。(左耳から入って右耳から出るというような場合は「聞く」であり、学校の授業・講義や音楽鑑賞、更にはテレビやラジオのニュース、朗読などは「聴く」というのが正しい漢字と言うことになる。一方、騒音の場合は理解することはないので「聞く」と言うことになりますね。)
音(原語、声、音などの空気の振動などを全て含む。)に対して聴覚器官が反応し、それを知覚することをいう。これには、自然と入ってくる場合も含まれることになる。
その他、他人の言葉を受け入れて、その語っている意義を人と期すること、他人から伝え聞くこと、聞き入れること、などという意味がある。
英語では「Listen」、ドイツ語では「Höre Zu」、フランス語では「Écoute」、イタリア語では「Ascolto」、スペイン語では「Escucha」、ポルトガル語では「Escute」、中国語では「聽」と言う。
「レコード」:「記録」という意味の「Record」から来ている言葉であり、音楽(音声)を録音してあって、プレーヤーで再生する音盤のことを言う。特に断りがなければ、ビニール系の樹脂をプレスすることで大量生産される音楽を記録したレコード盤(LPレコード、EPレコード、更にそれらが登場する前の主流だったSPレコード)のことを指す。現在では、CDをはじめとするデジタル記録されたものが主流になっていることから、「アナログレコード」と言われるようになっている。(CDも音楽を録音したということでは「レコード」(「デジタル・レコード」)であることから、それと区別するための言い方でもある。)
歴史は古く、原理的なものはフランスのレオン・スコットが1857年に発明した「フォノトグラフ」である。(但し、これは再生装置が無かったため、実用には至っていない。)実用化された物の最初のものは、1877年にエジソンが発明した「フォノグラフ」である。これは錫箔を貼った真鍮の円筒に音を針によって記録するというものである。(後に、紙筒に蝋を塗って作られたことから「蝋管式」と呼ばれるようになる。)後に世界的に普及した円盤式のものは、1887年にエミール・ベルリナーが発明した「グラモフォン」である。音を記録した円盤が、円筒式の筒よりも複製がしやすいこと、収納性が良いことなど、円筒式よりもメリットが多かったことから、円筒式を駆逐することになる。
また、78回転のSPレコード(SPは「Standard Playing」の頭文字である。)が登場すると、これがスタンダードなものとなり、世界中に普及することになる。その後、モノラル(1ch)だったものがステレオ(2ch)になり、回転数が33回転、直径30cmのLPレコード(1948年に登場、LPは「Long Playing」の頭文字である。)と、回転数が45回転で直径17cmのEPレコード(1949年に登場、EPは「Extended Playing」の頭文字である。)が登場することになった。
LPは文字通り、長時間の再生を目指したものであり、SPでは片面の記録時間が5~6分というのが一般的な時間であったのを20~30分程度を目指したものである。一方、EPは主にジュークボックスでの利用を目指したものであって、収録時間としてはSPと大差はない。そのため、時間的な部分での用途を分担することになったため、LPとEPとがレコードの世界では共存することになった。(アルバムとシングルという形で使い分けられた。)
尚、レコード盤の直径は、SPは30cm、LPは30cmと25cm、EPは17cmである。また、アナログ・レコード盤のことを「ディスク」というが、この「ディスク」の綴りは「DISK」である。(最近はほぼ目にしなくなったフロッピーディスクのディスクは「DISK」、CD、DVD、BDなどの光ディスクは「DISC」である。)
それ以外では、記録されたものということから「世界記録」などのように、競技などの成績で最高のものという意味もある。
英語、イタリア語では「Record」(但し、発音は異なる。)、ドイツ語では「Aufzeichnung」、フランス語では「Dossier」、スペイン語では「Registro」、ポルトガル語では「Registro」、中国語では「唱片」と言う。
「呪い」:「詛い」と表記することもある。(「鈍い」も「のろい」と読むが、これは「動作が遅いこと」という意味であって、全く別の意味である。)
相手に対して禍害を及ぼすことを意図して、思念して行われる呪術的な行為のことである。一般的には霊的な手段にすがり、祈祷を行ったり、呪文を唱えることで行われる。そのため、呪術や魔術などに繋がり、邪道とされる宗教(密教)のように発展したものもある。(俗に「黒魔術」と呼ばれるものがこれに該当する。)そういうものの中には神霊を召還して(悪意を持った)願いを祈祷するというものもある。
「呪い」は古くから世界共通で存在するものである。但し、宗教や文化的な違いから、そのスタイルは異なっている。しかし、「恨み」という感情は宗教や文化的なスタイルには関係なく、人間であれば同じように持つ感情であり、そこから生まれた恨みは、何らかの悪意を持って相手が不幸になることを祈祷する、というものは世界で共通している。そして、それが「呪術」というものとして生まれ、西洋ではこれが悪魔崇拝も生まれている。(悪魔崇拝は、悪魔の力にすがり、その強大な力を借りて(悪意に満ちた)思念が成就するように祈祷するものである。)日本でも「呪いの藁人形」や「丑の刻詣り」という形の呪いが生まれている。
尚、神霊が行う似たものとして「祟り」と呼ばれるものがあるが、「祟り」は神霊が人間に対して禍を与えること、またはその災いのことであって、人が祈祷を行ったり、呪文を唱えて行うものではない。(あくまでも、神霊の方から一方的に与えられるものである。)
また、「呪術」は一般的には悪意は関係なく、良いことが起こるように祈祷するもの(例えば「雨乞い」や「おまじない」と呼ばれるものには悪意は全くなく、良いことが起こるように祈るものである。)も含まれるが、「呪い」には「悪意」があることが前提であるため、「呪術」の中でも悪意のあるものに限られる。
ところで、全く意味の違う「呪」という漢字と「祝」と言う漢字には共通点がある。字形を見ると「つくり」が「兄」というのが同じであるが、元々はこの2つの言葉は「人が神前で祈りの言葉を唱えること」という意味である。(「のりとを告げる」という意味である。)(→単語家族とよばれているものであって、「呪」と「祝」は兄弟文字である。)が、「祝」は「幸い」を祈る場合にのみ使われるようになり、「呪」は「不幸」を祈る場合にのみ使われるようになって、全く異なる意味を持つようになった。
神話、童話、物語などの世界にも「呪い」は色々な形で登場している。ギリシャ神話などに登場する異形の怪物は、神の怒りに触れて異形の怪物にさせられた(呪いを掛けられた)というものが多く存在している。また、童話の世界では魔法使いによって姿を変えられたり、眠らされたりするというものが多数ある。(物語の世界では、やはり洋の東西を問わず、多くの例がある。有名なのは「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「白雪姫」などが知られている。)
英語では「Curse」または「Malediction」という言葉で呼ばれる。(「Malediction」には「呪いの呪文」という意味もある。)また、ドイツ語では「Zauberspruch」、フランス語では「Charme」、イタリア語では「Incantesimo」、スペイン語では「Hechizo」、ポルトガル語では「Feitiço」、中国語では「詛咒」と言う。
「賛美歌」:「讃美歌」と表記されることもある。(読みは「さんびか」であって、同じである。)
キリスト教に於いて、集会の時や礼拝の時に歌われる歌であり、神を讃える歌のことである。特にプロテスタントを中心とした西方教会で用いられる宗教歌のことを指す。(東方教会(正教会、東方諸教会)の奉神礼に用いられる歌などは「聖歌」と呼ばれるが、ポジション的には同じものである。)
古くは旧約聖書の詩編などもこれに該当するということで、長い歴史があるものである。しかし、宗派によっても賛美歌は異なっている。また、曲名に「聖歌」という言葉が入っているものが多い。(「クリスマス・キャロル」も賛美歌の1つである。)
有名な賛美歌の一例を記しておくと、『アメイジング・グレイス』『神は愛なり』『きよしこの夜』『ダビデの村に』『御使いうたいて』『めさめよわがたま』『わが主のみわざは』等がある。(その他、曲名に「賛美歌」や「聖歌」という文字が入っているものが多数ある。)
英語では「Hymn」「Psalm」「Anthem」「Carol」などの言い方があり、ドイツ語では「Hymne」、フランス語では「Cantique」、イタリア語では「Inno」、スペイン語では「Himno」、ポルトガル語では「Hino」、中国語では「讚美歌」と言う。
カラー版 大人のためのアナログレコードの愉しみ方 (COLOR新書y)
- 作者: 角田 郁雄
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2011/10/06
- メディア: 新書
レコード・バイヤーズ・ダイアリー―レコード・バイヤー内門洋の華麗なる海外買い付け日記
- 作者: 内門 洋
- 出版社/メーカー: リットーミュージック
- 発売日: 2006/08
- メディア: 単行本
レコード・コレクターズ 2012年 08月号 [雑誌] (-)
- 作者:
- 出版社/メーカー: ミュージックマガジン
- 発売日: 2012/07/14
- メディア: 雑誌
EDGAR WINTER GROUP『SHOCK TREATMENT』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1974年に発表された彼らの4枚目のスタジオ・アルバムである。(ライヴ・アルバムが1枚あるので、通算では5枚目のアルバムになる。)前作の大ヒットでブレイクした彼らが、その勢いに乗って製作したアルバムであり、彼らのアルバムの中でも人気の高い作品である。邦題は「恐怖のショック療法」と付けられていた。チャート成績は、Billboardで最高位13位を記録している。
収録曲は以下の全11曲である。『Some Kinda Animal』『Easy Street』『Sundown』『Miracle Of Love』『Do Like Me』『Rock & Roll Woman』『Someone Take My Heart Away』『Queen Of My Dreams』『Maybe Someday You'll Call My Name』『River's Risin'』『Animal』。
この中からシングル・カットされたのは3曲である。1st.シングルの『River's Risin'』はBillboardで最高位33位を記録、2nd.シングルの『Easy Street』は同83位を記録している。3rd.シングルの『Someone Take My Heart Away』はチャートインしなかった。
お薦め曲は、ヒット・シングルの『River's Risin'』と『Easy Street』、それ以外からは『Some Kinda Animal』『Miracle Of Love』『Rock & Roll Woman』『Animal』という所をピックアップしておく。
本アルバムは、ロック・サウンド、ファンキー・サウンド、更にバラードまで、音楽の幅が広く、しかもそれらが高い次元で、たっぷりと聴かせくれるものとなっている。そして、言うまでもなく、完成度が高い。
チャート成績では彼らのキャリア・ハイではないが、内容としては完璧と言っても良く、彼らのアルバムの中でも傑作として知られている作品であるだけに、聴くしかないですね。たっぷりと堪能しましょう!
「ケータイ刑事」と「007」の驚くべき類似点(その273) [ケータイ刑事]
今回のテーマは「墓穴を掘った男」です。(このテーマでは、該当するものが結構たくさんありますが、その中からの一例ということにします。)で、取り上げる物語は、「ケータイ刑事」からは「海・2nd.7話」、「007」からは前回に続いてまたも「ドクター・ノオ」です。
「ケータイ刑事」:「海・2nd.7話」。「暗闇の殺人者! ~銭形海VS完全犯罪の男」という物語。「ケータイ刑事」のサブタイトルは「…○○事件」という形が殆どである(1クールに1本程度である。)が、「銭形海」ではこれを破るものが他のシリーズよりも多く、この物語はそれを代表する物語である。
連続ひったくり犯が横行する中、新進の純文学作家で現役東大生の藤川紀之(ふじかわ・のりゆき)が殺された。五代さんは、連続ひったくり犯の犯行という線を考えるが、状況から海ちゃんはそれを否定した。で、交友関係を洗っていき、藤川と同様に現役東大生推理作家の豊島圭太の所を訪れた。犯行時刻のアリバイがないと認める豊島だったが、逆に「都会の一人暮らしで、これ見よがしに(深夜の)アリバイがあったら、逆におかしいと思いますけど」と反論された。
一旦引いた海ちゃんは、豊島と藤川は同じ現役東大生作家ということでライバル関係にあり、仲が悪かったということを知る。で、再び豊島の所に行って話を聞く。が、豊島は逆に海ちゃんに挑戦するような口ぶりで海ちゃんに反論する。そして持論として「散々知恵を絞ってトリックだ、アリバイ工作だ、と余計なことをするからボロが出て名探偵に捕まる訳でしょう、全く馬鹿げている」と語り、「実際の殺人事件で迷宮入りの確率が最も高いパターンは行きずりの衝動殺人」ということを語り、目撃者がいなければ、アリバイもトリックもいらず、完全犯罪となり、自分が人を殺すならその手段を見逃さない」と豪語した。そして、自分を疑うのなら、それ相応の証拠を掴んでからにしてくれ、と言って海ちゃんを論破した。
またも引いた海ちゃんは、五代さんの助言もあって、基本に返って徹底的な聞き込みを行った。しかし収穫はなかった。そんな中、現場の街頭の蛍光灯が切れていたことが分かり、海ちゃんは豊島の犯行を照明するある方法を思いついた。
海ちゃんは豊島を呼んで、「確認したいことがあります。実は目撃者がいるんです」と切り出した。で、「私たちにつきあって下さい」と言って、豊島をある場所に連れていく。
しかし、豊島が先を歩き、その後ろを海ちゃんと五代さんが歩いていくというような豊島が先導する形を採った。豊島は歩きながらひったくり犯のことを尋ねるが、海ちゃんは「無関係」と語り、犯行当時、街頭の蛍光灯が切れていたことから、ひったくり犯を装うという偽装工作を指摘した。しかし豊島は「犯人に聴いてみたらどうですか」と適当に返していた。
やがて、豊島が先導して、一行は事件現場のガート下に到着した。海ちゃんは「藤川さんを殺害したのはあなたですね」と告げたが、豊島は笑いながら「随分話が飛躍するね。俺が犯人だって証拠は見つかったの?」と余裕で返した。すると海ちゃんは「言ったはずですよ。目撃者がいるって」と返した。それを疑う豊島だったが、海ちゃんの後ろから三宅巡査が走ってやって来た。そして、三宅巡査が目撃者だと言った。しかし、暗闇だったことから豊島が、「(自分の)顔をはっきり見たのか?」と問うと、三宅巡査は「いいえ、見てはいません」と答えた。すると「それじゃあ目撃証言として使えないんじゃないの」と海ちゃんを小馬鹿にしたように言ったが、海ちゃんは口上を述べた豊島を捕らえた。そして「彼には、私たちの行動を目撃して貰ったんです」と言って説明を始めた。
自分たちはここに来るまで、豊島の先導という形で歩いてきたが、三宅巡査はそれを証明できると語った。で、「現場は見ていない」と証言しておきながら、迷わずに事件現場に辿り着いて矛盾点を指摘した海ちゃんに、豊島は「くっそう。やられた」と填められたことに気づいた。海ちゃんは無意識に豊島を事件現場に来させるという罠を用意して、豊島はそれに自ら填まったのだった。ということで、理論的に海ちゃんを凹ませていた豊島は、無意識の行動によって自ら墓穴を掘ってしまったのだった。
「007」:「ドクター・ノオ」。(日本初公開時のタイトルは「007は殺しの番号」であって、リバイバル公開の時に「ドクター・ノオ」に改められた。)1962年の記念すべきシリーズ第1作である。シリーズの中ではダントツの低予算作品である。(本作のヒットによって、次作からは予算が10倍になった。)が、それでも当初の予算を大幅にオーバーしている。とは言っても、世界的にヒットしたことで、予算をはるかに超える興行成績を収めたのは言うまでもない。
ジャマイカ支局との連絡が途絶えたことで、ボンドが調査のために派遣された。ボンドはジャマイカ支局のストラングウェーズの足取りを調べる。で、ストラングウェーズが失踪した直前にいたキングズ・クラブで一緒だったデント教授の元にもボンドは話を聞きに言った。
デント教授は治金学者であって、地元に研究所を持っていた。しかし、彼はドクター・ノオの組織の一員であって、ドクター・ノオの活動に興味を持ちすぎた人物を抹殺するという役割を秘密裏に担っていた。
ストラングウェーズが失踪したと聞いたデント教授は、「秘書と駆け落ちした」と適当なことをボンドに話してその場はお茶を濁した。しかし、ボンドは、ストラングウェーズが、デント教授の研究所の発行した領収書を発見し、ストラングウェーズが何かの調査をデント教授に依頼したことに気づいた。
デント教授は、ストラングウェーズがクラブ・キーで拾った放射性の岩石の調査を依頼したことが発覚することを恐れ、昼間は来ることを禁じられているクラブ・キーに渡り、ドクター・ノオに恐れながら報告した。それまでにボンドの暗殺に失敗していたこともあって、ドクター・ノオはデント教授を叱責し、毒蜘蛛をデント教授に授けると、ボンドを消すことを改めて命令した。
デント教授はボンドのホテルの部屋に毒蜘蛛を忍ばせて暗殺しようとしたが、失敗する。続いて、ドクター・ノオのスパイである仲間のミス・タロの家にボンドを招いて消そうとしたが、ボンドはミス・タロを逮捕して当局に引き渡してしまった。
デント教授は自らミス・タロの家に向かい、ボンドを消そうとして、ベッドに向かって消音器を付けた銃で撃ったが、それはボンドが作った人型だった。で、ボンドに簡単に射殺されてしまった。
最初のボンドの訪問時に、余計な一言(「駆け落ち」)を口にしたことが墓穴を掘ることになり、ボンドに何かあると気づかせてしまい、更に臆病風を吹かせたことが全て破滅へ進ませていき、雑魚の殺し屋としてボンドに消されてしまった。
共通点は、頭脳派の人物(「ケータイ刑事」では現役東大生の推理作家、「007」では研究所を持っている治金学者)が、何気ない日常の行動の中でボロを出してしまい、それが墓穴を掘ることになったということであるのだが、共に主人公(銭形/ボンド)との会話をしている時にそれを出したということである。(言い換えると、主人公の話術に落ちたということになる。)そして共に人を殺している(デント教授は劇中では人を殺害した所は描かれていないが、ストラングウェーズ殺害の指揮を執っているので殺害したということになる。)という所である。
一方、相違点としては、「ケータイ刑事」では、その人物は主人公(=銭形)に逮捕されただけであるので生存しているが、「007」では主人公(=ボンド)によって殺されているということである。また、「ケータイ刑事」では行動で墓穴を掘ったが、「007」では言葉で墓穴を掘ることになった。
次回も今回と同様に「ある物(できごと)」をテーマにして記す予定です。何が登場するのかはお楽しみに。
ドクター・ノオ (デジタルリマスター・バージョン) [DVD]
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- メディア: DVD
ドクター・ノオ (アルティメット・エディション) [DVD]
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- メディア: DVD