「ENEMY MINE」 [映画(洋画)]
表題の作品は1986年のアメリカ映画「第5惑星」である。日本での劇場公開は1986年5月であった。21世紀末、宇宙に進出した地球人の物語である。とゎ作品でありながら、人間ドラマと言った趣の強い作品である。
作品データを記しておくと、時間は109分、原作はバリー・ロングイヤー、監督はウォルフガング・ペーターゼン、脚本はエドワード・クマーラ、撮影はトニー・イミ、特撮はILM、音楽はモーリス・ジャールである。そして出演は、デニス・クエイド、ルイス・ゴセット・Jr.、リチャード・マーカス、ブライオン・ジェームズ、バンパー・ロビンソン、キャロリン・マコーミック、たちである。
時は21世紀末、地球人は宇宙へ進出していたが、現在はドラコ星人との間で壮烈な戦争状態に突入していた。そんな中、ドラコ星人の戦闘機が宇宙ステーションを襲撃してきた。ダヴィッジはそれを迎撃し、敵機の撃墜させたが、彼の機も損傷を受けてしまい、不毛の惑星フィラインIVに不時着した。が、奇しくも彼が撃墜させた敵機も同じ星に不時着していた。それを発見したダヴィッジは、戦死した戦友の仇を討つために敵に接近し、襲撃したものの、失敗して捕らえられてしまう。そのドラコ星人はジェリヴァ・シーガンと名乗ったが、生き抜くには協力せざるを得なかった。そこから2人は交流していき、互の言葉を学び、一緒に暮らすようになった。しかし、まもなくダヴィッジはこの生活に嫌気が指して、助けを求めに出て行ってしまう。そして採掘場でドラコ星人の骸骨を発見し、地球人がドラコ星人を奴隷にして採掘させていたことが分かる。で、ダヴィッジは戻って来た。しかしシーガンの様子がおかしかった。というのは、ドラコ星人は雌雄同体でセックスなしに子供を産む種族であって、シーガンは妊娠していたのだった。ダヴィッジはその赤ん坊をとりあげた。シーガンはその子をザミスと名付け、ダヴィッジに、ザミスは名門の出てあること、ドラコの長老の前につれて行ってほしいと頼むと息絶えた。数年後、ダヴィッジはザミスを育てていた。ある祖、地球の宇宙船が飛来した。それは採鉱者の宇宙船であって、ドラコ星人を奴隷として労働させていた。そしてザミスが囚われてしまい、ダヴィッジが救出に向かった。しかし宇宙軍に発見され、ダヴィッジは死体として宇宙葬にされる処置が決まる。難とか脱出したダヴィッジは、戦闘機を奪い、ザミスを救出し、ドラコ星人を解放した。そして、これがきっかけで地球人とドラコ星人との間の戦争は終結した。ダヴィッジはシーガンとの約束を果たすため、ザミスをドラコ星人の長老の前につれて行った。
宇宙を舞台にしたSF作品であって、星間戦争が行われているというように、SF作品の定番の形の物語が進んで行くと思ったら、突然、人間ドラマとなる意外な展開が何とも言えないところである。更に、それは人種間での対立、奴隷問題などを訴えていて、社会派ドラマの要素も含むことになる。このため、SF大作と言うことを期待すると裏切られた様に感じられるが、SFを使って訴えた所が上手いところである。
異色のSF作品であるが、本作を通して伝えているメッセージを汲み取ることの出来る人間ドラマとして、じっくりと考えるべき所のある作品として捉え、しっかりと見ておくべきである。(娯楽指向の方はお帰り願った方が...)
ケータイ刑事銭形海35話(3rd.9話)[裏ネタ編]PART 3 [ケータイ刑事]
「銭形海」の第35話(3rd.9話)「女子高生刑事はケータイ電話の夢を見るか ~銭形海の悪夢」の裏ネタ編・増補の2回目となる今回は、冒頭で海ちゃんの身の回りにあったものから「『老人と海』」について、「紅茶」について、「ペンギン」について、「ぬいぐるみ」について、「ソファ」について記します。尚、「紅茶」は「愛・3話[裏ネタ編]PART 7」で、「ペンギン」は「海・33話(3rd.7話)[裏ネタ編]PART 10」で、「ぬいぐるみ」は「零・25話(2nd.12話)[裏ネタ編]PART 7」で、「ソファ」は「零・21話(2nd.8話)[裏ネタ編]PART 2」で記したものをベースにして、それぞれ加筆しました。
また、この物語について過去に記した記事(MBS放送時に記した[改訂版])は「ここをクリック」してご覧下さい。BS-i(当時)での本放送時に記した記事へのリンクもあります。また、この物語についての過去に記した裏ネタ編は2008/12/6付です。
「『老人と海』」:アメリカの作家・アーネスト・ヘミングウェイの代表作として知られている小説である。彼のキャリアでは晩年期の作品に分類されている。
1951年に執筆、1952年に出版された。海洋小説であって、世界的なベストセラーとなった。また、彼は1954年にノーベル文学賞を受賞したが、それには本作の影響が大きいとされている。
1958年には映画化されている。その作品は、日本でも1958年10月に劇場公開されている。作品データを記しておくと、原作はアーネスト・ヘミングウェイ、製作はリーランド・ヘイワード、監督はジョン・スタージェス、脚本はピーター・ヴィアテル、撮影はジェームズ・ウォン・ハウ、フロイド・クロスビー、トム・タットウィラーの3人、音楽はディミトリ・ティオムキン、出演は、スペンサー・トレイシー、フェリッペ・パゾス、ハリー・ビレーヴァー、たちである。
老人とカジキとの死闘を軸として、海に生きる一人の男の人生を描いた人間ドラマである。主演のS・トレイシーはアカデミー主演男優賞にノミネートされた。(受賞はならなかった。)また、撮影賞にもノミネートされたが受賞出来なかったが、劇・喜劇映画音楽賞は受賞した。
原題は、英語では「The Old Man and the Sea」、ドイツ語では「Der alte Mann und das Meer」、フランス語では「Le Vieil Homme et la Mer」、イタリア語では「Il vecchio e il mare」、スペイン語では「El viejo y el mar」、ポルトガル語では「O Velho e o Mar」、中国語では「老人与海」と言う。
「紅茶」:茶の葉を摘み取り、それを乾燥させ、更に発酵させるという工程によって加工した茶葉を用い、沸騰した湯で抽出した飲料である。(茶葉を乾燥させただけで発酵させなければ「緑茶」になる。)茶葉を発酵させることで茶葉が紅褐色になり、それを抽出した液体も紅褐色になる。で、その色から「紅茶」と名付けられた。
起源は中国であって、18世紀になってヨーロッパを中心にして広く飲まれるようになったものである。特にイギリスでは「午後の紅茶」(ティータイム)というのが上流社会で広く受け入れられ、伝統として今日にも受け継がれている。尚、日本に入ってきたのは幕末の時期である。但し、広く飲まれるようになったのは戦後である。
茶葉に含まれる成分は緑茶と特に変わらない(同じ茶葉であるため、当然と言えば当然である。)のだが、発酵させたことによってクロロフィルやタンニンが酸化され、そのため色が変わり、また、独特の芳香をゆうすることになる。また、抽出し茶湯は紅褐色になるため、紅色の茶ということで「紅茶」と呼ばれるようになった。
紅茶の茶葉の主な産地は、インド、スリランカ、中国、ケニア、トルコ、インドネシアなどである。現在では、日本茶(緑茶)などの緑茶を採るチャノキと、紅茶を採るチャノキとはそれぞれ別の品種に改良されているが、元々は同じチャノキで採られた茶葉が使われ、その茶葉の処理工程の違いが緑茶と紅茶の違いでしかなかった。
英語では「Tea」または「Black Tea」、ドイツ語では「Tee」、フランス語では「Thé」、イタリア語、スペイン語では「Tè」、ポルトガル語では「Chá」、中国語では「紅茶」と言う。
「ペンギン」:漢字では「人鳥」と記す。(和名が「人鳥」であることから、そのまま使われるようになった。)但し、普通は片仮名表示が使用されるため、漢字表記されることは殆ど無い。
鳥類ペンギン目に属する海鳥の総称である。現在は6属19種がいることが分かっているが、過去には更に多くの種が存在したとされている。主に南半球、南極を中心としたその周囲に生息している。(南極以外では、ガラパゴス諸島に固有種のガラパゴスペンギンが生息している。それ以外は世界各地の動物園で飼育されている。)
鳥であるが、空を飛ぶことは出来ない。しかし海中を自在に泳ぐ能力を有している。(翼が小さく、それが鰭のようになっているため、飛べないが泳げる。)泳ぐ速度は結構早く、時速36km/hほどに達する。また、陸上歩行する能力もある。(但し、早くは歩行できない。)
体長は50~100cm程度、体は紡錘型である。群棲していること、餌は海で魚などを補食することが知られている。(肉食である。)また、卵は1個~3個を産み、オスとメスで抱卵をすることで知られている。
英語では「Penguin」、ドイツ語では「Pinguin」、フランス語では「Pingouin」、イタリア語では「Pinguino」、スペイン語では「Pingüino」、ポルトガル語では「Pingüim」、中国語では「企鵝」と言う。
「ぬいぐるみ」:漢字では「縫い包み」と表記するが、「ぬいつつみ」と誤読されることがあるため、ひらがな表記が一般的に定着している。(「ぬいぐるみ」と「縫い包み」では、随分とイメージも異なり、堅苦しいもののように感じてしまいますし...)
広義では、中に物を包み込んで布を縫うこと、またはそのようにして縫られた物のことをいう。(漢字表記した場合は文字通りということになるが、この定義では「座布団」や「蒲団」なども含まれることになる。)一般的な認識では、そのようにして作られた物の中でも、動物など、若しくは特定のキャラクターの形に似せて作られた人形の類の玩具のことを言う。尚、布の中に入れる物としては、綿、賽の目状に細かくしたスポンジ、プラスチックのチップ、そば殻などが主に使われるが、キャラクターのぬいぐるみの場合は中に何が使われていようが関係なく「ぬいぐるみ」と言う。
世の中に登場した歴史は意外と新しく、1880年に発売されたテディーベアが最初に「ぬいぐるみ」として発売されたものとされている。それ以前にも、家庭内で母親が子どものために作った人形が存在していることが分かっているので、動物などのぬいぐるみもテディーベアの発売以前に数多く存在していたものと思われるが、はっきりしたことが分かっていないこともあって、テディーベアをぬいぐるみの祖としている。
大きさは、手で抱くことが出来るサイズ(20cm~30cm程度)のものが多いが、それよりも大きいものや小さいものも多数ある。特に人が全身で抱きつくことが出来るような大きなサイズ(一般的には1mを越えるサイズとされているが、特に明確な基準がある訳ではない。)のものは「抱きぐるみ」と呼ばれて、「ぬいぐねみ」と区別されている。
「ぬいぐるみ」の中には洗うことが出来ないものもあるが、そういうものでもオゾンで洗うことは可能である。または、中性洗剤を溶かした溶液を柔らかい布に付け、その布でぬいぐるみの表面を拭いてやり、続いて洗剤を溶かしていないぬるま湯を染みこませた布で、何度も拭いてやって洗剤を落とし、それからドライヤーなどを使って乾燥させてやれば、ある程度の汚れは落とすことが可能である。(間違っても洗濯機の中に入れて、他の洗濯物と一緒に洗濯をすることはしないように...)
英語では、動物のぬいぐるみが一般的であることから「Stuffed Animal」と呼ばれ、スペイン語でも「Animal de Felpa」と呼ばれる。しかし、ドイツ語では「Stofftier」、フランス語とイタリア語では「Peluche」(但し、発音は異なる)、ポルトガル語では「Brinquedo enchido」というように「動物」という意味の単語は使われずに「ぬいぐるみ」を意味する独立した単語がある。また、中国語では「絨毛玩具」と言う。
尚、演劇などで俳優が動物などに分する場合に着る特殊衣装のことも「ぬいぐるみ」と言うが、近年ではこれらは「着ぐるみ」と言うことが増えていて、「ぬいぐるみ」と区別される傾向が強くなっている。
「ソファ」:「ソファー」と表記されることもある。
洋風の椅子の一つである。背もたれがあって、座る部分にはクッションの利いている部材が使用されていることが特徴となっている椅子である。多人数が座れるように、長椅子状になったものと、主に1人掛け用のもの(これには両サイドに肘掛けが設けられているのが一般的で「アームチェア」と呼ばれる形をしていることになる。)がある。長椅子状の多人数用としては主に2~3人が並んで座れるものが一般的となっている。(病院の待合室、図書館、空港のロビーなどには更に多人数が座れるものもある。)
応接セットとして広く利用されているものでもあって、その場合は1人掛けのものが2つと2~3人掛け用のものが1つ、それらを向かい合わせに設置した間に設けるテーブルとがセットになっているのが一般的である。また、ホテルのロビーなどでは、2~3人掛け用ではなく1人掛けのものを4つとテーブルをセットとしていることもある。
普通の椅子と違うのは、くつろいで座るための椅子として作られていると言うことであって、クッションが利いているところである。(クッションが利いていないと、それは「ソファ」とは呼ばず、単なる「椅子」と呼ばれることになる。「泪・2nd.26話」で泪ちゃんが、ソファに座って「フカフカだ」と言っていたが、フカフカだからこそソファであって、フカフカがなければ、それは単なる「椅子(長椅子)」でしかない。
また、座り心地を優先して設計されるが、デザイン的にも凝ったものも多く、見た目も豪華に見えるように、装飾が施されているのも多い。(装飾が殆ど無くても、腰掛け部や背もたれ部に使われる布や皮に高級感のあるデザインが行われているものが多い。→但し、病院の待合室などではシンプルなデザインのものが一般的である。)
また、これはくつろぐための椅子であるが、椅子以外の機能を有しているものもあって、中にはベッドになるソファもある。(いくつかのタイプがあるが、下に折りたたみ式のベッドが収納されているもの、背部を倒すことでベッドになるものがある。→2~3人掛けのソファ(長椅子タイプ)であれば、そのまま横になれば、幅が狭いなどの問題はあるものの、一応はベッドとして使うことも出来ますし...)
英語とドイツ語では「Sofa」(但し、発音は異なる)、フランス語では「Fauteuil」または「Canapé」、イタリア語では「Divano」、スペイン語では「Sofá」、ポルトガル語では「Sofá」、中国語では「沙發」と言う。
老人と海―The old man and the sea 【講談社英語文庫】
- 作者: アーネスト・ヘミングウェイ
- 出版社/メーカー: 講談社インターナショナル
- 発売日: 1997/04/01
- メディア: 文庫
みんなが知りたいペンギンの秘密 なぜペンギンは北半球にいないの? 寒さが苦手なペンギンもいるってホント? (サイエンス・アイ新書)
- 作者: 細川 博昭
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2009/11/18
- メディア: 新書
はじめてのどうぶつぬいぐるみ (Heart Warming Life Series)
- 作者: 長谷川孝博
- 出版社/メーカー: 日本ヴォーグ社
- 発売日: 2011/08/18
- メディア: ムック
いつまでもきれいに! ぬいぐるみのお手入れ (NHKまる得マガジン)
- 作者:
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2012/04/28
- メディア: ムック
LORO 10―mono×MITSUI Designtec 座ってくつろぐ1・2・3私が選ぶソファSOFA・ソファ特集 (ワールド・ムック 848)
- 作者:
- 出版社/メーカー: ワールドフォトプレス
- 発売日: 2010/11/15
- メディア: ムック
FACES『FIRST STEP』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1970年に発表された彼らの1st.アルバムである。(分かりやすいタイトルですね。)言うまでもなく、蒼々たる顔ぶれが集まったバンドであって、このバンドとしてよりも、解散後の各人の活躍が余りにも凄いことでも知られている。何せ、そのメンバーというのはロニー・レーン、イアン・マクレガン、ケニー・ジョーンズにロッド・スチュワートとロン・ウッドが加わったのですからね。(UKロックがお好きな方であれば、誰がどんなバンドで活躍したかは説明不要ですよね。(そのため、ここでは省略します。))本アルバムは、そんな凄い顔ぶれの面々が集ったバンドの記念すべきデビュー・アルバムである。但し、最初のリリース時には、前進のバンド名義である「SMALL FACES」で発表され、後にバンド名が「FACES」となると、ジャケットの「SMALL FACES」の文字が「FACES」に改められた。
尚、本アルバムのチャート成績は、本国イギリスでは最高位45位、アメリカではBillboardで最高位119位を記録しているが、特に大きなヒットになった訳ではなかった。
収録曲は以下の全10曲である。『Wicked Messenger』『Devotion』『Shake, Shudder』『Stone』『Around The Plynth』『Flying』『Pineapple And The Monkey』『Nobody Knows』『Looking Out The Window』『Three Button Hand Me Down』。
この中からシングル・カットされたのは1曲で、『Flying』である。特にチャートインをすることはなかったが、彼らのデビュー・シングルとして曲名の方は有名である。
お薦め曲は、シングル曲の『Flying』、それ以外からは『Devotion』『Stone』『Around The Plynth』『Nobody Knows』『Looking Out The Window』という所をピックアップしておく。
サウンドとしても、本アルバムは「SMALL FACES」のものではなく、独自のものを出していて、後のヒットを記録した「FACES」のものともまた違った荒削りながらも大きな希望が感じられるロックを聴かせている。まさに、新たな形での船出に相応しく、アルバム・タイトル通りの第一歩(FIRST STEP)というものである。洗練されていない泥臭さがあるが、そういうものが本アルバムのエネルギーでもあって、魅力でもある。
ということで、後のFACESとしての原点であり、また、各メンバーにとっても一つの区切りのアルバムになるだけに、聴いておいて当然というアルバムである。たっぷりと堪能しましょう!(それにしても、R・スチュワートのボーカルも(当然のことながら)若いですね...)
「ケータイ刑事」と「007」の驚くべき類似点(その281) [ケータイ刑事]
今回のテーマは「トイレから流したもの」です。取り上げる物語は、「ケータイ刑事」からは「泪・2nd.11話」、「007」からは「リビング・デイライツ」です。
「ケータイ刑事」:「泪・2nd.11話」。「雨音は殺しの調べ ~男子三楽坊殺人事件」と言う物語。パロディ精神に満ちている物語で、当時人気のあった「女子十二楽坊」をパロディのネタにして「男子三楽坊」としているが、「女子」を「男子」にするというのはともかく、「12」を「3」に減らすという所が如何にも「ケータイ刑事」らしい所である。が、この「3人」というのはミステリーでは何かと扱いやすい数字でもある。低予算と言うことを逆手に取り、しかも泪ちゃんは3代目ケータイ刑事であるなど、何かと面白いことが積み重なった物語である。
女子高生の間で凄い人気となっている音楽ユニットの男子三楽坊。日本の伝統的な楽器でポップスとかも演奏し、メンバーは超イケメンということで、ミーハーな泪ちゃんはらしい所を見せていた。そんな所に、男子三楽坊のメンバーの2人(三味線の猫田仙三(ねこた・せんぞう)、和太鼓の堤大悟(つつみ・だいご))が行方不明になったという知らせが届き、泪ちゃんと高村さんは男子三楽坊の事務所に向かった。
男子三楽坊のリーダー・竹本尽八(たけもと・じんぱち)に話を聞くが、彼は話をする相手の顔をジット見つめながら話をした。高村さんは「彼の視線、行きすぎた好意を感じるよ」と言っていたが、泪ちゃんはそれを「気にしすぎですよ、自意識過剰過ぎます」と一蹴した。
やがて、脅迫状が届き、身代金として一億円を要求してきて、取引場所が指定されていた。売れっ子の男子三楽坊ということで、直ちに一億円が用意されて、指定場所の水無月公園に行こうとするが、竹本はトイレに寄ることを求め、トイレを経由してから公園に向かった。
公園には第二の指示書が置いてあり、それに従って身代金の入ったスーツケースを公園の池に沈めたが、犯人は来なかった。1時間経過した時、竹本は「もう少し待ってみましょう」と言い、2時間経過しても犯人が現れないので、スーツケースを引き上げてみることにした。が、中に入っていた一億円は消えていた。
高村さんは、犯人は池の中に隠れていた、と言うが、池から誰も出てきていないため、泪ちゃんはそれを一蹴し、公園を引き上げることにした。
事務所に戻ってくると、犯人からの新たなメッセージが届いていて、一億円は受け取ったということと、2人の居場所も記されていた。で、その場所に向かった泪ちゃんたち。
そこは廃屋であって、一部の壁や床が壊れていた。そして、そこに堤と猫田の姿があったが、堤は既に死んでいて、猫田は意識を失っているものの無事だった。
意識を回復した猫田に話を聞き、状況、犯行時刻などが分かる。で、泪ちゃんは、この事件は竹本の自作自演だと見抜いた。が、竹本は一億円をどうやって奪ったかを尋ねる。これに泪ちゃんは、公園に行く前にトイレに寄り、氷が入ったスーツケースと取り替えた。氷が入っていることで重量のことを誤魔化し、池に沈めて長時間待ったことで氷が解けてなくなり、犯人が奪ったというトリックを作った。で、トイレを調べればということで調べるが一億円は出てこなかった。
これに泪ちゃんは「流したんですね、トイレに」と結論を出した。高村さんは「そんなバカな、一億円だよ、一万円じゃないんだよ」と驚き、竹本も「一億円を捨ててまでどうして偽装誘拐なんて...」と言うが、泪ちゃんは「CDが売れまくっているあなたにとって、一億円なんて大した額じゃない。最初から殺人が目的だった」と言い、提の殺害が目的だったと結論づけた。
これにアリバイを主張した竹本。最初はそれを見抜けなかった泪ちゃんだったが、そのトリックも解き、竹本の犯行と、一億円をトイレに流した事実が判明した。
竹本は、耳が聞こえないことを隠していたが、その秘密を隠すために読唇術を身につけた。が、提がその秘密に気づいて引退を求めた。そのため、提を殺したのだった。
犯罪の証拠を消すためとは言え、一億円をトイレに流したというのは売れっ子スターだから出来ることとはいえ、余りにも普通ではないものがトイレに流されたのでした。
「007」:「リビング・デイライツ」。1987年のシリーズ第15作であって、4代目ボンドのデビュー作である。3代目からバトンを受け継いで、「若さ」を前面に出した作品になり、アクションにも力を入れた作品となったが、日本ではT・ダルトンが蟹江敬三に似ているということから、今一つボンドのイメージと違うという声もある作品である。が、イギリスではT・ダルトンは、原作のイメージに最も近いとダイアナ妃(当時)が語ったことから人気を得たというなど、「所変われば…」ということを感じさせた物語になった。
KGBのコスコフ将軍は私利私欲のための計画を進め、その作戦として西側に亡命を求めた。(この亡命自体も作戦の一つで、偽装亡命を仕組んでいた。)そして、亡命を受け入れることにしたイギリスはボンドを派遣して、コスコフの亡命を手助けする任務を受けてチェコスロバキア(現在はチェコであるが、この物語の当時はチェコスロバキアであった。)のブラチスラヴァに入った。そこのあるホールでクラシックの音楽会が行われている。亡命は、その音楽会の中休みの時に、コスコフはホールから脱出してきて、それをボンドが保護するという手筈になっていた。また、コスコフは、KGBのスナイパーに狙われると言い、ボンドはスナイパーを発見したら直ちに射殺する準備を整えていた。
コンサートが中休みに入り、コスコフは打合せ通りにトイレに入った。そして、個室に入ると、その窓から脱出した。ボンドはその場所の道を挟んだ向かいにあるある店に控えていて、コスコフはそこまでの間はスナイパーに狙われる危険があった。コスコフの姿を目にしたボンドは、スナイパーがいないかを探り、コンサートホールからライフルを持った人影を発見した。それはコンサートでチェロを弾いていた女だった。が、ボンドはその女を射殺せずに、わざと弾を外して驚かせただけだった。間一髪の所を駆け込んできたコスコフ。そしてボンドは、車に乗せてある場所に向かい、そこからコスコフをガスパイプラインを使って脱出させて西側に入れ、更にイギリスに送り届けた。こうしてコスコフのイギリスへの亡命は成功した。
が、イギリスに到着して直ぐに、KGBが襲撃して、コスコフは奪い去られた。しかし、この襲撃は、コスコフが計画したものであって、襲ったのはコスコフの仲間で殺し屋・ネクロスで、コスコフはタンジールに逃亡してそこで仲間(当然、ネクロスもいた。)と合流したのだった。
亡命をするために、トイレが鍵を握る場所になり、その窓から脱出するということで、これもトイレという空間から亡命者が出てきたという普通ではないものが出てくることになったのでした。
共通点は、トイレをトリックに使い、普通はトイレに流さないもの(「ケータイ刑事」では札束、「007」では亡命者)が流れ出ているということである。ということで、「トイレは排泄物を流す場所」ということを、共に逆手に取ったことになったということが共通点である。また、その時トイレを利用した人物には別の目的(「ケータイ刑事」では殺人のための偽装誘拐、「007」では偽装亡命)で「偽装工作」の一つとして使われているということ、またその人物の保身のための行動であったという所も共通している。
一方、相違点としては、「ケータイ刑事」ではその偽装工作を通して、ターゲットである人物(男子三楽坊の提)を殺害したため、死者が出ているが、「007」ではスナイパーをボンドは射殺しなかったため、死者は出ていないということである。(但し、物語が進んで行く内に、ボンドの協力者・ソンダースは死亡、コスコフも死亡している。)
次回も今回と同様に「ある物(できごと)」をテーマにして記す予定です。何が登場するのかはお楽しみに。
リビング・デイライツ(デジタルリマスター・バージョン) [DVD]
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- メディア: DVD
007 リビング・デイライツ アルティメット・エディション [DVD]
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- メディア: DVD
リビング・デイライツ (アルティメット・エディション) [DVD]
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- メディア: DVD
007 製作50周年記念版 ブルーレイ BOX(007製作50周年記念キーチェーン付) 〔初回生産限定〕 [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- メディア: Blu-ray