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選挙カーにまつわる話(その1) [選挙関連]

今回は、第23回参議院議員選挙に立候補した友人の手伝いをしている間に経験した話の第3弾として、選挙カーにまつわる話です。

国政選挙だけで無く、知事、都道府県議員、市区町村長、市区町村議員選挙では選挙カーというのは当たり前に使われるものである。が、使用できる選挙カーの台数が公職選挙法で定められているため、選挙区の面積が広い選挙(参議院議員や知事選挙)と、面積が狭い選挙(市区町村長や市区町村議員選挙)では、選挙カーに遭遇する割合が大きく違っている。(特に、市区町村議員選挙では、候補者の数も多いので、嫌になるほど出くわすが、参議院議員や知事選挙では、繁華街や鉄道駅近辺はともかく、住宅街では殆ど出くわさない。)

これは平等な選挙運動が行えるようにするためである。→選挙カーの台数に制限が無いと、組織力があり、かつお金のある陣営は何台も選挙カーを使い、無所属の候補者やお金の少ない陣営では選挙カーを複数使えないなど、不平等になってしまうためである。(よって、各陣営に1台という制限がある。→但し、比例区と選挙区では別枠である。)よって、選挙区が広い参院選では、繁華街に行かなかったりすると選挙カーには殆ど出くわさないのである。

その選挙カーであるが、自動車であるため、運転手が乗っているのは当然である。そして、候補者の名前を売り込むためのウグイス嬢もいる。(ウグイス嬢が乗っていなくて、録音テープを流すという場合も時にはある。)この2人に、候補者と支援者が乗るというのが基本であるため、基本的には4人が乗っているというのが一般的な形となる。(しゃべり続きとなるため、2人のウグイス嬢が乗っていて、交代してマイクで喋るということも一般的である。)

ただ、選挙カーは選挙運動を行うためのものであるため、誰でも乗れるというものでもないのも事実である。(支援者であっても、選挙運動を行っている人であることを示す腕章(選挙委員会から支給されたもの)を付けなければならず、無関係の人を乗せることは出来ない。(人員輸送のための送迎車という使い方も基本的にはNGである。)そのため、選挙カーに乗る、ということは実に貴重な経験になるのである。(「選挙屋」となっている人は別ですけど...)

尚、運転手は「選挙カーを運転する」という特別な業務を行っている、ということになり、ウグイス嬢は専門職ということから、この2人に対しては日当を支払うことが出来る。(ウグイス嬢の方が運転手よりも高額の日当が認められている。但し、日当の上限額、支払うことが出来る人数は公職選挙法で制限されている。しかし、運転手やウグイス嬢だからと言っても、ボランティア(=無償)でということもある。)

運転手の場合は、単に車の運転をするというだけでなく、時間厳守で移動することも必要であるため、渋滞に巻き込まれた場合の抜け道を知っている、一方通行に詳しい、などというタクシー運転手と同様の知識も必要である。

更に、選挙カーは、繁華街での演説を行う場合に配るビラを積んでいたり、その輸送を担っているということもある(駅前での遊説中には、ビラの一時置き場、保管庫ということも兼ることにもなる。)ので、時には力仕事を行うこともある。

時々、選挙カーを使わずに自転車を使って選挙運動をする候補者がいるが、市区町村議員選挙などのように、選挙区の面積が狭く、都市部の選挙区の場合では、機動力のある自転車の方が効率が良いこともある。しかし、参院選のように都道府県単位の選挙区となった場合は、都市部の一部(商店街など)を廻るのには自転車は良いが、やはり選挙カーは必須である。

ある日、筆者のいた事務所の前の通りが渋滞となったことがあって、たまたまそこを通った他陣営の選挙カーがその渋滞に巻き込まれた。(候補者も同乗していた。)車が前に進まないが、政党名と候補者の名前を連呼して、「よろしくお願いします」ということを何度も繰り返していたが、その間、車は全く動いていない様子だった。(同じことを何度も繰り返すというのは、名前を覚えて貰うのにはいいのだが、渋滞で前に進まない中で名前の連呼を延々と繰り返されると、(聴いている方としては)うんざりしてくる。同時に、うっとうしい、迷惑だ、というように感じられるようになってくる。

で、その候補者も、名前の連呼だけというのは流石にどうか?と思ったのであろう。突然、名前の連子がその政党がマニュフェストとして掲げていることに切り替わった。

が、皮肉にも、そうすると渋滞の方が改善されて、そこから直ぐの交差点の通行が良くなり、渋滞の列は直ぐに解消することになった。で、その選挙カーも動き出したため、始まったばかりのマニュフェストの演説の声はまもなく筆者の耳には届かなくなった。→結局、筆者には、その候補者の名前連呼がうっとうしいだけ、という印象だけが残り、マニュフェストについては殆ど耳に届かない形で終わってしまった。

臨機応変に語ることを変えるというのは大事であるが、それを見誤ると、悪いイメージしか残さなくなり、伝えたいことも届かないことになってしまう、という典型的なことを体験したのでした。

「選挙カー」をキーワードとしていくつか拾っておきます。

職業代議士の妻、賞罰なし。―選挙カーの上から見た赤裸々な政界模様

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選挙カーから見た信州

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