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どうやら1964年没の作家は… [本/電子書籍]

TPP交渉で知的財産に関する項目に注目している。その中でも「著作権保護期間」がどうなるのかを特に注目している。現行法では(作家の場合は)著作者の死後50年(正確に言うと、没した日から満50年を経過した日を含む年の年末まで→1/1に亡くなるとほぼ51年間、12/31に亡くなると50年と1日となる。)であるが、これを70年に延長される可能性がある。
また、20年の延長だけに留まらず、場合によっては法の遡及が行われる可能性があることが大問題である。(現代の法治国家では、「法の遡及」というのは非常識であり得ないのが前提であるのは言うまでも無い。)

今年限りで著作権が消滅するのは1964年に亡くなった作家である。これに該当する作家を何人か記すと、尾崎士郎、辰野隆、三好達治、小杉放庵、北村小松、佐藤春夫、長田幹彦、高群逸枝、佐々木邦、松根東洋城、三木露風、川村多実二、西田直二郎、神代祇彦、青木健作、たちである。(筆者としてはこの中では何と言っても「人生劇場」の尾崎士郎である。)
ニュースによると、年内のTPP合意は不可能(合意しても、国内では著作権法の改正が必要なので、国会審議が必要なので、即座に適用されることはあり得ないですが…)のようなので、1964年に没した作家の著作権は本年末で消滅するのは確実である。ということで、これらの作家の作品は来年になると「青空文庫」に順次追加されていくことになり、無料で読むことが出来そうである。
で、1965年に没した作家に対してどうなるのかということに注目が移ることになる。現行法では2016年になると著作権が消滅するが、TPP合意と法改正があれば、20年延長の2036年になって著作権消滅の可能性がある。

では、1965年に没した作家としては誰がいるのだろうか?実は誰もが知っているであろう大物作家が複数いるのである。一部をピックアップすると、河井醉茗、高橋元吉、山川方夫、小山清、奥浩平、星野麦人、蔵原伸二郎、中勘助、梅崎春生、木下夕爾、高見順、安西冬衛、桜井忠温、式場隆三郎、米川正夫、佐々木惣一、神保格、秋庭俊彦、そして江戸川乱歩と谷崎潤一郎。

これらの作家の作品が無料で読めるようになると、その影響は大きいであろう。これが2016年か2036年になるのかも大きな差になるのは言うまでも無い。

2036年になる場合は、TPP合意と法改正が行われてからであるが、そうなるのは2015年中に法改正が行われることになる。で、もしも改正法が遡及されることになると、1945年から1964年に没した作家の消滅した著作権も復活することになる。(1945年に没した作家の著作権は2015年末に消滅するが…)この20年間には、日本を代表する作家が数多く含まれている。(太宰治、吉川英治たちも含まれる。)

また、遡及されると、(一時的に)著作権が消滅していた期間に対しての対応で揉めることも考えられる。(→万一、この期間の権利を保護するとなると、もはや現代の法治国家の放棄と等しいと言えるであろう。そもそもどうやって保護によって得られる利益の算出をするのか、不可能と思われることも多々あるのは言うまでも無いし…)

とりあえずであるが、1964年に没した作家の著作権は、とりあえずはこれまでと同じで、本年限りで消滅となるのはもはや確実であるが、1965年に没した作家の著作権はこれからである。

ただ言えることは、来年になると、1946年から1964年に没した作家の作品で無料で公開されている作品は入手するように努めておくべきということですね。(「青空文庫」などでダウンロードしまくり、ということで…)

一方、1965年に没した作家の作品は、とりあえずは読むのを我慢するということで…


 
↓とりあえず、今は読むのを我慢する作品の一部を

人生劇場  青春篇 (角川文庫)

人生劇場  青春篇 (角川文庫)

  • 作者: 尾崎 士郎
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2008/12/25
  • メディア: 文庫



人生劇場 残侠篇(上) (新潮文庫 草)

人生劇場 残侠篇(上) (新潮文庫 草)

  • 作者: 尾崎 士郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1980
  • メディア: 文庫



人生劇場 愛欲篇(上) (新潮文庫 草)

人生劇場 愛欲篇(上) (新潮文庫 草)

  • 作者: 尾崎 士郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1952
  • メディア: 文庫



小説国技館 (1960年)

小説国技館 (1960年)

  • 作者: 尾崎 士郎
  • 出版社/メーカー: 雪華社
  • 発売日: 1960
  • メディア: -



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