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CHERYL LYNN『CHERYL LYNN』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1978年に発表されたアルバムであり、パワフルでソウルフルなサウンドを堪能できるアルバムである。'70'sのブラック・ミュージックは、'60'sに時代をリードしたモータウン・サウンドから大きく発展し、様々な要素が加わっていったが、共通しているのはソウルフルな所である。が、'70's終盤の世界的なディスコ・ブームの時期になると、リズミカルでノリが良い曲は全てが「ディスコ」というくくりでまとめられてしまったという不遇なところがある。本作もそんなあおりを食った一枚である。(筆者は「ソウル・ミュージック」に分類するのだが...)

まずは『Got To Be Real』で幕が上がる。この曲は確かにダンサブルな要素を持っているリズミカルなナンバーであるが、この曲もディスコ・ナンバーという扱いをされていることから、何かの機会に耳にされたことがあるという方はたくさんいるでしょうね。でも、この程度の曲を「ディスコ」としていれば、ブラック・ミュージックの大半の曲は「ディスコ」になってしまう。あのブームから四半世紀以上が流れているのだから、そろそろ見直すことも必要であろう。ということで、ここでは「ディスコ・ナンバー」というような評価は行わない。サックスを巧みに使ったリズミカルながらもハートフルなポップ・チューンとしておく。

続く『All My Lovin'』はミディアム・テンポのボーカル・ナンバーで、ブラック・ミュージカルでは圧倒的なパワーを持つボーカルが多いが、彼女のボーカルもそういう傾向があり、力強いボーカルが魅力的な一曲である。続く『Star Love』は7分を越える大作であり、「ディスコ・サウンド」というのであればこの曲の方がピッタリである。立ち上がりはバラード調の静かなものであるが、突然ブーストして、アップテンポとなり、ノリノリのサウンドとなる。しかも、ブーストした後の曲調は'70'sディスコ・ブームで流行った要素をしっかりと備えているのである。(ということで、ベスト盤ではこの曲の「DISCO Remix」が収録されているものがある。)

ディスコ・ビートの後は少し息抜きということになるのだろうが、続く『Come In From The Rain』はややスローなミディアム・テンポのボーカル・チューンで、じっくりと聴かせる一曲である。ここでもソウルフルでありパワフルな彼女のボーカルが魅力的である。続く『You Saved My Day』はリズミカルな4ビートが派屠るなメロディラインと融合した気持ちの良い軽いダンス・チューンである。(やはり『Got To Be Real』よりは「ディスコ」の血筋が濃いナンバーである。)これに続くのは、ソウルフルであり、ポップなエッセンスが利いた『Give My Love To You』であり、なかなか小気味の良い一曲であり、これぞ'70'sというサウンドのサックスと彼女のボーカルもとてもい雰囲気を生み出している。

この後は大人の雰囲気なナンバーが続くことになり、アルバムの雰囲気も大きく変わることになる。(曲を追うごとにテンポがスローダウンしていき、雰囲気が良くなっていきます。)まずは、ややスロー気味なミディアム・テンポのボーカル・ナンバーの『Nothing You Say』で、ここからの彼女のボーカルは、パワフルさよりも声量の豊かさが中心となり、それがいい味となっている。続く『You're The One』はしっとりとしたバラード・ナンバーであり、美しいメロディラインが印象的な一曲である。そして、アルバムのラストを飾る『Daybreak(Storybook Children)』はスローなテンポのバラードとなり、実にメロディアスなナンバーである。そして、そこに彼女の圧倒的なボーカルが美しく融け込んでいて、実にいい雰囲気を醸し出している。ということで、ラスト3曲は女性ボーカリストとしての大人のアルバムである。(少なくとも、前半のディスコ調サウンドとは一線が引かれるべきサウンドであり、全く違う世界のサウンドが本アルバムには存在しているのである。)

ブラック・ミュージックには結構不遇な扱いをされたアルバムが存在している。「自由で平等」と言っても、'70'sの時代では、黒人差別という社会問題はしっかりと存在していたが、そういう影響もあってのことであろう。時代は大きく変化していることから、そろそろ評価をし直す時期に来ていると思うのだが、そうしたら'70'sのブラック・ミュージックは素晴らしい作品が数多くあることから、'70'sという時代が完全に変わってしまうかもしれない。いずれにしても、'70'sのブラック・ミュージックは正当な評価をされていない珠玉の宝石が数多くあり、改めて聴いてみたくなるものがゴロゴロしている。ということで、色々と聴いていってもらいたいが、本アルバムはそんな中でもお奨めの一枚である。

Cheryl Lynn

Cheryl Lynn

  • アーティスト: Cheryl Lynn
  • 出版社/メーカー: Columbia
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD


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