JEFFERSON STARSHIP『RED OCTOPUS』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1975年に発表されたもので、大ヒットを記録している。Billboardのアルバム・チャートで、No.1に4週間輝いているのだが、連続ではなく、1週ずつ4回にわたってNo.1を獲得している。(つまり、3度、No.1に返り咲いたということである。No.1は、9/6、9/27、11/1、11/29付け)No.1に返り咲くというのは珍しいことではないが、1週ずつ3度も返り咲くというのは珍しいことでもある。ということもあって、1975年の年間アルバムチャートでは63位、1976年では16位に食い込んでいる。また、2005年になって、「30周年記念」として5曲のボーナス・トラックを追加したものがリリースされたが、筆者が持っているものは、ボーナス・トラックなしの通常版(US盤)である。
そのサウンドは、'70'sのものであるが、全く色褪せていないご機嫌なアメリカン・ロック・ナンバーである。こういうアルバムこそ「名盤」と言っていいものである。
まずは『Fast Buck Freddie』の軽快なサウンドで幕が上がる。続く『Miracles』は7分弱という長尺のアルバム・バージョンで収録されている。(ボーナス・トラックの中にはこのシングル・バージョンが含まれています。また、その他の4曲のボーナス・トラックはライブ収録のものです。)メロディラインも良く、じっくりと堪能できる名曲です。続く『Git Fiddler』はバイオリンのサウンドがカントリー調の雰囲気を出していて、広大なアメリカということを感じさせてくれる楽しいインスト・ナンバーである。
続く『Al Garimasu(There Is Love)』はじっくりと聴かせるバラード、『Sweeter Than Honey』はロックのビートの利いた本アルバムの中では最もテンポが良く、ロック・ナンバーとしてはご機嫌な一曲、『Play On Love』はややポップの香りのするロック・チューン、『Tumblin』はミディアム・テンポのボーカル・チューン、『I Want To See Another World』はビートの利いたロック・チューンで、本アルバムの中では最もパワフルさを感じる一曲である。これに続く『Sandalphon』は中華風の銅鑼の音が最初に響き、そこから様々なサウンドが繰り広げられるインスト・ナンバーである。そして、ラストを飾るのが『There Will Be Love』で、ミディアム・テンポのメロディラインが優しく語りかけてくれると共に、ハーモニーも美しく響いていて、とても素敵な雰囲気の一曲である。
彼らは「JEFFERSON AIRPLANE」から「JEFFSERSON STARSHIP」「STARSHIP」と言うようにバンド名を変えていき、再び「JEFFERSON AIRPLANE」に戻すということを行っているのだが、そういうことは彼らのサウンドには関係ない。強いて名前に対応させて語るとすれば、本アルバムは「JEFFSERSON STARSHIP」時代の名盤である、ということになる。まさに、'70's中期の、「ディスコ・ブームの嵐」が吹き荒れる前のアメリカン・ロックというもので、'70'sサウンドが到達した一つの頂点と言っても良いものである。(ただ、'70'sサウンドというのも、この後色々と変革していくので、あくまでも「一つ」であり、最終点ではない。)'80'sとは違って'70'sサウンドはシンプルでストレートなところがあって、どことなく優しさに包まれて落ち着くことが出来るサウンドでもある。何かの時に聴いてもらいたいアルバムである。
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