ERIC CARMEN『THE BEST OF ERIC CARMEN』 [音楽(洋楽)]
1988年にリリースされたベスト盤であるが、収録されている曲は'70'sのものが中心で、'75、'77、'78、'80、'88年のものである。彼と言えば何と言っても大ヒット曲・永遠のバラード・ナンバーである『All By Myself』であるが、この曲がヒットをしたのは1975年のこと。翌1976年のBillboard年間シングルチャートの40位に食い込んだ名曲である。最近ではセリーヌ・ディオンがカヴァーしたことでも有名であり、「名曲は甦る」のである。そんな彼のベスト盤は美しいナンバーのオンパレードである。
やはりこの曲『All By Myself』で幕が開くことになるが、本当にこの曲は美しい、いや、美しく過ぎるナンバーである。あまりにもメロディアスなこの曲は当然のごとく、大ヒットを記録し、ソロ・デヴューした彼の名前を一躍有名にした。（この曲は'70'sが残した名曲の一つである。）続く『Never Gonna Fall In Love Again』もメロディ・ラインの美しいボーカル・ナンバーで、この曲のヒットによって彼の名前は不動のものとなった。続く『That's Rock'n Roll』はロックのビートに乗せた完全なロックンロール・ナンバーである。続く『Hey Deanie』もロック・ナンバーであり、そんなに太くない声の彼がパワフルに歌っているところが魅力的である。
続く『Hungry Eyes』は映画「DIRTY DANCING」(1987年、エミール・アルドリーノ監督、ジェニファー・グレイ、パトリック・スウェイジ主演の青春ドラマ。)で使われた曲であり、本ベスト盤に収録されている曲の中で唯一彼が書いた曲ではない。ミディアム・テンポのボーカル・ナンバーで、ちょっとハスキー気味のボーカルが魅力的である。続く『MakeMe Lose control』は、本ベスト盤の中の唯一の新曲（当然、1988年当時のことです。）であり、ポップなボーカル・ナンバーとして纏まっている。また、ヒット曲を放っていた'70'sの魂は健在である。
ここからは'70'sポップスという雰囲気の曲が続くことになる。『Change Of Heart』はこれぞ'70'sポップスというような要素を全て備えた軽快なポップ・ナンバーで、彼のボーカルも魅力を放っている。続く『She Did It』はサビでのコーラスがいかにもと言うミディアム・テンポのポップ・ナンバー、『It Hurts Too Much』は'80'sになってから発表されたナンバーであるが、ロックのビートを取り入れたパワフルなポップ・ナンバーである。いずれの曲も音を楽しんでいるということが感じられる秀作である。
続く『No Hard Feelings』は、ギターのビートが響くロック・チューンであり、なかなかパワフルな彼のボーカルを堪能できる。ラストを飾る『Boats Against The Current』はピアノがリードするバラード・ナンバーであり、じっくりと聴かせてくれる。ということで、本アルバムの最初と最後を美しいバラードということで、その余韻が心に焼き付けられる上手い演出がされている。
'70'sのポップスは、良い意味でも悪い意味でも中途半端になってしまったこともあり、'70's終盤には世界中に吹き荒れたディスコ・サウンドの嵐に飲み込まれていくことになったが、彼のサウンドはディスコ・サウンドに飲み込まれることなく、彼のアイデンティティを保った形で光を放っていた。それだけに、改めて聴いてみると、何処かに芯の強さやハートフルな要素、更には音楽を楽しんでいるということを感じ取ることが出来る。やはり、「音楽」というのはこうでなければ、という思いがする。それだからこそ、『All By Myself』という名曲も映えるのである。とにかく、『All By Myself』以外の曲も堪能してもらいたいところである。
- アーティスト: Eric Carmen
- 出版社/メーカー: Arista
- 発売日: 1990/10/25
- メディア: CD
↓該当アルバムのジャケット写真がないので、別のベスト盤も紹介しておくことにする。
- アーティスト: エリック・カルメン
- 出版社/メーカー: BMGファンハウス
- 発売日: 2002/10/02
- メディア: CD
コメント 0