POLICE『ZENYATTA MONDATTA』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1980年に発表された彼らの3rd.アルバムであり、まだ完全に洗練しきっていない彼らのサウンドを堪能できるアルバムでもある。何せ、ここでも色々な実験を試みていて、サウンドの幅が広いアルバムである。この後のアルバムからは方向性も固まってきたことを考えれば、多彩なサウンドを堪能できる最後のオリジナル・アルバムということもできる。尚、本アルバムは1981年のBillboard年間アルバム・チャートで9位、レギュラー・チャートでは最高位5位を記録するヒットとなっている。
収録されているのは以下の11曲である。『Don't Stand So Close To Me』『Driven To Tears』『When The World Is Running Down, You Make The Best Of What's Still Around』『Canary In A Coalmine』『Voices Inside My Head』『Bombs Away』『De Do Do Do, De Da Da Da』『Behind My Camel』『Man In A Suitcase』『Shadows In The Rain』『Other Way Of Stopping』。この中では「高校教師」という邦題(曲名としたら分かりやすいタイトルであるが、どうしてこの原題が「高校教師」になるのか、現在でも全く理解できないでいる...)が付けられた『Don't Stand So Close To Me』が1981年のBillboard年間シングル・チャートの71位(レギュラー・チャートでの最高位は10位)と、『De Do Do Do, De Da Da Da』が、やはり1981年のBillboard年間シングル・チャートの57位(レギュラー・チャートでの最高位はこちらも10位)を記録している。
シングル・ヒットした2曲もいいが、筆者は『When The World Is Running Down, You Make The Best Of What's Still Around』をお薦め曲としたい。この曲の刻むビートは独特のものがあり、独特の異彩を放っているのだが、それでいて本アルバムのサウンドから逸脱することなく、巧みに料理されているのである。こういうサウンドを経由していることを考えると、後の彼らのサウンドが「シンプル・サウンド」と言われるようなものになっていくのも、何となく分かってくる。
時代が新しいディケイドである'80'sとなり、彼らの実験も一応は幕を閉じることになり、次作では時代の流れに乗ってシンセサイザーを取り入れることになるが、本アルバムはそれ以前のPOLICEの真骨頂を発揮したアルバムでもあり、じっくりと聴き込んでもらいたいアルバムである。それでいて、肩肘を張ることなく楽しむことが出来るサウンドでもあり、やはり奥が深いアルバムでもある。
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