太陽の黙示録(後編・国境) [アニメ]
昨夜に続いて「後編」が放送されたので、それについても述べることにする。(でも、前編と違って、後編は実に眠たい物語であり、失望した。)物語は、日本人の「アイデンティティ」を廻っての物語となり、これはこれで良いのだが、それが日本の将来を考えるという所に繋げるとなると、これはテーマが大きいだけに、色々と描き切れていない項目がありすぎる。限られた時間という制約がある以上、ちょっと欲張りすぎた感じがした。尚、前編についての記事も記しています。それをご覧になる場合はここをクリックして下さい。
大地震から15年、日本は米中による分割統治が進み、両国の影響力は一段と強くなり、渡航証明書がなければ二つの日本を行き来することも出来ないような状況になっていた、当然のことながら日本は復興せず、台湾では、避難した日本人たちがいまだに祖国に帰れないということで焦る日本人と、それに対する台湾人との摩擦が頂点に達しようとしていた。台湾政府からの支援金の打ち切りが迫っていて、難民キャンプで暮らす8万人の日本人避難民は将来が全く持てなかった。一方、日本人を排斥しようとする台湾市民は台湾市民で、両者のぶつかり合いは今にも爆発しそうな緊張状態になっていた。そんなところで発生した日本人親子殺害事件によって事態は動き出す。キャンプから離反して、現状を世界に訴えようとする過激派グループ、避難キャンプの日本人たち、台湾政府の要人たちの思惑が絡み、事態は流血の事態に発展してしまう。
結局は、主人公・柳舷一郎(りゅう・げんいちろう)と台湾マフィアの張(ちょう)、台湾警察の刑事で、元々は日本人だった羽田遼太郎(はた・りょうたろう)の3人が日本に向かって旅立つ所で物語は終了するのだか、半分はどうでも良いように感じられた。というのは、この物語は日本列島の形を変えてしまった巨大地震によって始まる。地震に関しては、色々とシミュレーションを行って描かれているが、地震発生後のドラマがその割に描かれておらず、また、地震発生前の主人公のドラマも無く、いきなり地震ということでは、どうしても主人公のキャラに対して入っていくことが出来ない。また、地震から15年後の物語となると、それこそ無数の枝葉のドラマがあって当然である。それが、台湾に避難した人たちを中心とした物語だけが進み、主人公が日本の将来を考えていて、結局日本に向かうというのは、日本に残っている人たちの間にも当然ある複雑なドラマを完全に相手にしないようにもなり得るだけに、ちょっと一方的すぎるように感じてしまうのである。
これを、一つのシミュレーションを進めていった物語だと考えることにして、あくまでも多岐にわたる地震後の物語の一つとしても、このシミュレーションを先に進めていくだけの明確な理由が今ひとつ見つからないのである。ということで、後編はアクビをしながらということで見ていたのでした。(これはこの種のマンガの先例である「希望の伝説」にも言うことが出来る。が、「希望の伝説」は、地震発生までの物語がある程度描かれていたので、まだ良かったのですが...)
「WOWOW開局15周年記念」ということを銘打った作品であるが、企画段階からもう少し考えてもらいたかったところであった。尚、原作マンガの物語は、今回のアニメから先の物語が進んでいるだけに、いずれはそれをアニメ化しようということを考えているのではないでしょうね。が、今回の前後編を受けてのアニメ化であれば、どうでも良いような作品に落ちてしまう可能性があり、そういう危険は止めてもらいたいところである。まあ、これが地上波ではなくBSだから、一応は許されるのでしょうが...
大震災発生! 公的支援がくるまでの200時間を生き延びる知識と知恵
- 作者: 山村 武彦
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2006/07/20
- メディア: 単行本
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