METALLICA『METALLICA』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1991年に発表された彼らの5th.アルバムである。このアルバムは、彼らのアルバムとしては初の全米No.1を獲得したアルバムであり、同時に超ヒットを記録したアルバムである。Billboardのアルバム・チャートでも、初登場1位を記録して、4週連続No.1を獲得し、1991年の年間アルバム・チャートでは62位であったが、翌1992年の年間アルバム・チャートでは7位にランクインしている。本アルバムのサウンドは、殆どがミディアム・テンポの曲となっていて、聴かせるバラードなどの方に力が入っているアルバムで、これまでの彼らの発表した4枚のアルバムとは少し方向が変わっている。ということで、超ヒットを記録したものの、本アルバムについては評価が分かれているのもまた事実である。が、じっくりと聴かせる曲というのは、それだけ完成度が高くないと腰を落ち着けて聴くことが出来るような代物ではないので、彼らも円熟期に達したという証でもある。
収録されているのは以下の全12曲である。『Enter Sandman』『Sad But True』『Holier Than Thou』『Unforgiven』『Wherever I May Roam』『Don't Tread On Me』『Through The Never』『Nothing Else Matters』『Of Wolf and Man』『God That Failed』『My Friend Of Misery』『Struggle Within』。
この中では、スピード感のあるパワフルな曲は『Holier Than Thou』だけであり、後はミディアム・テンポの曲であるが、冒頭の『Enter Sandman』はこれから始まるパワー・バラードの世界を感じさせながらも、パワフルな所を堪能させてくれるミディアム・テンポのナイス・チューンである。が、本アルバムの目玉と言えば、バラード・ナンバーの『Unforgiven』と『Nothing Else Matters』である。いずれもが6分を越す大作のパワー・バラードとして、じっくりと聴かせてくれる。印象に残るのは、綺麗なメロディ・ラインに乗せて、綺麗なコーラスも堪能させてくれている所であり、本アルバム全体がミディアム・テンポということも、この2曲にたっぷりと浸るためでもあり、珠玉の作品となっている。(が、4th.アルバムまでのエネルギッシュなサウンドを求める方には不満になるのだろう。)
賛否両論アル本アルバムであるが、本アルバムは'80'sの中頃から幅を利かせるようになってきたヘビーメタルが'90'sの混迷の時代であっても、練り上げられた完成度の高いものであれば、大きく受け入れられるということを証明したアルバムであり、もはや「ヘビーメタル」も完全に音楽シーンに定着したと言うことを示している。ということで、音楽史においても重要な地位を占めるアルバムである。尚、4th.アルバムまでのサウンドがお好きな方にとっては、本アルバムには不満があるかもしれないが、人それぞれ好みがあるので、それを否定しようという気はないが、食わず嫌いということだけはしないで、サウンドを聴いてから判断していただきたいところである。(筆者としたら、二重丸のお薦め盤として、ヘビーメタルの入門者にもお薦めしたいアルバムだと判断します。)
コメント 0