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SURVIVOR『VITAL SIGNS』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1984年に発表された5th.アルバムである。1982年の映画「ロッキー3」の主題歌『Eye Of The Tiger』のヒットでメジャー・バンドの仲間入りを果たした彼らであるが、本アルバムからはボーカルが交代して新たな次元に突入することになった。今までのサウンドに一段と磨きがかかり、幅が広がったご機嫌なロック・チューンを聴かせてくれる。また、本アルバムは、Billboardのアルバム・チャートで最高位16位ながら、1985年の年間アルバム・チャートでは15位にランクインするというように、ロング・ヒットを記録している。

収録曲は以下の全9曲である。『I Can't Hold Back』『High On You』『First Night』『The Search Is Over』『Broken Promises』『Popular Girl』『Everlasting』『It's The Singer, Not The Song』『I See You In Everyone』。

この中からは、2曲のビッグ・ヒットが生まれていて、珠玉のバラード・ナンバーである『The Search Is Over』はBillboardのチャートで最高位4位、1985年の年間シングル・チャートでは48位、ハードなロック・ナンバーの『I Can't Hold Back』は最高位13位、1985年の年間シングル・チャートで73位にランクインしている。

本アルバムは、何と言っても前半の4曲である。冒頭の3曲のハードな所と、そこから一変してじっくりと聴かせるバラードのバランスが実に良いものである。『I Can't Hold Back』『High On You』『First Night』と続くことによって、本アルバムは徹底したハードなロックを聴かせてくれるのかということになるが、続く『The Search Is Over』が一変してのバラードということで、この動から静への転換がメリハリを付けてくれることになり、ハードなロック・ナンバーはよりハードに、バラードはよりドラマティックに聞こえるようになるのである。この後も、『Broken Promises』『Popular Girl』『Everlasting』の3曲で、2曲のハードなロックと1曲のバラードという第二の動と静を構成し、残る2曲でも動と静を繰り広げているが、やはり最初の4曲による一組の動静がたまらないのである。(後ろは動と静の周期が短くなっていくことになるが、これはこれでまた良いものでありますが...)

本アルバムは、シングル・ヒットを記録した秀作もあるが、アルバムを全体で捉えて聴くものである。収録曲は9曲であるが、それが3つの楽章に別れているといっても良い。このようなアルバムは好みがはっきりと分かれるものであるが、捨て曲が全くなく、しかも収録曲を1曲たりとも飛ばすことなく続けて全曲聴きたくなるアルバムというのもそう多くあるものではない。じっくりと聴き込んでもらいたいアルバムである。尚、本アルバムについてはビッグ・ヒットを放ったことにより「産業ロック」に染まっているという声があるが、緻密に計算してアルバムを1つの作品としてまとめ上げたと言う点においては、良い結果に繋がったと言うことになる。単にアルバムを売るためにヒット狙いの曲という形で作り上げられた「産業ロック」とはまた違った価値が付いたと言うことになり、「産業ロック」と言っても良い点もあるということを知ってもらいたい所である。

 

Vital Signs

Vital Signs

  • アーティスト: Survivor
  • 出版社/メーカー: Zomba
  • 発売日: 1991/03/12
  • メディア: CD


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