「三本指の男」 [映画(邦画)]
表題の作品は1947年の東映作品で、名探偵・金田一耕助の初登場作である「本陣殺人事件」の初の映画化作品である。金田一耕助を演じるのは時代劇スターの片岡千恵蔵であり、彼の現代劇である。そして全6作(映画は全7本あり、2作目が前編と後編に分けて公開された)ある千恵蔵・金田一シリーズの第一弾である。ちなみに、千恵蔵・金田一シリーズは、1947年の本作「三本指の男」から始まり、1949年の「獄門島」「獄門島 解明篇」、1951年の「八ツ墓村」、1954年の「悪魔が来りて笛を吹く」「犬神家の謎 悪魔は踊る」、1956年の「三つ首塔」と続く。
今回、WOWOWが千恵蔵・金田一作品を放送したのは、1977年に放送されたTVドラマ「横溝正史シリーズ」の金田一耕助作品(古谷一行主演)放送を始めたためである。(6/11,18,25が「本陣殺人事件」で、以下、「八つ墓村」(全5話)、「真珠郎」(全3話)、「悪魔の手毬唄」(全6話) 、「犬神家の一族」(全5話)、「不死蝶」(全3話)、「黒猫亭事件」(全2話)と続く全27話である。)※放送日はデジタルWOWOW192chでのものであり、アナログWOWOW(BS5ch)の放送は8月以降(のはず)です。→1975年の映画「本陣殺人事件」を含めて見比べてみるのも面白いところです。
作品データーを記しておくと、時間は72分、原作は横溝正史、製作は牧野満男、監督は松田定次、脚本は比佐芳武、撮影は石本秀雄、音楽は大久保徳二郎と古川太郎である。そして出演は、片岡千恵蔵、原節子、杉村春子、風見章子、三津田健、小堀影男、水原洋一、青山健吉、八汐路佳子、宮口精二、賀原夏子たちである。
旧家・一柳家に久保銀造の姪・春子が当主・賢造の嫁として入りすることになった。が、身分違いとも言えるこの縁談には反対するものもいた。式の日が近づいたある日、春子がある人物の愛人だったという手紙が届くが、賢造は気にしなかった。で、式を迎え、無事に終わったその夜、新婚夫婦が離れの密室の中で殺されるという事件が発生する。で、金田一が事件に挑んでいく...
ストーリーの方は、リメイク作やTVドラマなどでも見ているし、原作小説も読んでいるので、知恵蔵・金田一がどういう味を出しているのかということに注目したのだが、独特の味がある。特徴的なのは、金田一が変装して劇中に登場する、という所であり、これは原作にもなく、知恵蔵・金田一ならではのことである。で、知恵蔵、変装とくれば「多羅尾伴内」シリーズ(1946~1960年の間に、片岡知恵蔵主演で全11作が製作され、また、1978年には小林旭主演で2作が製作された人気ミステリー・シリーズである。)が思い浮かぶが、やってくれるものです。
尚、「金田一耕助」というと、ボサボサ頭によれよれの着物に袴姿いうイメージが現在では定着しているが、千恵蔵・金田一はそういう姿ではなく、スーツ姿の上に、髪の方も長髪のボサボサではなく、綺麗に整えられていて、実にスマートな感じがする。よって、石坂浩二、古谷一行たちが演じた金田一耕助作品を見ていたら、「あれっ?」と感じてしまうでしょうね。(でも、時間軸上では、千恵蔵・金田一の方が先です。)
もう60年も昔の作品ということになるが、特に古いという印象を受けることはない。(強いて言えば、現在では問題になるような台詞(単語)がちらほらち出てくることで、「古い作品」ということを感じるかも知れませんが...)後の金田一耕助作品(映画、TVを含む)を見ている方には、全く雰囲気の違う金田一耕助の姿と活躍を見てもらいたいところである。(当時、人気を獲得したのも頷けますが、こういう金田一も悪くないですよ。)→是非ともDVD化してもらいたいところです。
↓本作はDVD化されていないので、後の本作映画をピックアップしておきます。
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