「ゴルゴ13」 [映画(邦画)]
表題の作品は1973年の実写版の映画「ゴルゴ13」である。初めて「ゴルゴ13」が劇画以外のメディアに登場したことになったものである。しかも、原作者であるさいとう・たかをが映画化に際して「高倉健主演」「オール海外ロケ」という条件を出し、それを東映が飲む形で実現された。(さいとう・たかをが「ゴルゴ13」のモデルは高倉健、と語っているが、そのイメージを大事にしたかったということですね。)で、物語はイランを舞台にして、イランでロケを行った。これによって、現地俳優が多数出演しているが、声の方は日本の声優陣が当てて、完全な日本語作品となっている。(原作者のイメージ通りで、ハードボイルド・タッチで雰囲気も劇画から飛び出したという印象を受けて、なかなか良くできている。)
作品データを記しておくと、1973年の東映東京の作品で、時間は104分、原作はさいとう・たかを、監督は佐藤純彌、脚本はさいとう・たかをとK・元美津、撮影は飯村雅彦、美術は藤田博、音楽は木下忠司である。そして出演は、高倉健、プリ・バナイ、モセネ・ソーラビイ、ジャレ・サム、アレズゥ、ガダキチアン、ジャラル、キャリミー、アーラッシュ、たちである。
物語は、世界中に麻薬と武器を売りさばいているシンジケートのボス・ボアの暗殺を依頼されたゴルゴがイランに乗り込み、ボアを仕留めるまでを描いた物である。が、ボアの顔は誰も知らないということから始まり、シンジケートとゴルゴの行き詰まる死闘が展開される。
それにしても、麻薬商人、武器商人がターゲットというのは、'80's終盤以降の「007」シリーズをはじめ、'90's以降はたくさん制作されているが、それを'70'sの前半にやっているという所はそれなりに評価してもいいでしょう。(が、スナイパーであるゴルゴの存在についてまでは...)
舞台はイランであるが、'70'sの無国籍映画という雰囲気がよく出ていて、作品の雰囲気は良い。また、寡黙な健さんがゴルゴ13というのもなかなか良いイメージである。ただ、こういう作品がDVD化されていないのが残念な所である。'70'sという時代が持つ独特の雰囲気(特に「無国籍」というものは'70'sならではである)というのは、現在のハイテク兵器を駆使した世界では描くことの出来ないものであり、貴重である。(現在との時間のギャップによる妙な味がまた何とも言えない味わいを出してくれている。)もっと陽の目が当たっても良い作品ですけどねぇ...
↓ビデオです。
↓こういう音楽もなかなか良いですね。
- アーティスト: オムニバス, マイルス・デイビス, ウェス・モンゴメリー, ウィントン・ケリー, ソニー・ロリンズ, ナット・アダレイ
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2002/11/21
- メディア: CD
↓原作コミックスをいくつか
コメント 0