「ケータイ刑事」と「007」の驚くべき類似点(その9) [ケータイ刑事]
主役の銭形/ボンドではなくて脇役にスポットを当てての3回目は、他部門の同僚についてである。(予定していた「同じ部署の同僚」はちょっと大変なことになってしまったので、整理し直して後日ということにします。)両作とも、主人公銭形/ボンドは国家をバックにした組織に属しているが、秘密裏に活動することが基本であり、直接所属している組織は表に向かって存在しているが、組織内でも実は秘密の存在である。(片やスパイ、もう一方は裏刑事という違いはあるが、存在の点(これは設定上なので狙って出来ることである)でも共通する部分がある。)よって、それぞれの組織で他部門は多数存在するが、ここで取り上げる他部門の同僚は、秘密の存在を知っている仕事上で繋がりのあるキャラクターということに限定する。(これを行わないと、「007」は登場キャラも多くなり、収拾が付かなくなりますから...)で、「007」からはQ支局のQを、「ケータイ刑事」からは鑑識課の柴田太郎/束志を取り上げる。
「007」Q:ボンドたち00要員に支給する秘密兵器を開発しているが、早い話、技術サポートを担っている。また、時には照合作業を行ったりしていて、技術と鑑識の役割を担っている。尚、意外と知られていないことであるが、シリーズ第1作の「ドクター・ノオ」ではピーター・バートンが演じていて、第2作の「ロシアより愛をこめて」から第19作の「ワールド・イズ・ノット・イナフ」までの間、デズモンド・リュウェリンが演じている。また、「ワールド・イズ・ノット・イナフ」ではQの助手だったRが「ダイ・アナザー・デイ」ではQに昇格して3代目となった。(「カジノ・ロワイヤル」には登場しなかったものの、基本的にはレギュラー・キャラである。)とにかく、長い間デズモンド・リュウェリンが演じていたということで、Qと言えば2代目の彼である。
キャラクターは博学であり、多趣味人間、真面目な男であり、自分のスタイルを持っている。初期作品では、本当にサポート要員の一人に過ぎなかったが、「ゴールドフィンガー」のボンドカーをきっかけに人気を得て、作品における地位を確固たる物にした。基本的には装備の開発担当ということで、前線に出ることは無い裏方さんであるが、「007は二度死ぬ」で来日して、「消されたライセンス」でイスマス・シティに乗り込んで、それぞれ前線で直接ボンドの支援を行ったこともある。
人気を獲得したことにより、シリーズの顔にまで成長し、作品の中で必ず見せ場(秘密兵器を説明する)が用意されるようになり、そのシーンではボンドを喰って美味しい所をかっさらっていく、というキャラとなった。
「ケータイ刑事」鑑識・柴田:鑑識の役割は、組織資料(指紋、顔写真などの過去の事件データ)を使った作業と、科学的な分析を行う鑑定作業である。鑑識課の柴田太郎/束志もこの役割を担っている。よって、鑑識の人間は事件捜査においてはどちらかというと縁の下の力持ちというような存在となる。当然、幅広い知識が必要であり、多趣味、様々なマニアというキャラへと格が上がっていった。で、秘密兵器とは言いづらいが、マニアらしい深い知識を披露して、これが事件解決の鍵となったこともあった。(→「知識」という秘密兵器を提供した、と解釈できる。)
実際、「銭形愛」の頃は、柴田太郎は鑑識の一人という存在であり、裏方であった。が、人気が出たことから、レギュラーに昇格し、時には前線に出て行動するようにもなった。また、「舞」からは「鑑識メモ」というコーナーが生まれ、美味しい所を持っていくようになった。更に「泪」のアナザーストーリーでは、遂に主役の銭形とコンビを組むに至った。(閣下にいじられっ放しでしたが...)
柴田束志は「雷」からの登場で、鑑識として2代目であるが、キャラは柴田太郎に準じているものの、それだけではなく、佐藤公安警部補の持っている「毒」の部分も併せ持っている。太郎のような博学というイメージは弱いものの、「逆立ち」をやらないではおれないキャラとなり、個性の強いキャラとして、またそれなりの幅広い知識を持っているマニアとして、現在も奮戦中である。
類似点は、主人公自身も幅広い知識を持っているが、それに劣らない博学であると言うこと、任務を遂行する上で役に立つ秘密兵器(鑑識・柴田は「知識」という秘密兵器、但し、時には混乱させるだけという時もあった。)を提供する、主役の前では自分の存在をアピールする場があるものの、主役に対してはいじられキャラであること、という設定上の類似点があるが、それ以上に「驚くべき類似点」として記すのは、作品を重ねるごとに、共に人気を得て、作品の中で自分をアピールする場が与えられるようになったことである。これは見る側から支持されたからであり、それに制作サイドが応えたということである。(制作サイドも見る側の反応を捕らえ、的確に対応していることが分かる。)
相違点は、Qは前線に出ても自分が中心になろうとはしなかったが、柴田(太郎)は前線にでると自分が中心になろうとする所があったということ(でも、銭形にあしらわれていましたが...)と、年齢的な違いというところでしょうか。(あまり相違点が無いのですよね...)
ということで、他部門の同僚という所では、同じようなキャラクターがいるということになるが、こういうキャラクターがいるからこそ、主役が栄えるというのもまた事実である。
次回は、他部門の同僚のPART 2の予定で、今回先送りした「同じ部署の同僚」はその次ということにします。(「ケータイ刑事」はまとめられたが「007」の方が収拾が付かなくなっちゃったので...)
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