「ジャコ万と鉄」 [映画(邦画)]
表題の作品は1949年の作品で、先日亡くなった谷口千吉監督の代表作の一つである。1964年に、本作の脚本を使って、深作欣二監督がリメイクしている(但し、タイトルは「ジャコ萬と鉄」になっていて、「万」という文字が変えられている。)デヴュー作も同じ谷口監督作(「銀嶺の果て」)だった三船敏郎が好演している。
作品データを記しておくと、1949年の東宝作品で、時間は91分、白黒作品である。原作は梶野悳三、製作は田中友幸、監督は谷口千吉、脚本は黒澤明と谷口千吉の2人、撮影は瀬川順一、美術は北辰雄、音楽は伊福部昭である。そして出演は、三船敏郎、月形龍之介、進藤英太郎、原泉子、藤原釜足、島田敬一、浜田百合子、松本光男、久我美子、英百合子、清川虹子、小杉義男、柳谷寛、長浜藤夫、花沢徳衛、松本平九郎、たちである。
物語は、ニシンの漁期が近づいた、ある北海道の港町。樺太から裸一貫で引揚げてきた網元・九兵衛は、給料を値切って集められるだけの漁夫を雇い、この勝負に賭けていた。その雇われ漁師の中に片目のジャコ万もいた。彼は九兵衛の弱みを握っていて、好き放題、やりたい放題の無法ぶり。しかし九兵衛は口出しできない。そんな所に、死んだと思われた九兵衛の息子で、正義感の強い鉄が帰ってきた...
太平洋戦争が終わってまだ間もない時代であるため、現在では色々と「?」と思ったりする部分が多々ある。また、ジャコ万と鉄の2人のキャラは好対照で実に魅力的である。それだけに、ラストの展開にはもう一捻り欲しかったと感じる。白黒映像であるのはこの時代であれば当然であるが、その映像の方は光の明と暗を上手く捉えている。
リメイク作の方と比べてみるのもまた面白いところであるが、やっぱり鉄は三船敏郎(リメイク作では高倉健)が良いですね。(ジャコ万は、本作の月形龍之介よりもリメイク作の丹波哲郎の方が筆者は良いかと思いますけど...)兎に角、若い三船敏郎を見るだけでも価値はあります。
↓原作
- 作者: 梶野 悳三
- 出版社/メーカー: 新小説社
- 発売日: 1951
- メディア: 文庫
↓本作はDVD化されていません。リメイク作です。
コメント 0