「関東シリーズ」(その5) [映画(邦画)]
懐かしの邦画ヒーローの第13弾として取り上げている「関東」シリーズも、今回で最後です。で、1971年製作の日活作品の残る2作を記す。
シリーズ第2作「関東幹部会」
作品データを記しておくと、1971年の日活作品であり、時間は86分、監督は沢田幸弘、脚本は鴨井達比古と来栖三郎と伊地智啓の3人、撮影は山崎善弘、美術は千葉和彦、音楽は玉木宏樹である。そして出演は、渡哲也、長門勇、丘みつ子、原田芳雄、郷えい治、山本麟一、武藤章生、木村英行、高橋明、三田村元、たちである。
5年の刑期を終えて出所してきた尾沢組本家若衆頭・寺田組の組長・寺田次郎。その足で尾沢組総長・尾沢大造が暴力団取締の隠れ蓑として入院している病院に出所の挨拶に行き、実情を知らされる。(幹部の岩崎が三代目組長を襲名したこと、組織下の組が次々と新興暴力団の大場会に荒されていること。)寺田は大場会の手がのびていない富士市に送り込まれることになる。富士市は寺田の生まれ育った町でもあり、尾沢組と大場会の息がかからない唯一の町でもあった。で、新興都市計画に伴い開発が進んでいて、暴力団の資金源になる店が無数にあった。富士市にやってきた寺田は、幼友だちで兄弟分の神尾周三が組長をしているの立て直しに行動を開始する。(神尾組と銀竜会が対立していた。)これに銀竜会は退かざるを得なくなるが、大場会が大幹部・黒木を銀竜会に送り込み、対立は激化する。そんな中、神尾が出所して戻って来て、寺田と再会する。が、神尾は組織的暴力団を嫌い、寺田にこの争いから手を引くように頼むが、エスカレートした大組織同志の争いの前に、小さな組は消得るしかなかった。黒木の悪辣な手によって神尾の妹・典子も犠牲になり、神尾は単身銀竜会に殴り込んで黒木を殺した。これに尾沢組と大場会の応援部隊が富士市に集結、神尾を黒木の香典代わり差しだすよう命じられる寺田。で、神尾は自ら寺田に刺されて死に、兄弟分を殺させ、自分の命まで取られそうになった寺田は怒って尾沢組へと殴り込んでいく...
物語はお馴染みのパターンであるが、日活らしいスケールの大きところとアクションが見所となっていて、一味違う所を見せてくれている。
シリーズ第3作「関東破門状」
作品データを記しておくと、1971年の日活作品であり、時間は87分、監督は小沢啓一、脚本は鴨井達比古、撮影は安藤庄平、美術は木村威夫、音楽は鏑木創である。そして出演は、渡哲也、丘みつ子、佐藤慶、郷えい治、夏純子、内田良平、藤竜也、長谷川明男、長浜鉄平、岡崎二朗、杉山俊夫、たちである。
関東浜野組の若衆頭・寺田組組長・寺田次郎は、非人間的な叔父貴を殺してしまったことから、破門され、寺田組は解散、無期限の所払いとなり、中桐組に身柄を預けられることになる。が、それに不満を持つ長谷川が次期総長のイスを狙って陰謀を計り始める。で、寺田の周囲で抗争が始まり、寺田の仲間たちが殺され、復讐のために立ち上がる。(お馴染みのパターンである。)
本作は、お馴染みのパターンの物語の中に、バイオレンス描写に特筆する所があり、それが救いになっている。東映の任侠映画と違う日活らしさがあるものの、今ひとつ、輝いていないのは、任侠映画が下火になってきたということもあるが、もう少し派手な所が欲しかったのも正直な所である。
日活作品ということで、東映の任侠映画との違いがあるものの、これが「日活」という所が今ひとつ出ておらず、日活得意の無国籍アクションという要素をもう少し出しても良かったと思われる。が、一味違う任侠映画ということで、一応は見ておくことをお薦めしたいのだが、現時点ではDVD化されていない。何とかして貰いたいところである。(LDではリリースされていましたけど...)
↓DVDではなくてビデオです。
- 出版社/メーカー: 日活
- 発売日: 1987/08/25
- メディア: ビデオ
日本映画ポスター集 日活アクション篇〈1〉―西林忠雄コレクション
- 作者:
- 出版社/メーカー: ワイズ出版
- 発売日: 2000/12
- メディア: 単行本
日本映画ポスター集 日活アクション篇〈2〉―西林忠雄コレクション
- 作者:
- 出版社/メーカー: ワイズ出版
- 発売日: 2001/02
- メディア: 単行本
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