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「多羅尾伴内」(その7) [映画(邦画)]

懐かしの邦画ヒーローの第16弾として記してきた「多羅尾伴内」シリーズも今回が最後である。今回は、片岡千恵蔵主演シリーズが完結した後、18年ぶりに小林旭の主演で制作された2本についてです。

これらの作品は、東映に移籍した小林旭が、片岡千恵蔵主演主演の人気シリーズを受け継いだものであり、変装を得意とする藤村大造がその変装術を使って難事件を解決していくという物語である。が、マイト・ガイ・小林旭のキャラクタが多羅尾伴内とは合わず、僅か2作で終了することになってしまった。一応、片岡千恵蔵主演作品との違いとしては、小林旭ならではのアクションがあったのですけどね...

シリーズ第1作多羅尾伴内」(1978年)
作品データを記しておくと、1978年の東映東京の作品で、時間は104分、当然、カラー作品である。原作は比佐芳武、監督は鈴木則文、脚本は高田宏治、撮影は出先哲也、美術は北川弘、音楽は菊池俊輔である。そして出演は、小林旭、池部良、財津一郎、八代亜紀、アン・ルイス、夏樹陽子、竹井みどり、天津敏、成田三樹夫、江木俊夫、川口敦子、安部徹、石橋雅史、たちである。

この物語は、最初の部分は片岡千恵蔵主演シリーズの第7作「多羅尾伴内シリーズ 隼の魔王」(1955年)のリメイクである。23年という時間が流れていることで、(当時の)現代風にアレンジされている。が、完全なリメイクではなくて、更に別の事件が起こっていく。

日本シリーズ第5戦が行われている東京K球場。九回裏日報レッズの攻撃で、バッター高塚が逆転満塁サヨナラホームランを打った。ゆっくりと走り出した高塚は突然倒れて死んでしまった。検死の結果、アイヌが熊狩りに用いる猛毒を使った毒針による他殺と分かる。また、翌日には新聞社のカメラマン・川瀬が同じ手口で殺された。で、川瀬の妹・ゆう子が伴内に真相究明を依頼した。調査をしている内に、殺された高塚たちは去年の夏に北海道に行き、アイヌの若い男と幼児をひき殺していた事が分かる。事件は、その男と子供を殺された妻の復讐劇であった...

内容としては、少し詰め込みすぎたという感じがしないでもないが、多羅尾伴内の変装を駆使して事件の謎を解いていくという展開は、テンポが良く、また、小林旭のアクションもあって、楽しませてくれる。本作では、片岡千恵蔵版とは違う魅力を出すことに成功したのですけど...

シリーズ第2作多羅尾伴内 鬼面村の惨劇」(1978年)
作品データを記しておくと、1978年の東映東京の作品で、時間は88分である。原作は比佐芳武、監督は山口和彦、脚本は掛札昌裕、撮影は出先哲也、美術は中村州志、音楽は鏑木創である。そして出演は、小林旭、財津一郎、鈴鹿景子、北林早苗、渥美国泰、北川たか子、鈴木敦子、和田瑞穂、遠藤薫、長谷川真砂美、章文栄、たちである。

信州・赤石山脈の裾野にある村の豪農・雨宮家。当主の剛蔵と歌江夫妻の次女・真理子の結婚式が翌日に控えていた。その夜、真埋子が何者かによって殺され、死体には半分が真っ赤な絵の具で塗られた鬼面があった。真理子の結婚式に招待されていた多羅尾伴内は事件の解明に乗り出す。調査を進めていくと、雨宮家の財産相続に絡む人間の犯行だと思われた。が、第二の殺人が起こり、雨宮家の三女・薫が宙吊り死体で発見された、またも赤い絵の具で塗られた鬼面があった。更に調査を続けると、25年前に起こった跡取り娘殺人事件に行き当たった...

本作は、多羅尾伴内が活躍する物語ではなくて、金田一耕助が扱うような事件である。舞台となる場所もそうであるが、殺人の手口も金田一である。ということで、アクションもなく、ごく普通の推理ものということになってしまい、多羅尾伴内とする必要のない物語となっている。(これが本作の最大の失敗点である。)そのため、興行的にも転けてしまい、小林・伴内は幕を下ろすことになった。

人気シリーズとして、片岡千恵蔵のイメージがあるキャラクタを新たなキャストで復活させるとなると、色々と苦労があるのは分かる。1作目の方はそれなりに新機軸を打ち出して成功したが、2作目はどう考えても企画ミスである。新たな方向性を打ち出そうと考えたのであろうが、当時は石坂浩二主演の金田一耕助が活躍する映画もあったので、それに倣うというのは、これまでに築いてきた多羅尾伴内というキャラを否定することにもなっている。ということで、2作目は見ない方が良いでしょうね。(金田一耕助のファンという方も、金田一耕助は登場しないので、見る必要もないのは言うまでもない。)→ということもあるのか、ソフト化されていない作品です。(かつて、LDではリリースされていたことを考えると、LDのソフトというのは本当に行き着く所まで行ったという感じですね。)

イメージの定着したキャラを使って新たな作品を作る場合の良い見本と悪い見本がセットになっている作品だったと言うことが出来る作品である。

 

↓今回の2作はソフトとしてリリースされていないので、こういうものを...

多羅尾伴内 1

  • 作者: 小池 一夫
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1986/04
  • メディア: 単行本

多羅尾伴内 [少年向け:コミックセット]

  • 作者: 石森章太郎・小池一夫
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • メディア: 新書

多羅尾伴内―七つの顔の男

多羅尾伴内―七つの顔の男

  • 作者: 関 貞三
  • 出版社/メーカー: ワイズ出版
  • 発売日: 2005/03
  • メディア: 単行本

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