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「丹下左膳」(その3) [映画(邦画)]

今回は、戦前の日活作品(シリーズとしては番外編扱いである。)で、評価の高い1本と、そのリメイク作品についてをセットにして記します。

丹下左膳餘話 百萬兩の壺」(1935年)
作品データを記しておくと、1935年の日活作品で、時間は92分、原作は林不忘、監督は山中貞雄、脚本は三村伸太郎、撮影は安本淳、音楽は西梧郎である。そして出演は、大河内傳次郎、喜代三、沢村国太郎、山本礼三郎、鬼頭善一郎、阪東勝太郎、磯川勝彦、清川荘司、高勢実乗、鳥羽陽之助、宗春太郎、花井蘭子、伊村理江子、達美心子、深水藤子、たちである。

この作品は29歳で戦死してしまった天才映画監督と言われた山中貞雄監督作品の中の1つであり、現存している作品が3本あるが、その中の1つということもあって、とても貴重な作品である。また、日本だけでなく海外でも高く評価されている。

先祖が隠した百万両の在処が記されているというこけ猿の壺。先日、江戸の道場屋敷に婿入りした源三郎が持って行ったが、源三郎は百万両のことは知らなかった。そのことを知った源三郎だったが、既にその壺は道具屋に売っていた。で、その壺は、道具屋の隣に住む安吉の手に渡り、金魚入れとなっていた。安吉の父は矢場でチンピラと諍いを起こし、刺し殺されてしまい、用心棒をしながら居候をしている丹下左膳と矢場の女将・お藤は、安吉が母親を早く亡くしていて父と二人きりだったことを知り、安吉を預かることにした。一方、壺を探す源三郎は、矢場で働く娘に浮気心を抱き、壺を探すと称して矢場に入り浸りになり、いつしか安吉や丹下左膳とも親しくなったが...

コメディ・タッチで描かれていて、テンポも良く、実に楽しい作品になっている。また、人物描写も巧みであり、世界的にも高く評価されているのも十分分かる。正に傑作である。

リメイク作・「丹下左膳 百万両の壺」(2004年)
作品データを記しておくと、2004年のエデンの製作で、時間は119分、原作は林不忘、監督と撮影は津田豊滋、オリジナル脚本は三村伸太郎、脚本は江戸木純、音楽は大谷幸である。そして出演は、豊川悦司、和久井映見、野村宏伸、麻生久美子、金田明夫、武井証、坂本長利、市田克彦、市田小百合、中山一朗、山下徹大、柏原収史、荒木しげる、渡辺裕之、豊原功補、田中千絵、坂本三佳、由樹、高橋渡、吉間亮、中谷由香、峰蘭太郎、渡辺篤史、堀内正美、たちである。

丹下左膳が右目と右腕を失った所から描かれている。(別に無くても良いと思うのだが...)で、お藤と夫婦になり、お藤の営む射的場の用心棒となった丹下左膳。

柳生の里では、藩主が実弟・源三郎の結婚祝に贈ったこけ猿の壺に莫大な隠し金の場所が隠されていると知って大慌てとなっていた。しかも、源三郎の妻・萩乃はその壺を廃品回収屋に売っていた。壺の秘密を知った源三郎は、壺を探して江戸市中を回り始める。丹下左膳とお藤は、ちょっとしたことから孤児となった5歳の少年・ちょび安を預かることになり、次第に本当の親子のように打ち解けていく。そんな中、ちょび安がこけ猿の壺を持っていたことから争奪戦に巻き込まれていく...

リメイク作と言っても、「丹下左膳」の映画となると40年近く間が開いていたことになる。ということもあってか、丹下左膳の右目と右腕を亡くしたエピソードから始まって、分かりやすいのだが、ちょっと余計な感じもする。テンポも今一つで、山中監督作を見ていたら、本作には歯切れの悪さを感じるだけである。久しぶりにスクリーンに丹下左膳が登場したということは嬉しい所であるが、それだけという作品でした。

まあ、オリジナルが世界的にも評価されている傑作中の傑作であり、そのリメイクとしたら、こんな所でしょう。「リメイク作はオリジナルに及ばない」と言われるが、その言葉通りの作品である。(ただ、オリジナルは白黒作品であり、本作はカラー作品ということで、色彩の点だけはオリジナルを越えてますけど...)

 

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