名曲探偵アマデウス#32 ショパン「ポロネーズ第6番変イ長調作品53 『英雄』」 [ドラマ]
今回取り上げられたのはショパンの「ポロネーズ第6番変イ長調作品53 英雄」でした。「英雄ポロネーズ」と呼ばれているこの曲は、テンポ良く、華麗で華やかな曲でもあり、CMに使われたこともありますし、ドラマでも使われたことがあっただけに、とても有名な曲でもある。それだけに、どういう物語にするのか、とても楽しみでしたが、ボクサーを出してきてスポ根ものということにしたのは面白い所でした。(「あしたのジョウイチ」ということで、元ネタは「あしたのジョー」であるのは言うまでもない。依頼人は茅葺譲一(かやぶき・じょういち)ということで、矢吹丈をいじった名前ですし...)
が、兎に角今回は、カノンさんがいつも異常に様々な姿を見せていて、「借金取り」と言って怯えるところから、軽いイタズラ、優雅な踊り、豊かな表情、叱咤激励、そして怒りまで、曲と同様にカノンさんがたっぷりと魅せてくれました。(実に楽しいカノンさんです。)
また、演出の方も、「0093女王陛下の草刈正雄」に登場した「人間スローモーション」を取り入れたラストも面白い所でした。で、今回は「カノンさん最強」ということを強く印象づけてくれました。
冒頭、ショパンの「子守歌」が流れている中、所長もカノンさんも寝ている。(実に暇な探偵事務所です。)が、ドアを強くノックする音に驚いて飛び起きたカノンさんは「きっと借金取りですよ」と言って怯える。所長に出てもらおうとするが、「君の仕事だろう」と所長。カノンさんはジャンケンを挑むが、5回続けて負けてしまい、諦めて出る。(5回もジャンケンをすると、1回ぐらいは勝つと思うのですけど...)で、扉を開けると、いきなりパンチが飛んでくる。これを躱したカノンさんはパンチを構えた。ということで、最初からカノンさんが色々と魅せてくれました。
依頼者はボクサーで元世界チャンピオン。復帰戦を2週間後に控えていたが、全く調子が出ず、あるCDを渡されて、その意味を知りたいということでやってきたのだった。これにカノンさんは「イメトレしろということじゃないですか」から、「ズバリ『ロッキー』でしょう」とボクシングの定番を口にしてくれます。が、「ブー」ということで、「英雄ポロネーズ」ということでした。
依頼人がシャドーボクシングでかっこいい所を見せると「カッコイイ!」と持ち上げたカノンさん。これに「ありがとうございます」と照れる依頼人。すると「隙あり!」と言ってパンチを入れたカノンさん。「どれくらい強いのかなぁって」って、イタズラ心に満ちていて楽しませてくれます。更に、パンチということでは、依頼者が自信を失い「息子に無様な姿をさらしてしまうんだ...」と口にすると、スタスタと依頼者の元に移動して、一発入れると「何、弱気になってるのよ。腐っても元チャンピオンでしょう」と激励のパンチを入れて険しい顔をするが、その直後に「ねっ」と言う笑顔を見せたのも。カノンさんらしいところでした。
ポロネーズがポーランドの民族舞踊の一つということで、それがどういう踊か、という解説があり、カノンさんは依頼者と共に踊って、優雅な姿を見せてくれたが、依頼者がチャンピオンになって金のブレスレットを手に入れて、それを見せびらかす所は興味なさそうな表情をするが、複雑な笑顔を見せ、所長の説明には感情豊かにコロコロと表情が変わるカノンさん。いつも以上に輝いていました。
また、途中の「左手オクターブの連打」の解説の所で、仲道郁代さんが実に楽しそうに語っていたのも、カノンさんの豊かな表情と共に魅せてくれる所でした。→仲道さんには、今後も定期的に登場してもらいたい所です。(これまでにも何度か出てきていますけど...)
結局、所長によって自信を回復した依頼者だったが、こういうことが出来るのなら、所長とカノンさんのコンビは、精神的なアドバイザーとしても色々と活躍しそうですね。で、依頼者は帰っていく時に「お嬢さん、あんたのパンチ、結構利いたぜ」と言うと「えへっ」とカノンさんは可愛い所を見せていたが、ちょっと照れた笑顔のカノンさんも言い笑顔です。
今回のドラマ部分は36分半弱、仲道さんの演奏が7分弱、ラストのオチが約50秒ということで、全体のパランスも良い感じでした。
で、そのオチの部分では、依頼者の試合が終わり、その結果を知ろうとするカノンさんがスポーツ新聞を買って戻って来た。が、「怖くて見れない」と言って、「代わりに見て下さい」と新聞を所長に渡して見て貰う。(この凄い発想もまたカノンさんらしい所です。)で、カノンさんは手を組んで祈るように目を綴じている。が、1回TKO負けでリング状に倒れている写真を目にして、負けたと知った。所長は「まあ、こういうこともあるよ」と、気にしなかったが、「そんなの酷いじゃないですか!」と口にすると(ロッキーのBGMをバックに)人間スローモーション(要するに、スローモーションの様にゆっくりと動くというもので、黒川さん出演の映画「0093女王陛下の草刈正雄」でもこれをやっていました。)で所長の顔面にカノンさんの左ストレート・パンチが炸裂!更に右パンチも所長の顔面を捕らようとしていて... →所長は完全にKO、カノンさんが最強ということでした。
今回のこの曲は、テンポが良く、とても華やかであって雄大なスケールで力強く、それでいて静の部分は静の部分でもの悲しさが感じられ、動と静のコントラストが大きく、実に見事な曲であり、これを聴くと元気が出ることもあって、筆者も好きな曲である。が、今まで知らなかった一面を教えて貰ったことで、今まで以上に幅広いイメージを浮かべて聴くことが出来るようになりました。
次回(4/19)はファイルNo.033・モーツァルト「交響曲第41番 ジュピター」です。一応、今月の新作はそこまでのようですね。尚、今回のファイルNo.032・ショパン「ポロネーズ第6番変イ長調作品53 英雄」は、BS-hiでは4/16(火)朝、4/18(土)には再放送がありますし、BS-2では4/17(金)の朝に、地上波・総合テレビでは4/24(金)の昼間に放送予定となっています。
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