「THE ICE STORM」 [映画(洋画)]
表題の作品は1997年の映画「アイス・ストーム」である。ニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件に揺れていた当時、ある中流家庭の不安を描いたヒューマン・ドラマである。派手さは無いが、芸達者な顔ぶれでじっくりと描いた作品である。
作品データを記しておくと、時間は113分、原作はリック・ムーディ、監督はアン・リー、脚本はジェームズ・シェイマス、撮影はフレデリック・エルムズ、衣裳はキャロル・オーディッツ、音楽はマイケル・ダナである。そして出演は、ケヴィン・クライン、シガーニー・ウィーバー、ジョーン・アレン、ジェイミー・シェリダン、クリスティナ・リッチー、イライジャ・ウッド、アダム・ハン・バード、トビー・マグワイア、ケイティ・ホームズ、ヘンリー・ツェーニー、アリソン・ジャネイ、たちである。また本作は、カンヌ映画祭で脚本賞を受賞している。
時は1973年11月、ウォーターゲート事件により全米は揺れていた。ニューヨーク近郊のコネチカット州の中流家庭が多く住む住宅地にベン・フッドと妻・エレナ、ジム・カーヴァーと妻・ジェイニーが隣同士に住んでいた。が、ベンとジェイニーは不倫関係になっていて、疑心暗鬼のエレナは万引きをしたりして、精神的におかしくなっていた。また、フッド家の長男・ポールは寄宿舎に入っていて、家には殆ど帰らず、妹・ウェンディはわざと突っ張っていて、カーヴァー家のマイキーやサンディを誘惑していた。そんな中、ベンはジェイニーに愛想をつかされ、カーヴァー家でマイキーと抱き合っていたウェンディを見つける。家に連れ帰ってくるが、エレナに浮気の証拠を掴まれ、フッド家は氷の嵐の夜となる。が、その夜は悲劇の夜となる...
一見した所は幸せそうに見える2つの家族であるが、実は心はバラバラになっていて、家族としては崩壊していて、それぞれが不安な気持ちを持っている。そんな家族に訪れる悲劇を功みな映像で描いた本作は、当時は既に2年連続アカデミー賞で外国語映画賞にノミネートされる作品を生み出していて、後に「グリーン・デスティニー」「ブロークバック・マウンテン」でアカデミー賞を獲得することになるアン・リー監督の片鱗が見られる作品でもある。(が、その割りに本作に対する評価は高くないのが不思議なところでもある。)が、アン・リー監督作品としては見ておきたい1本である。
↓原作はこちら
コメント 0