名曲探偵アマデウス#39 スメタナ「交響詩「わが祖国」より「モルダウ」」 [ドラマ]
先週は再放送だったため、新作は2週ぶりということになったが、やっぱり楽しい物語がやってきました。(前の物語とは随分と雰囲気が違いました。)今回はスメタナの交響詩「わが祖国」より「モルダウ」ということで、スケールの大きな曲の登場でした。
「モルダウ」というのはチェコの川の名前であり、その川には河童はいくら何でもいないでしょうが、サブタイトル(事件名)が「河童の里騒動記」ということで、これがどう繋がるのかというのも楽しみであったが、なかなか面白い形で河童を出していましたね。カノンさんも最初にモルダウ川のことを地図帳で調べていたが、インターネットではないところが貧乏事務所らしい所です。(ただ、最近は一時期と違って「貧乏」ということを前面に出さなくなりましたが...)このように、しっかりと調べるカノンさんには好感が持てます。
特に、カノンさんが河童の真似をしてぶっ壊れ、(ラストで)依頼人が河童になっているというのは、コメディとしては楽しい所でもありました。
今回の物語には、観光開発に対する警鐘もあって、これをチェコの歴史に重ね合わせるということで、物語としたら随分と奥深いものになっていて、重みのある物語であったが、カノンさんの河童の真似と依頼人の河童という壊れたところとの落差が大きく、なかなか上手い物語でもありました。
そして、川の流れを表し、しかもスメタナの祖国に対する思いが込められているということで、この曲に対する認識が大きく変わることになりました。
冒頭から依頼人が事務所に来ていて、田舎の農村が観光施設「マウンテン・ヴィレッジ・パーク」に変わるという話をしている。カノンさんのノリノリのツッコミはいつもながら楽しいですね。(その後のちょっと深刻な表情とのギャップは、表情豊かなカノンさんらしい所です。)
川の源流から、それが川となって流れていく様子を表しているということは知っていたが、2つの源流があって、それが合流して、という所まで仕組んでいたとは、本当に川そのものということで、本当に凄い曲ですね。野本先生の解説も、とても分かりやすく、シンプルで単純なメロディの主題が、モルダウ川を功に表しているなんて、つくづく感心しました。
そんな中、モルダウ川の精霊という所から、カノンさんが「河童の祟り」と口にしてぶっ壊れるが、カノンさんの豊かな発想と、ぶっ壊れている時の表情は、本当に楽しませてくれます。この時、所長は意外と冷静であったが、まあこれはいつものことでもありますからね。
解説がチェコの国としての歴史とオーバーラップしていくと、一気に重みのある話になっていくが、「交響詩」についての解説もしっかりとしてくれるのはありがたい所です。特に、作り手の思いを解説として付けるというのは取りようによってはお節介のようにも感じられるが、広壮な理念の元で作られたこの曲では、そういうことは一切考えられず、重みのあるメッセージとして受け取ることが出来るが、この曲のサウンドのスケールが大きいだけでなく、背景にも大きな理念があり、民族の誇り、歴史までも表現していたということを知って、今まで以上にこの曲のスケールの大きさを改めて知りました。
今回のドラマ部分は33分強、曲の演奏は10分弱、ラストのオチが1分強という構成であり、曲をじっくりと聴くことが出来、そしてオチの所も楽しめる構成となっていて、しっかりと楽しめました。
ラストのオチの部分は、依頼人からの手紙が届き、カノンさんが読んでくれる。観光施設は「マウンテン・ヴィレッジ・パーク」ではなく「河童リバーランド」となり、その建設に励んでいた。が、河童様は姿を現してくれないので、依頼人が一肌脱いで、今年の夏はこれで乗り切りたい、と言う。所長は「どういうことだ?」と分からなかった。カノンさんは手紙同封されていたポスターを思い出し、それを広げると、そこには河童に扮した依頼人の姿があった。で、目を丸くして「河童!」と口を揃える所長とカノンさん。やっぱり行きのあった所を見せてくれました。
曲の解説の所では、今回はシリアス路線で進み、弾けたところはカノンさんが「河童の祟り」と行って怖がるところだけだったが、やっぱり最後にコメディというところを出してくれたのは本作らしいところであるが、全体としてはシリアスな物語ということで、楽しめるものの、重厚な曲の背景を知ることが出来て、なるほど、と関心した物語でした。
次回(来週)はファイルNo.040・ドビュッシー「月の光」です。その次の7/19はファイルNo.041・メンデルスゾーン「真夏の夜の夢」序曲となり、今月の新作はそこまでの3本です。尚、今回の物語は、BS-2では7/10の放送だが、地上波では7/31までお預けです。
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