THOMAS DOLBY『ASTRONAUTS & HERETICS』

表題のアルバムは1992年に発表された彼の4枚目のアルバムである。'80'sのシンセサイザーを使ったサウンド（所謂「エレポップ」）の創生期（当時は「エレポップ」という言葉が生まれる前である。）に、独自のサウンドを生み出して、シンセサイザーを一般的な楽器にするのに彼の名前を忘れることが出来ないが、そんな彼が1988年以来4年ぶりに発表したのが本アルバムである。前作の発表のあとは、様々なライヴ活動に参加するということで、彼のオリジナル作品ということでは久しぶりということになった。が、アメリカでは4年という歳月もあったのか、殆ど忘れられた存在になっていて、特にヒットすることはなかった。（イギリスでは最高位35位を記録している。）

収録曲は以下の全9曲である。『I Love You Goodbye』『Cruel』『Silk Pyjamas』『I Live In A Suitcase』『Eastern Bloc』『Close But No Cigar』『That's Why People Fall In Love』『Neon Sisters』『Beauty Of A Dream』。

この中からシングル･カットされたのは3曲である。（いずれもイギリスのみでのヒットで、アメリカではチャートインしていない。）『Close But No Cigar』が最高位22位、『I Love You Goodbye』が最高位36位、『Silk Pyjamas』が最高位62位を記録している。

お薦め曲はシングル･ヒットしている『I Love You Goodbye』と『Silk Pyjamas』、そして『Neon Sisters』『Beauty Of A Dream』をピックアップしておく。

彼のアルバムは完成度が非常に高いが、本アルバムもやはり完成度は高く、計算し尽くした緻密なサウンドというのは健在である。（やっぱり「博士」という所は変わらない。）色々とやっているのはこれまでのアルバムと同じであって、サウンドの方もバラエティに富んだものになっていて、色々と聴かせてくれている。

ただ、本アルバムで彼は音楽的にやれることは全てやり尽くしてしまったようになってしまい、音楽活動が少なくなっていくことになる。（'94年のサントラ、2001年と2006年にライヴ･アルバムがリリースされただけである。）このことを考えると、彼のキャリアに於ける集大成というアルバムということも出来る。それだけに、しっかりと聴いておきたいアルバムである。

 

Astronauts & Heretics

• アーティスト:
• 出版社/メーカー: Warner Bros.
• 発売日: 2006/09/26
• メディア: CD

Astronauts & Heretics

• アーティスト:
• 出版社/メーカー: VIP
• 発売日: 1999/03/01
• メディア: CD