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「喜劇・旅行」(その9) [映画(邦画)]

懐かしの邦画シリーズの第40弾として記してきた「喜劇・旅行」シリーズについては今回で終了とします。で、1972年の残っている2本(シリーズ第10作と第11作)について記します。

シリーズ第10作喜劇・怪談旅行
作品データを記しておくと、1972年の松竹作品で、時間は92分、原作し脚本は舟橋和郎、監督は瀬川昌治、撮影は丸山恵司、美術は熊谷正雄、音楽は大森盛太郎である。そして出演は、フランキー堺、森田健作、日色ともゑ、川崎あかね、野川由美子、三木のり平、ケーシー高峰、園佳也子、森明子、呉恵美子、夏海千佳子、林ゆたか、三城康裕、立原博、中田昇、小田草之助、たちである。

紀勢本線の港町である太地駅の駅長として赴任して来た大和田信平。彼はとりあえずの住み処として、墓地の裏手にあり、化け物が出るという評判の古びたあばら家に案内された。お化け屋敷だと言う信平に、信平の先輩だった乗車係の庄作は、家賃が安いことと、隣の尼寺の風呂場を覗くことが出来る、と囁く。妻に先立たれている信平も誘惑に負けて覗いてしまう。すると、目の前に亡き妻・うめ子の亡霊が現われて、浮気をしても良いとのお許しを貰った。ある日信平は、団体旅行の勧誘のために、海岸にある海女の小舎に行く。そして、そこで庄作の息子の大介の恋人であるちづを通して食堂を経営する由美と知り合う。信平は由美の美しさに惹かれる。が、由美は庄作と深い関係にあったが、籍は入れておらず、庄作は苛立つことになる。そして休日、信平は由美を温泉へ誘い、庄作は見張り役に大介を尾行させた。が、役に立たない大介だった。何だかんだで2人は雨の中、「四谷怪談」の看板がある芝居小屋に行き、雨宿りをして帰ってきた。すると、うめ子の亡霊と庄作の激しいヤキモチを受けることになった。数日後、町ではお化け騒ぎがあって、その間に駅の現金を盗まれるという事件が起きた。信平はこの騒動に関係している女に近づいてきたやくざの男を捕らえると、真相を知った。お化け騒ぎは賭場に人を近づけないためのカムフラージュだったのだった。で、盆踊りの夜、信平はうめ子にそっくりな里枝に声を掛け、彼女に惹かれた。うめ子もこの人ならと言うと消えていった。

シリーズの中ではちょっと異色な作品である。主人公の設定も、妻に先立たれた男ということで、実質的には独身であるとはいうものの、少し捻りがある。そして、幽霊話を用いているが、これに関しては恐怖を感じることはなく、全てが笑いのネタとなっている。ということで、シリーズの中では異色であるものの、楽しませてくれると言うことでは密度の高い作品である。ただ、本作は「幽霊」「盆踊り」「海」などが出てくるだけに、暑い夏場に見た方が良いですね。

シリーズ第11作快感旅行
作品データを記しておくと、1972年の松竹作品で、時間は90分、原作は舟橋和郎、監督は瀬川昌治、脚本は下飯坂菊馬と瀬川昌治の2人、撮影は丸山恵司、美術は熊谷正雄、音楽は大森盛太郎である。そして出演は、フランキー堺、倍賞美津子、森田健作、光本幸子、藤巻潤、朱里エイコ、ケーシー高峰、ミヤコ蝶々、伴淳三郎、森明子、岩崎和子、立原博、生井健夫、中田昇、佐山俊二、城戸卓、小森英明、安芸秀子、バートレー・ジャネット、バーバラ・アダムス、藤田純子、高畑喜三、大久保敏男、秩父晴子、たちである。

金沢車掌区に勤務する坂本大作は、金沢-東京間の急行列車の専務車掌である。35歳になるのに今だに独身であった。そんな彼は、上野の食堂のウェイトレス・光子に惚れられた。が、大作と光子はタイプの異なる人間であり、大作は気にしなかった。そんな中、大作は金沢の旅館・加賀屋の女主人に招待されて、加賀屋に行った。が、大作は女主人の娘で40代の未亡人・信乃の婿にされるものと思い込んで逃げ出した。その帰り道で大作は句会の同人である清楚な美人・千代と出会う。話をすると、千代は加賀屋の娘であり、大作を婿にと言う話の相手は千代だった。それ以来、2人はデートをするようになる。が、大作に惚れた光子は大作を追ってきて、大作の周囲に現れて、千代とのデートの邪魔をする。一方、千代には上の博物館で働く恋人がいて、彼との恋を選ぶか、婿を取ら無ければならないことで悩んでいた。そして最後の決断を使用として東京に行く。その間に光子は大介の自宅の二階を間借りして、大作に猛アタックする。が、大作はそれを嫌い、加賀屋から再度来た洋資の話に乗って、加賀屋で修行を始めることにした。が、今度は光子が女中として加賀屋にまでやってきた。夜、大作が寝ていると千代がやってきた。が、朝、大作が目覚めた時には、千代ではなくて光子が隣にいた。が、光子は「これで気が済んだ」と言って全てを謝る。そして千代がやってくると、光子の愛に応えるように言われる。これで大作は、千代は男がいると察知し、光子のことが気になるようになった。一方、光子は金沢から東京に帰っていこうとしていたが、彼女の乗った列車の車掌でもあった大作は、光子にプロポーズした。

設定はシリーズのオーソドックスなものに戻しただけに、お馴染みの展開で物語が進んで行くことになっている。安心して見ていられるのだが、シリーズの最終作ということでは、ちっと物足りなさを感じる作品でした。(第10作と第11作が逆で、シリーズに幕を下ろした方が良かったと思います。)

本シリーズと「喜劇・列車」シリーズは、同じパターンの物語であり、安心して楽しむことが出来る。また、作品の出来不出来というものの差が少ない(それでも「ハズレ」と感じる作品もありますが...)ので、どれでも同じように楽しむことが出来る。特に、鉄道ファンであれば、いずれの作品もが40年前後昔の作品ということで、現在では引退した列車の姿を見ることが出来るというお楽しみがある。(物語を楽しむのではなく、登場する列車に注目して見るというのも一つの楽しみ方である。)まあ、色んな楽しみ方をするのでよろしいかと...

 

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