「大菩薩峠」(その6) [映画(邦画)]
今回は東映のリメイク三部作の最終作となる1本について記します。
東映リメイク・シリーズ第3作「大菩薩峠 完結篇」
作品データを記しておくと、1959年の東映京都の作品で、時間は106分、原作は中里介山、監督は内田吐夢、脚本は猪俣勝人と柴英三郎の2人、撮影は三木滋人、美術は鈴木孝俊、音楽は深井史郎、助監督として倉田準二、山下耕作、本田達男の名前がある。そして出演は、片岡千恵蔵、中村錦之助、長谷川裕見子、月形龍之介、浦里はるみ、丘さとみ、山形勲、岸井明、加賀邦男、星美智子、東千代之介、喜多川千鶴、左卜全、沢村貞子、河野秋武、徳大寺伸、月形哲之助、植木義晴、武田正憲、中野文男、時田一男、小田部通麿、長田健、明石潮、阿由葉秀郎、玉喜うた子、梅沢昇、たちである。
物語は前作からの続きである。机竜之助はつつじが岡にある荒屋敷に起居していて、神尾主膳の命ずるままに甲州街道でいくつかの命を奪っていた。そんな中、竜之助を兄の仇として追い続けている宇津木兵馬は、神尾主膳の屋敷に侵入した怪盗の犯行にこじつけられて、甲府城に捕われていた。また、祖父を竜之助に斬られているお松も、兵馬が捕らえられていると言うことを知ると、神尾の屋敷に住み込んでその機会を狙っていた。神尾主膳は、有馬家の娘・お銀を狙っていて、いよいよ動き始める。つつじが岡の荒屋敷におびき寄せる。その頃、お松は城内の絵図面を七兵衛に渡していて、彼は捕らえられていた兵馬たちを救い出し、能登守に迎え入れられた。兵馬は流鏑馬八幡宮奉納試合に出ることを申し出て、そこで神尾主膳が召抱えている小森数之進を倒す。その帰り途、竜之助が能登守を遅う。これに兵馬が入り、竜之助に相対することになる。しかし、竜之助は能登守を斬らず、狂気に取り憑かれ、兵馬の剣を避けるように消えていく。更に神尾主膳に焼打ちに遭った竜之助は、お銀を連れて彷徨い、お浜の故郷の村に来ていた。そしてお浜の幻影を目にした竜之助は女を切り捨て、我が子郁太郎の声を耳にして、濁流の中に消えていった。
物語に決着を付けているものの、原作小説が未完であるために、これは本作で用意したものである。この結末に関しては賛否両論があって、好意的な受け止め方がされていない。とは言っても、映画にした以上は何らかの結末を用意しないとならないので、これはある程度仕方のないことでもある。(だからといって、兵馬の仇討ちが成功するとか、竜之助がまともに戻るという結末も考えられないですし...)
本作は、物語の結びに関しては評判が良くないものの、作品の映像美についてや、片岡千恵蔵の演技については、絶賛する声で共通している。まあ、その辺りは内田監督らしいと言うことになるのだが、映像美を楽しむ作品ということならば辛うじてくょようはン医ということですかね。ただ、原作小説が未完とはいうものの、超大作であることを思うと、ちょっと寂しさも感じてしまいますが...まあ、これはこれで一つの解釈と言うことで宜しいかと...
コメント 0