BRYAN FERRY『THESE FOOLISH THINGS』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは、1973年に発表された彼のソロ・デビュー・アルバムである。ROXY MUSICで独自のサウンドを展開していた彼であるが、本アルバムは全てがカヴァー曲ということで、ソロ・デビュー・アルバムということでは異色の内容である。が、彼のサウンド世界を突き進んでいて、オリジナル曲とはまた違った雰囲気を味わうことができる内容になっている。イギリスでは最高位5位を記録していて、ソロとしても順調な船出となった。
収録曲は以下の全13曲である。『A Hard Rain's A-Gonna Fall』『River Of Salt』『Don't Ever Change』『Piece Of My Heart』『Baby I Don't Care』『It's My Party』『Don't Worry Baby』『Sympathy For The Devil』『The Track Of My Tears』『You Won't See Me』『I Love How You Love Me』『Loving You Is Sweeter Than Ever』『These Foolish Things』。
この中からシングル・カットされたのは2曲である。『A Hard Rain's A-Gonna Fall』がイギリスで最高位10位を、オーストラリアで最高位23位を記録するヒットとなっている。尚、2nd.シングルの『I Love How You Love Me』は特にチャートインは記録していない。
お薦め曲は、シングル・ヒットを記録しているBOB DYLANの『A Hard Rain's A-Gonna Fall』、BEATLESの『You Won't See Me』、STONESの『Sympathy For The Devil』、BEACH BOYSの『Don't Worry Baby』、S. ROBINSONの『The Track Of My Tears』という所をピックアップしておく。
本アルバムの収録曲は全てカヴァー曲であるため、オリジナルと聴き比べるという楽しみができるが、オリジナルを忘れても楽しむことも出来るだけのアレンジが成されている。ということで、オリジナル曲とは別の世界観を築き上げている。(オリジナル曲を全く知らないという若い世代であれば、また違った受け取り方も出来るでしょうね...)ということで、彼の存在感はソロとしてのキャリアをスタートさせた時から発揮されている。
'60'sまでは、名曲は多くのアーティストたちにカヴァーされるというのは当たり前であったが、'70'sに入るとカヴァーが減って珍しいことになった。しかし、かつてのように名曲のカヴァーということを行い、単なるカヴァーの範疇から脱却して新たな世界を与えたということで、本アルバムの果たした役割は大きいものがある。オリジナルを知っている方はオリジナルとの聴き比べを含めて2倍楽しめるアルバムである。また、オリジナルを知らないという方は、オリジナル曲の方を捜して聴くことで、色々と楽しいことになるアルバムである。
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