「RED DUST」 [映画(洋画)]
表題の作品は1932年のアメリカ映画「紅塵」である。1953年の「モガンボ」は本作のリメイク作品であるが、そちらでもクラーク・ゲイブルが同じ役を演じている(監督は別人である。)ので、見比べてみるという楽しみが出来る作品である。(但し、「モガンボ」では物語の舞台をアフリカにしていて、また設定も本作とは異なるものにしている。)文明とはかけ離れた地を部隊にした男女の三角関係を描いた作品であるが、製作されたのが1930年代ということで、現在では何かと問題になる描写が多い作品でもある。
作品データを記しておくと、時間は86分、白黒作品である。原作はウィルソン・コリソン、監督はヴィクター・フレミング、脚本はジョン・リー・メイヒン、撮影はハロルド・ロッソンである。そして出演は、クラーク・ゲイブル、ジーン・ハーロウ、メアリー・アスター、ジーン・レイモンド、ドナルド・クリスプ、タリー・マーシャル、フォーレスター・ハーヴェイ、ウイリー・ファング、たちである。
インドシナにあるゴム農園で働くデニス・カーソンは、父の跡を継いでこの過酷な地で生活をしているが、女っ気の全くないこの土地での暮らしに、雨季が近づく頃には憂鬱になっていた。そんな中、長期滞在している娘・ヴァンティーンと愛し合うようになる。しかし、彼女の積極的なアプローチを持て余していたが、雨期の憂鬱を忘れさせていた。しかし、そのヴァンティーンもこの地を離れることになり、彼女と入れ替わるように、ウィリスという測量技師が美しい妻・バーバラを連れて赴任してきた。しかし、ウィリスは体力的にこの地の風土に合わず、激しい熱病にかかってしまう。デニスは体力的に劣った者には同情しなかったが、ウィリスの妻・バーバラの美しさに憧れを感じ。バーバラにウィリスの看病を頼まれると、熱心に看病するようになる。
そんな中、旅だったはずのヴァンティーンが船の故障で先に進めないと言うことで戻ってきた。デニスがバーバラに夢中になっているのを知ると、ヴァンティーンは嫉妬に駆られて2人を監視するようになる。やがて、ウィリスの熱病も治まり、雨期となる。ウィリスはデニスのことを命の恩人として敬服していたこともあって、バーバラとの関係には全く気づくことなく熱心に仕事に取り組む。そして雨期にもかかわらず、デニスはウィリスを溝渠工事の現場監督として派遣して、邪魔者がいないようにしてバーバラとの関係を持つ。やがてバーバラもデニスに惹かれるようになり、ウィリスと別れて部ニスと結婚する気になった。しかし、ヴァンティーンは雨期で船が出ないこともあって、何もすることが出来ずにいた。デニスはバーバラの決心をウィリスに伝えに行こうとしたが、ウィリスはバーバラを溺愛し、また自分のことを父の如く、そして兄のように慕っていることを知ると、バーバラと一緒になることを諦めることにして、戻って来てヴァンティーンの元に走る。そしてバーバラを侮辱する発言をするが、バーバラがそれを耳にしたことで、デニスを銃で撃ってしまう。幸い、傷は深くなく、ウィリスも駆けつけた。デニスは自分が悪者になって、バーバラは潔白だと告げ、ウィリスとバーバラは去っていく。ヴァンティーンはその跡、デニスの看病を続け、デニスの傷が癒えた頃、2人は夫婦となった。
物語の舞台が僻地ということと、雨期で交通網は殆ど機能していない状況など、ある意味ではミステリーの世界ではよくあるクローズド・サークルでの物語であるが、いつの時代、どんな場所でも、男と女の関係はドロドロしたものになるものだが、本作では意外とドロドロとした感じがなかったですね。(もっとねちっこくなるのかとも思ったのですが...)しかし、本作が製作されたのは、日本では昭和初期であることを考えると、これでも強烈だったことでしょうね...
まあ、「モガンボ」と見比べるという楽しみ方で見ておいたら宜しいかと...
↓リメイク作品はこちら
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