SIESTA(SOUNDTRACK) [音楽(サントラ)]
表題の作品は1987年の映画「シエスタ」である。実に豪華であり、かつ個性的なキャストである本作は、音楽にジャズ界の大物であるM・デイヴィスが絡んでいるということで、音楽の点では高く評価されている作品として知られている。(「音楽に力が入りすぎて、それ以外は…」ということになってしまった作品でもある。)
作品データを記しておくと、時間は97分、原作はパトリス・チャップマン、監督はメアリー・ランバート、脚本はパトリシア・ルイジアナ・ノップ、撮影はブライアン・ロフタス、音楽はマーカス・ミラーとマイルス・デイヴィスである。そして出演は、エレン・バーキン、ガブリエル・バーン、ジョディ・フォスター、マーティン・シーン、グレイス・ジョーンズ、ジュリアン・サンズ、イザベラ・ロッセリーニ、たちである。
舞台はスペイン。空港近くで倒れていた女・クレア。彼女は記憶を失っていて、自分がどうしてここにいるのかが分からないでいた。そんなクレアは過去を思い出していこうとするが...、という物語で、ストーリーとしては特にという作品ではない。ただ、ちょっとミステリアスな所はありますが...
それよりも、本作は何と言っても音楽の方が素晴らしい出来である。サントラ盤の方は、「サントラ盤」という枠を越えていて、一枚のドラマを持ったアルバムとして高い完成度を誇っている。この辺りは、流石はM・デイヴィスと感じさせる所であるが、当時の彼は円熟した質の高い作品を発表していただけに、それが本サントラ盤にも発揮されていると言ったらいいでしょう。
クラシック音楽の中には、音楽だけでドラマを見事に表現している曲が多いが、本サントラ盤はこれだけで一つのドラマを巧みに表現している。逆に、映画の方が、本サントラ盤の(時間が長すぎる)PVと言っても良く、冗長度の高いものと言ったらいいですね。
ということで、本作は、音楽(サントラ盤)だけでイメージを膨らませるということで十分と言っても良い作品である。(サントラ盤を先に聴いてから映画本編を見ると、ガッカリすることになる。先に映画を見ていたら、サントラ盤の出来が如何に高いかが良く分かるでしょう。)
最後にサントラ盤の収録曲を記しておく。収録曲は以下の全10曲である。『Lost In Madrid Part Ⅰ』『Siesta/Kitt's Kiss/Lost In Madrid Part Ⅱ』『Theme For Augustine/Wind/Seduction/Kiss』『Submission』『Lost In Madrid Part Ⅲ』『Conchita/Lament』『Lost In Madrid Part Ⅳ/Rat Dance/The Call』『Claire/Lost In Madrid Part Ⅴ』『Afterglow』『Los Feliz』。
全曲をお薦めということにしたいが、絞るとしたら『Siesta/Kitt's Kiss/Lost In Madrid Part Ⅱ』と『Lost In Madrid Part Ⅳ/Rat Dance/The Call』をチョイスしておく。が、やはり全曲で1つの作品として捕らえ、じっくりと聴き込むべきアルバムである。
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