SSブログ

「太陽の季節」 [映画(邦画)]

長門裕之の訃報が届いたということで、追悼ということから彼の主演作品を取り上げることにします。出演作品の数は膨大であるが、主演作品はキャリアの初期にある程度であって、脇役としての出演が殆どであったが、演技派俳優らしく、どんな役でもこなすことの出来る俳優でもありました。(「スケバン刑事」の暗闇司令がありました。)また、KBS京都のチャリティー・イベントの「かたつむり大作戦」(交通遺児支援のチャリティ企画)で南田洋子と共にパーソナリティを(ノーギャラで)30年間務めていたことも印象に残っている。心からご冥福をお祈り致します。


表題の作品は1956年の映画「太陽の季節」である。劇場公開は1956年5月であった。石原慎太郎の芥川賞受賞小説の映画化作品であり、かつ、その弟・石原裕次郎の映画デビュー作でもある。裕次郎は瞬く間にビッグ・スターになったこともあって、本作は「石原裕次郎のデビュー作」として広く知られているが、本作の主演は長門裕之である。(彼の主演作が殆どないことから、本作の主演というと「石原裕次郎」と誤解されていたり、「主演って誰?」という声が多いのも事実である。)また、長門裕之と南田洋子が結婚することになるきっかけとなった作品でもある。

作品データを記しておくと、1956年の日活作品で、時間は89分、原作は石原慎太郎(同名タイトルの小説である。)、製作は水の江滝子、監督と脚本は古川卓巳、撮影は伊佐山三郎、美術は松山崇、音楽は佐藤勝である。そして出演は、長門裕之、南田洋子、三島耕、清水将夫、内美詠子、東谷暎子、小野三津枝、市村博、佐野浅夫、石原裕次郎、野口一雄、沢井謙、須藤孝、吉田光男、関弘子、南部美野、久場礼子、河上敬子、明石淳子、紅沢葉子、岡田真澄、三鈴恵以子、松原京子、阿部幸四郎、石原慎太郎、福田トヨ、花村信輝、八代康二、たちである。

高校生の津川竜哉は、ボクシングに熱中しながらも、酒、博打、女、喧嘩ということを繰り返す自堕落な生活をしていた。ある日、遊び仲間と共に銀座に出て、武田英子と知り合い、肉体関係を持つことになる。英子は彼に惹かれていくが、竜哉は英子につきまとわれることを嫌い、兄の道久に金で売りつけた。が、竜哉が自分を愛していると知る英子は、金を道久に送って返した。やがて英子は竜哉の子供を身籠もっていることが分かるが、中絶手術を受けることにした。が、手術は失敗し、その術後の経過が悪く、英子は死んでしまう。葬儀に姿を見せた竜哉は、英子の遺影の前で香炉を投げつけ、涙を流しながら捨て台詞を吐いて飛び出し行った。

その内容が当時も問題になった曰のある作品である。特に、本作と「処刑の部屋」「狂った果実」の、所謂「太陽族映画」は、未成年者の鑑賞を規制し、現在の映倫(「映画倫理委員会」)の元となった「映画倫理規程管理委員会」に外部の第三者委員会として改変されることになった作品でもある。

また、小説の方が評価が高く、本作に就いては評価も余り良くないということもあって、社会問題となったきっかけとなったという点、更に「石原裕次郎のデビュー作」ということが一人歩きしてしまったため、主演の長門裕之にとっては辛いことになってしまった。(後に、主演俳優ではなく、脇役となることを暗示しているようでもある。)

良いにつけ、悪いにつけ、本作はその両方で日本映画史に残る作品であるため、見ておいても良い作品である。(原作小説に忠実な映画であるだけに、原作小説を読むだけで十分という声もありますが...)

 

太陽の季節 [DVD]

太陽の季節 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 日活
  • メディア: DVD

↓原作小説はこちら

太陽の季節 (新潮文庫)

太陽の季節 (新潮文庫)

  • 作者: 石原 慎太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/12
  • メディア: 文庫

太陽の季節

太陽の季節

  • 作者: 石原 慎太郎
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2002/07
  • メディア: 単行本

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。