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「ZEIMIA OBIECANA」 [映画(洋画)]

表題の作品は1974年のポーランド映画の「約束の土地」である。日本での劇場公開は1981年8月であった。ポーランドを代表する作家・W・レイモントの小説の映画化作品であって、社会派の人間ドラマである。また、本作はモスクワ映画祭で金賞を受賞した作品でもある。
作品データを記しておくと、時間は172分(劇場公開版)、原作はヴワディスラフ・レイモント、監督と脚本はアンジェイ・ワイダ、撮影はヴィトルド・ソボチンスキ、音楽はヴォイチェフ・キラールである。そして出演は、ダニエル・オルブリフスキー、ヴォイチェフ・プショニャック、アンジェイ・セヴェリン、アンナ・ネフレベッカ、タデウシュ・ビフウォシチンスキ、ボジェナ・ディキエル、フランチシェク・ピェチカ、カリーナ・イエドルシック、イェジー・ノヴァク、たちである。

19世紀未のポーランド、数多くの繊維工場が集まる町・ウツジ。そこに、ポーランドの士族の末裔カルロ・ボロヴェツキ、商才のあるユダヤ人のモリツ・ヴェルト、繊維工場主を父に持つドイツ人のマックス・バウムの3人の若者たちが新たな工場を作ろうとしていた。3人はそれぞれが資金集めに注力していた。その頃、ウツジの町では商売に行き詰まった資本家たちが、保険金目あてで放火をするということが多発していて、中には自殺する者もいた。それによってウツジの町は大きく変わっていくことになる。また、カルロは婚約者・アンカがいたが、事業を成功させるまでは手段を選ばず、ユダヤ人工場主・ツカーの妻・ルツィと密通していた。そんな中、ウツジの町の有力者たちの会合で、カルロはルツィから、「アメリカからの輸入関税が引き上げられる」という極秘情報を入手した。で、3人はこの情報に乗って、調達した資金をつぎ込んでハンブルグで綿の買いつけを行い、関税が上ったところで転売し、元手を一気に増やすことに成功した。そして、いよいよ3人の工場建設が始まり、完成するといよいよ事業がスタートした。そんな中、ツカーは、カルロと妻の関係を知り、更に息子がカルロの子供ではないかという疑念を持ち、カルロにそれを問い糾した。その時はカルロの言葉を信じたが、ベルリンに向かったルツィを追ってカルロが列車に乗ったというのを目撃した者がツカーに密告し、ツカーは怒りを爆発させた。で、カルロたちの工場に火を放つように命じた。で、カルロの工場は全焼し、保険金に入っていなかったことで3人は無一文になってしまう。カルロはウンカと別れ、工業界の大物・ミュラーの娘・マダと結婚してミュラー家を継ぎ、ウツジの実力者となって再起する。また、モリツとマックスも町の功労者となっていた。しかし、新しい工場を作り、新世代の手によって変革を目指した3人も、今では彼らが変えようとした旧体制である資本家の体制にどっぷりと浸り、町は旧体制のままで変わっていなかった...

新しい体制を目指した若者が、いつの間にか旧来の体制を守るようになっているということから、変革の難しさを上手く描いている作品でもある。それ以外でも、早撮り、広角レンズの利用など、映像的にも面白い所がある作品であって、ドキュメンタリー分のテイストを感じる部分があって、映像としても面白い所がある。

ポーランド映画というと独特の描写で知られている作品がいくつかあるが、本作もそんな作品の一つとして数えることが出来る作品である。それだけに、ちょっと変わった作品ということで、映画ファンであればチェックしておきたい作品である。

 

約束の土地 [VHS]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: VHS

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