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「人生劇場」(その3) [映画(邦画)]

今回は、戦後初の映画化(戦前に次いで、2度目の映画化と言うことになる。)シリーズである1952年から1954年に掛けて東映が製作した三部作の第1作について記します。尚、劇場公開は1952年11月であった。

人生劇場 第一部 青春愛欲篇」(1952年)
作品データを記しておくと、1952年の東映東京作品であって、時間は78分、原作は尾崎士郎、監督は佐分利信、脚本は八木保太郎と棚田吾郎の2人、撮影は藤井静、美術は松山崇、音楽は早坂文雄である。そして出演は、舟橋元、佐分利信、北林谷栄、加藤与一、高峰三枝子、江戸川ゆり、坂井美紀子、月形龍之介、片岡千恵蔵、笠智衆、島崎雪子、高杉早苗、加東大介、内田良平、月形哲之助、千田是也、三橋達也、東野英治郎、杉狂児、徳大寺伸、小倉正則、福岡正剛、多々良純、たちである。

三州吉良の豪家の一人息子・青成瓢吉は父・瓢太郎が死んだことで帰省した。幼い頃の初恋の人・おりんは今では新橋の名妓光龍となっていて、彼女の帰村騒ぎがあったものの、家財の整理を済ませると、母のおみねを父の親友であるこんにゃく和尚に預け、再び上京した。また、父・瓢太郎の風格を慕う侠客・吉良常も瓢吉の後を追って上京する。しかし、東京の酒は彼には合わず、東京と上海を股にかける漂泊の人となる。早稲田大学に通う瓢吉は、総長夫人像の建設反対運動をなかだちとして、夏村と吹岡という心友を得ることになる。しかし、彼らは、学生運動の敗退や、料亭の女・お袖をめぐる三角関係などから、次第に関係にひびが入り、一人ずつ去っていって、それぞれの道に進んでいった。特に瓢吉と吹岡は文学を志し、ある夏に2人は創作の場所を求めて房州の漁村に移り住んだ。やがて、瓢吉の作品は内容が甘いということを指摘する吹岡は、お袖との三角関係を題材にした瓢吉を中傷する作品を書きあげた。が、これによって瓢吉は激怒した。吹岡  は自身のない我が身を告白していた。瓢吉もやりきれなさと異様な悲しみにひしがれて、浜辺にさまよい出ると、砂丘に初恋の人・おりんの姿を見出した。彼女は今や代議士夫人であり、束の間の彼女との語らいによって瓢吉は心も洗われ、しみじみと青い海に目を放っていた。

お馴染みの物語であるが、本作は芸術祭参加作品ということと、当時の東映の社長が自ら製作に関わるという力を入れた作品であって、力の入れ方が並々ではない。その力の入れ方でじっくりと描いているのだが、少し重さを感じてしまう。色々と力を入れるのも分かるが、力を入れすぎているのも重く感じられてしまい、そのことがちょっと残念である。が、見るべき所は色々とあるだけに、こういう作品もまあ宜しいかと...

 

↓原作本です。

人生劇場  青春篇 (角川文庫)

人生劇場 青春篇 (角川文庫)

  • 作者: 尾崎 士郎
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2008/12/25
  • メディア: 文庫

人生劇場 愛欲篇(上) (新潮文庫 草)

  • 作者: 尾崎 士郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1952
  • メディア: 文庫

人生劇場 愛欲篇(下) (新潮文庫 草)

  • 作者: 尾崎 士郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1952
  • メディア: 文庫

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