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「人生劇場」(その4) [映画(邦画)]

今回は、戦後の最初の映画化となった東映の三部作から、その2作目と3作目の2本についてです。第2作の劇場公開は1953年2月、第3作の劇場公開は1954年9月であった。

人生劇場 第二部 残侠風雲篇
作品データを記しておくと、1953年の東映東京作品であって、時間は112分、原作は尾崎士郎、監督は佐分利信、脚本は八木保太郎、棚田吾郎、舟橋和郎の3人、撮影は藤井静、美術は松山崇、音楽は早坂文雄である。そして出演は、佐分利信、北林谷栄、舟橋元、加藤与一、高峰三枝子、江戸川ゆり、坂井美紀子、月形龍之介、片岡千恵蔵、笠智衆、島崎雪子、高杉早苗、轟夕起子、加東大介、内田良平、月形哲之助、三橋達也、細川俊夫、杉狂児、柳永二郎、たちである。

飛車角は刑務所に入り、それから5年が流れていた。青成瓢吉は懸賞小説が当たり、今では作家として認められるようになっていた。そして、作家を志す小岸照代との同棲生活を始めていた。ある日、伊豆の温泉に行った瓢吉と照代は、そこでお袖と出会う。お袖の様子から、照代はお袖と瓢吉との間に何かあったと感じ、そして昔の関係を知る。しかし瓢吉はお袖に対して冷淡だった。照代は一人で帰京するが、その列車の中で、丘部と別れて再び左褄をとるおりんが乗り合わせていた。そんな中、飛車角が出獄してくる。そしておとよの消息を気づかうが、おとよは宮川との関係があるため、身を隠してしまう。そんな中、飛車角、吉良常、宮川の三人が持つ会合に瓢吉は呼ばれるが、その料亭で彼は芸者姿のおりんの姿を見て驚いた。二人は久しぶりに話をするが、もはや幼い頃の思い出ては無かった。飛車角は元の世界に戻り、瓢吉はアナキスト連盟の一斉検挙に巻き込まれて警察へ連れて行かれてしまった。夏村大蔵が政見発表をする日、吉良常は瓢吉、飛車角、夏村たちに看取られて息を引き取り、その死を小蕎の母に伝えるため、瓢吉は汽車で故郷に戻る。途中、品川駅で彼は、大陸へ渡る酌婦たちの中にお袖とおとよの淋しい姿を目にした。三州吉良に到着すると、中年紳士と連れだったおりんの姿を見かけた。母の元に戻った瓢吉は、いっそう白髪が増えた母を背負って松林から海辺を駆けまわった。

人生劇場 望郷篇 三州吉良港
作品データを記しておくと、1954年の東映東京作品であって、時間は107分、原作は尾崎士郎、監督は萩原遼、脚本は岡本力司、撮影は永塚一栄、美術は森幹男、音楽は伊福部昭である。そして出演は、宇野重吉、佐野周二、堀雄二、宇佐美淳也、久慈あさみ、小沢栄太郎、三島雅夫、須藤健、月形哲之介、高木二朗、清水将夫、花澤徳衛、山形勲、山室耕、大森義夫、折原啓子、田代百合子、利根はる恵、長谷川菊子、深見恵子、たちである。

戦後の昭和21年、青成瓢吉の故郷・三州吉良港は、昔の仁侠の世界は失われ、YS連盟がやりたい放題ということで暴力を握っていた。八幡宮の祭の日、村娘・加代がYS連盟に襲われているところを谷口、赤井、満川たちが救うが、これから抗争へと発展し、谷口が叩きのめされる。で、赤井と満川が報復として不意討ちをする。連盟はその報復を仕掛けるが、赤井たちは呑み込みの半助の知恵で、足助親分に助けを求める。すると連盟は、足助一家に果し状を送り付けた。足助一家は飛車角の弟分であり、おとよとの恋のために国を去った宮川が帰って来たことで、宮川を頼りにして起ち上る。が、連盟は暴力主義として警察に訴え、足助一家は窮地に追い込まれる。宮川は浅草の侠宮・立川半兵衛に助けを求め、宮川と共に瓢吉の元にやってくる。で、「足助一家は吉良の仁吉の比翼塚を建てるために勢揃いした」という口実で瓢吉は吉良へ戻る。が、村人たちは比翼塚建立に反対していたことで、足助一家の情勢は好転しなかった。そんな中、宮川は止めようとするおとよを振り切って、一人で連盟の本部に乗り込み、首領の木戸と対決する。命がけの宮川の前に連盟は敗退する。で、半兵衛の熱意に動かされた村人たちは比翼塚建立を認め、そして建立式が行われ、瓢吉、足助、半助、谷口、加代たちと共に、宮川とおとよは手を固く握り合った。

映画化と言うことでは、残侠篇(第2作)と望郷篇(第3作)は初めてということになるが、展開とまとめ方としてはまずまずである。第一部には少し重さを感じられたが、そういうところが無くなっていることで、作品としては見やすくなっている。じっくりと3作を通して見てみるのも宜しいかと...(ただ、ソフトの問題がありますけど...)

 

↓原作小説ですが...

人生劇場〈残侠篇〉 (1983年) (角川文庫)

  • 作者: 尾崎 士郎
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1983/01
  • メディア: 文庫

人生劇場 残侠篇(下) (新潮文庫 草)

  • 作者: 尾崎 士郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1979
  • メディア: 文庫

人生劇場 残侠篇(上) (新潮文庫 草)

  • 作者: 尾崎 士郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1980
  • メディア: 文庫

人生劇場〈〔第7〕〉望郷篇 (1952年)

  • 作者: 尾崎 士郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋新社
  • 発売日: 1952
  • メディア: -

人生劇場〈〔第7〕〉望郷篇 (1954年) (新潮文庫)

  • 作者: 尾崎 士郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1954
  • メディア: 文庫

人生劇場〈第6〉夢現篇,望郷篇 (1953年)

  • 作者: 尾崎 士郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋新社
  • 発売日: 1953
  • メディア: -


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