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「人生劇場」(その5) [映画(邦画)]

今回は、戦後になって2度目の映画化となった1958年の東宝作品についてです。劇場公開は1958年11月であった。主人公・青成瓢吉の少年時代から上京しての学生時代を描いていて、文字通りの「青春篇」という作品である。

人生劇場 青春篇」(1958年)
作品データを記しておくと、1958年の東宝作品で、時間は108分、原作は尾崎士郎、監督は杉江敏男、脚本は椎名文、撮影は完倉泰一、美術は村木忍、音楽は神津善行である。そして出演は、池部良、森繁久彌、志村喬、瀧花久子、草笛光子、東野英治郎、太刀川洋一、三船敏郎、大沢幸治、柳谷寛、飛鳥みさ子、小沢真知子、沢村貞子、谷晃、千葉信男、小神野和男、西条悦朗、越後憲三、桜井巨郎、上田吉二郎、小杉義男、田島義文、足立一男、藤木悠、太宰久雄、伊藤久哉、天本英世、沢村いき雄、村上冬樹、三條利喜江、北川町子、北野八代子、広瀬正一、淡路恵子、たちである。

三州吉良港の横須賀村。辰巳家の青成瓢太郎は一人息子・瓢吉を厳しく育ていた。そんな瓢吉は岡崎の中学に入る。ある日、瓢吉の担任・戸田教師こと黒馬先生に瓢太郎は呼び出される。瓢吉が同級生の夏村と発行した新聞の内容が校長の怒りを買ったためだった。しかし瓢太郎は息子を励ますだけだった。そんな瓢吉も中学を卒業して家に帰ってきた。が、父・瓢太郎は老いていて、屋敷の方もかつての繁栄ぶりが嘘のようになっていて、父に仕えているのも仁吉の血を引く挟気の男・吉良常だけになっていた。しかし、その吉良常は、子分ののみこみの半助の注進で杉源を殺してしまって、逮捕されてしまった。そんな中、瓢吉は早稲田大学政治科に進学することになり、父の願った通りの気骨ある青年に成長していた。上京して大学生となった瓢吉だったが、校内に学園に関係ない大隈侯夫人の銅像が建つと聞くと憤激し、教壇に駈けあがると銅像設立反対の檄を飛した。拍手と喚声が飛ぶ中、瓢吉は新海、吹岡、横井、高見たちと校歌を歌いながら神楽坂へ繰り出し、早稲田に学ぶ夏村も同行する。瓢吉は幼馴染みで、現在は新橋で光竜という芸者になっているおりんに会うために、その途中で烏森に行く。が、おりんは現れなかった。大学は銅像問題で学長派と前学長派が対立を深める。そんな中、江戸川べりの料亭・柳水亭で遊んだ瓢吉は、下宿に戻ると、父が借金に苦しみ、釈放された吉良常に遺言を託すとピストル自殺したということを知ると、直ちに故郷に戻った。駅には大勢の人が集まっていたが、それはおりんが地元選出の代議士と結婚することになり、帰ってくるのを見に来た人たちだった。寂しさを感じながら自宅に帰った瓢吉は、父の遺言に接すると、母を実家に預け、家屋敷を債権者たちに残し、吉良常と共に東京に戻った。そして吉良常を半助に託した。そして瓢吉は夏村と共に房州の寺に籠もり、新たな道に進もうとしていた。一方、吉良常は半助と入った料亭で、中学教師を辞して東京に出ていた黒馬先生と会う。そして瓢吉と別れたお袖が売春をしていることを知り、助けようとする。しかし、彼女の仲間からは足抜きと思われて襲われる。飛車角は刺客を殴り倒し、吉良常は久し振りに胸のすく思いで眺めていた。瓢吉は文壇に、夏村は政界に進もうと決意し、志を燃やしていた。

主人公・青成瓢吉の少年時代から始まって、分断の世界に進むことを決意するまでをじっくりと描いているということで、力が入っている作品である。ただ、細かい所では「?」という所もあるのだが、少年時代を含めて描かれていることで、瓢吉というキャラクターがよく分かる一本である。

このあとの続きの物語が制作されなかったことが残念なところでもあるが、それはまた別の問題でもあって、この作品の評価を変えることにはならない。ということで、本作は見ておきたい一編である。(かつてはLDでリリースされていたが、現在ではソフトの問題がありますけど...)

 

↓原作小説ですが...

人生劇場 青春篇 (新潮文庫)

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  • 作者: 尾崎 士郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2000/03
  • メディア: 文庫

人生劇場  青春篇 (角川文庫)

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  • 作者: 尾崎 士郎
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2008/12/25
  • メディア: 文庫

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