阿川泰子『JOURNEY』 [音楽(特撮/邦楽)]
表題のアルバムは1980年に発表された彼女の4枚目のアルバムである。それまでは日本人のジャズ系のアルバムというと、インスト・ナンバーを収録したものでなければ相手にされないというような状況であったが、本アルバムはその壁を打ち破ってジャズ系ボーカル・アルバムも内容のあるものは売れる、と言うことを証明したアルバムである。尚、ここで「ジャズ系」と記したのは、厳密な意味でのジャズ・ボーカル・アルバムではないためである。が、本アルバムのヒットによって、シンガーとしての彼女はブレイクし、ジャズ系女性ボーカルというものも認識されるようになったと言うことで、歴史に残るアルバムであると言うことに変わりは無い。尚、収録されている曲は、ジャズのスタンダード・ナンバーのカヴァーである。
収録曲は以下の全11曲である。『センチメンタル・ジャーニー』『テイク・ジ・Aトレイン』『ラヴァー・カムバック・トゥ・ミー』『ムーンライト・セレナーデ』『イン・ア・センチメンタル・ムード』『スター・ダスト』『ララバイ・オブ・バードランド』『ウィスパー・ノット』『マイ・フーリッシュ・ハート』『ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ』『グッバイ』。
お薦め曲は『センチメンタル・ジャーニー』『ムーンライト・セレナーデ』『ウィスパー・ノット』『マイ・フーリッシュ・ハート』という所をピックアップしておくが、全曲お薦めと言うことの出来る粒ぞろいの楽曲ばかりが収録されている。
スタンダード・ナンバーばかりということで、ジャズ・ボーカルを聴いていた方には、彼女の表現力がどの程度なのかというテストをされる形になり、ジャズ系サウンドを知らない方には、ジャズと接する入口の様になった。そして、基本と言うことの出来る楽曲を取り上げたことが評価されて、彼女も同時に評価されることになった。お馴染みの曲であるが、基本中の基本を抑えたと言うことで、やはり基本は大事であるということである。
尚、彼女のボーカルは完全なジャズとも言い切れない所があるので、あくまでも「ジャズ系」と記すことにするが、女性ボーカルが日本でも評価されるようになったアルバムでもあるだけに、歴史に残るアルバムである。それ故、女性ボーカル・アルバムを聴く場合は、聴いておくべきアルバムの一つである。(その後、ジャズの方に進んでいくか、ポップな方向に進んでいくのかは、聴く方の自由ですけど...)
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