井上陽水『断絶』 [音楽(特撮/邦楽)]
表題のアルバムは1972年5月に発表された彼のデビュー・アルバムである。(正確に言うと、「アンドレ・カンドレ」名義でデビューして3枚のシングルを発表したが、「井上陽水」名義としての再デビューとなったアルバムである。)チャート成績は、オリコンで最高位8位を記録しているが、これは本アルバムのリリース直後に記録したものではなく、'73年の大ヒット・アルバム「氷の世界」のヒットによって、過去のアルバムもチャートを上昇してロングセラーになった時に記録したものである。よって、オリコンの年間チャートの方でも、1974年に7位、1975年に10位にランクインしているが、発表年の1972年、その翌年の1973年には年間チャートに顔を出していない。
収録曲は以下の全12曲である。『あこがれ』『断絶』『もしも明日が晴れなら』『感謝知らずの女』『小さな手』『人生が二度あれば』『愛は君』『ハトが泣いている』『白い船』『限りない欲望』『家へお帰り』『傘がない』。
この中からシングル・カットされたのは、本アルバムよりも2ヶ月先行してリリースされ、「井上陽水」名義での最初のシングルとなった『人生が二度あれば』(B面曲は『断絶』)、そしてアルバムのリリースから2ヶ月後にシングル・カットされた『傘がない』(B面曲は『感謝知らずの女』)である。(そして、年が変わって。『夢の中へ』の大ヒットに繋がることになる。)
お薦め曲は、初期の彼の代表曲である『傘がない』、シングル曲の『人生が二度あれば』、そして『あこがれ』『断絶』『もしも明日が晴れなら』『白い船』という所をピックアップしておく。
サウンドはフォークが基本となっていて、一部にロック寄りのものがあるという構成である。が、「フォーク・アルバム」であって、彼のサウンドの源流となるサウンドがここにある。
発売当初は特にヒットしたということにはならなかったが、シングル『夢の中へ』とアルバム「氷の世界」のヒットによって本アルバムも人気が出てヒットを記録することになったが、それだけの内容があったということでもある。
ということで、「井上陽水」としての初めてのアルバムであるだけに、聴いておくべきアルバムの一枚である。
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