「ケータイ刑事」と「007」の驚くべき類似点(その257) [ケータイ刑事]
今回のテーマは「代理」です。(言うまでも無く、本人に事情があって別の人が代わって処理をする、という本来の意味での「代理」という意味です。)取り上げる物語は、「ケータイ刑事」からは「雷・2nd.5話」、「007」からは「ユア・アイズ・オンリー」です。
「ケータイ刑事」:「雷・2nd.5話」。「かなりバッチリナイスガイの高村さん ~「まだらの紐」殺人事件」という物語。「まだらの紐」とは、言うまでも無く、シャーロック・ホームズが活躍するコナン・ドイルの小説である。また、この物語ではアナグラムが出てくることから、言葉遊びもたっぷり楽しめる物語となっている。
雷ちゃんがイライラしながら(「雷、雷がイライラ」と記すと、回文になります。)高村さんを待っていた。「遅いなぁ~」と漏らしていると、ようやく高村さんがやってきた。すかさず「高村さん、遅いです」と文句を言った雷ちゃんだったが、高村さんはいつものスーツ姿ではなく、シャーロック・ホームズのコスチュームを着ていたため、雷ちゃんは顔をそらして惚けると「遅いな~、高村さん」と惚けて言った。これに高村さんは「君も恥ずかしいだろうが、僕の方がもっと恥ずかしいんだ」と言った。で、雷ちゃんは高村さんのコスプレに突っ込んで、「何ですかその格好?まさか、高村さんもコスプレ検定?」と、最初の相棒・岡野さんの影響がモロに受けているところを見せて尋ねた。
高村さんは「君がシャーロキアンの赤坂支部の会合に出たいから待ち合わせをしているのでしょう」が、と、待ち合わせをしている理由を言ったが、「違いますよ。従姉妹がどうしても仕事で行けないから、代わりに行ってくれって泣いて頼まれたんです。」と雷ちゃんは返した。
言うまでも無く、従姉妹のシャーロキアンと言えば本家の次女・泪ちゃん(3代目)のことである。この時、泪ちゃんは警視監に昇進していて、北海道・東北方面本部長となっていました。また、「泣いて頼まれた」と言ったが、泪ちゃんの必殺技は「嘘泣き」です。
高村さんは、泪ちゃんとコンビを組んだことがあるだけに、ここでは泪ちゃんの名前こそ出さなかったが、即座に「ああ、それは嘘泣きだ」と言った。これに雷ちゃんは「はい、すっかり騙されました」と答えていた。
一方、高村さんは「僕もあの嘘泣き娘に勧められてシャーロキアンになった口なんだけどね」と言い、シャーロキアンとして、会合に出席することを楽しみにしていたのだった。更に雷ちゃんに対して「君、シャーロック・ホームズ、あまり詳しくないでしょう」と言った。これに雷ちゃんは「はい、名前しか聴いたことないです」と答えた。すると高村さんは一気に優越感に浸り、先輩ぶって「じゃあ君もこれを機会にシャーロック・ホームズの世界を堪能してみようじゃないか。さあ、行ってみよう、レストレードくん」と言うと歩き出した。が、雷ちゃんは「レストレード?誰?」と首をかしげるだけだった。→「レストレード」というのは、ホームズノ物語を読んでいたら知っていマスヨネ。一応記しておくと、スコットランド・ヤードの敏腕警部です。
ということで、雷ちゃんは、泪ちゃんの代理と言うことで、赤坂プリンアラモードホテルで行われるシャーロキアンの赤坂支部の会合の会場にやってきた。会のメンバーに会うと、高村さんはそのメンバーを雷ちゃんに紹介した。紹介されたメンバーは、雷ちゃんのことを「高村さんのアイリーン・アドラですか?」(「ボヘミアの醜聞」)、「「美しき自転車乗り」・バイオレット・スミス嬢じゃないかしら」(「美しき自転車乗り」)、「「ぶなの木屋敷の怪」・バイオレット・ハンターではないかと...」(「ぶなの木屋敷の怪」)と、雷ちゃんのことをホームズの物語に登場した美女の名前を出して語るが、当の雷ちゃんは「何言っているのか、さっぱり分からない...」と困った顔をしていた。
そんなことをしていると、会長の堀越の元から、会長の夫であり、付け人である草刈マスオが慌てていて、呼んでも返事が無いと言い、一同は堀越の(ホテルの)部屋に行った。やは理返事が無いと言うことから、フロントからマスターキーを借りてきてドアを開けて中に入ると、雷ちゃんと高村さんは床に仰向けに倒れている堀越を発見した。「まだ息があるな」と確認した高村さんは「救急車を」と指示をしたが、草刈はこれに驚いていたが、部屋を飛び出して救急車を呼びに行った。それと同時に堀越は声を出し、「まだ、らの、ひ、も」と言い残して息絶えた。雷ちゃんは直ぐに堀越の首筋に二つの丸い傷跡があるのに気がついた。ということで、堀越が何者から殺されたという事件に巻き込まれ、雷ちゃんは捜査を開始した。
高村さんは、堀越の残した言葉と過去の経験から、直ぐに「まだらの紐の仕業だよ。シャーロック・ホームズには「まだらの紐」という作品があるんだよ」と言い、事件は「まだらの紐」の物語と童謡に、蛇による殺人と断定した。
事件の方は、「まだらの紐」に拘る高村さんをほっておいて、雷ちゃんの活躍で真犯人(=草刈)を暴き、殺人トリックも見抜き、逮捕して解決した。
「007」:「ユア・アイズ・オンリー」。1981年のシリーズ第12作であり、かつ、3代目ボンドの第5作である。詮索が余りにもSFの方に力を入れたことから、本作では生身のアクションという「原点回帰」を目指した作品である。ということで、冬季スポーツから夏期スポーツまで、様々な要素が取り入れられたアクションが見られる物語となった。
アドリア海・アルバニア近くの海域で、イギリスの電子監視船・セント・ジョージ号が沈没した。その船には国防上、重要なATACシステムが搭載されていたため、イギリスは、ソ連が回収するよりも先に回収作業を行う必要があった。
しかし、この時、MI-6のMは休暇中であった。(この設定は、前作「ムーンレイカー」までMを演じたバーナード・リーが亡くなったため、本作では彼に敬意を表して、2代目Mを起用しなかった。→「ユア・アイズ・オンリー」は、シリーズで唯一のMが登場しない物語となった。)で、幕僚長であるタナーが裳の代理としてATAC回収作戦では指揮を執ることになった。
代理のMはすぐさまボンドを派遣して、ATAC回収作戦を進める。ボンドは行動を開始したが、MI-6は海洋考古学者のハブロック夫妻にセント・ジョージ号の沈没位置の確認作業を進めていたものの、夫妻が娘・メリナ(=ボンドガール)の目の前で殺し屋・ゴンザレスに射殺されてしまう。ボンドはゴンザレスを追い、背後にいる者を探ろうとする。で、スペインでゴンザレスが接触した相手を探るが、メリナが両親の復讐ということで、ゴンザレスをボウガンで射貫き、殺してしまった。
その報告を受けた代理Mは、ボンドに不満を漏らすが、ボンドはその時、ゴンザレスが接触していたロックという殺し屋の顔を覚えていて、Qの作ったモンタージュ・システムを用いて、データベースからそのロックを突き止めた。で、ボンドはロックを追い始めた。
結局、ボンドの活躍で、ロックを雇ったのはソ連の意向で動いていて、ATACをKGBに売ろうとしていたクリスタトスを突き止め、ATACも回収し、クリスタトスを倒した。また、最終的にボンドは、ATACを破壊して、イギリスもソ連も手にしないという道を選んだ。
結果的に代理Mのターナーは、ボンドの活躍でATAC回収作戦を乗り切り、首相(当時のイギリス首相はM・サッチャーであり、彼女のそっくりさんが登場した。)はボンドにお礼を伝えたのだった。
共通点は、「代理」を務めた人物(「ケータイ刑事」では雷ちゃん、「007」ではタナー)が任務(捜査/作戦)の指揮を執っているということである。(但し、「ケータイ刑事」では事件が発生したことで立場上捜査に当たったということでした。)また、その任務を遂行する中で、部下というポジションの人物(「ケータイ刑事」では高村さん、「007」ではボンドということになる。)が、代理を務めた人物の意思には関係なく勝手に動いている(「ケータイ刑事」では「まだらの紐」に拘って犯人は蛇、と断定しており、「007」ではボンドの判断でマークしていき、結果的にそれが当たって任務遂行ということになっている。)ということである。
一方、相違点は、「ケータイ刑事」では趣味の世界の会合への出席の代理であったが、「007」では作戦指揮の代理であったということで、「代理」であってもその責任の重さは全く違っているということである。
次回も今回と同様に「ある物(できごと)」をテーマにして記す予定です。何が登場するのかはお楽しみに。
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