GENGHIS KHAN『BEST OF BEST』 [音楽(洋楽)]
このアルバムは、1994年にビクター・エンタテイメントが自レーベルのアーティスト達のベスト盤を低価格で発売した全60タイトルの中の1つである。（一応、ディスク番号を記すと、VICT-15035）よって、日本だけの独自盤ということになる。価格は税込1500円となっているが、当時の消費税は3％であったため、税抜価格1456円というような表記がある。収録曲は8曲であるが、彼らのヒット曲としたら、ほぼ網羅されている。
収録曲は、『DSCHINGHIS KHAN』『MOSKAU』『ROM』『MACHU PICCHU』『HADSCHI HALEF OMAR』『MADAGASKAR』『SIERRA NEVADA』『SAMURAI』である。（曲名の言語はドイツ語であるため、一応邦題を記すと、順に『ジンギスカン』『めざせモスクワ』『栄光のローマ』『インカ帝国』『ハッチ大作戦』『さらばマダガスカル』『シェラネバダ』『サムライ』となる。）尚、これらの歌は全てドイツ語である。そのため、1曲目はグループ名とは綴りが異なり、3曲目は「Read Only Memory」ではなく、イタリアの首都・ローマ（＝地名）である。8曲目はローマ字そのままであり、英語とも思えるが、ドイツ語でもローマ字綴りを行うので、歴としたドイツ語である。
これらの曲の中で1曲目の『DSCHINGHIS KHAN』はあまりにも有名であるが、面白いのが2曲目の『MOSKAU』（邦題『めざせモスクワ』）である。この曲がリリースされた時は、1980年のモスクワ五輪が直近の五輪であり、こういう曲が生まれたのであるが、この曲に日本語の歌詞を付けて、しかもアニメのキャラクターたちがこの曲を歌う（歌っているのは声優さんたちです。）という企画があり、バオバブ・シンガーズという名前のグループ(総勢何人、いや、何十人という大所帯であった。）が歌っていた。尚、この名前は、歌っている声優さんがプロダクション・バオバブに所属していたことによる名前である。で、モスクワ五輪は音楽の方では盛り上がったのだが、日本はボイコットにより参加しなかった。（西側諸国も同様。）それだけに、アニメのキャラたちが参加していたら面白いことになっていただろうなんてことを考えてしまうのである。（例えば、サイボーグ009の島村ジョーが加速装置を使って短距離に出場したら、100m、200m走の世界記録は確実だろうし、中距離、長距離、さらにはマラソンまでも制覇できるだろうし、バットをスタンドまで放り投げる岩鬼(ドカベン)だったら、やり投げやハンマー投げ、円盤投げなどで金メダルは確実なことだろう。）尚、歌詞中の「モスクワ」という所を次期五輪の開催都市に置き換えて、再度リリースしてみるのも面白いかもしれない。（これを繰り返せば、4年ごとにリバイバル・ヒットも期待できる...?）
彼らの曲の歌詞には、同じフレーズが繰り返されるということが多く、1回耳にすればそのフレーズが頭に残るということ、また、ディスコ・サウンドとはいうもののポップなメロディ・ラインにより、たいへん親しまれることになった。
70年代後半は、1977年の映画「サタデー・ナイト・フィーバー」のヒットの後に世界的なディスコ・ブームが到来し、ディスコ・サウンドが氾濫した。そんな中、彼らも登場したのだが、他のディスコ・サウンドのグループと彼らが違う所は、『栄光のローマ』に見られるような一大叙事詩的な要素を取り入れていることである。これは、70年代前半にプログレのバンドなどが試みたコンセプト・アルバムへの傾倒に似ている。が、結果的にはディスコ・サウンドの波に飲み込まれてしまい、大成功とまでは行かなかった。しかし、この曲があるために、他の同時期にヒットを飛ばしたドゥーリーズやアラベスク、その他のグループなどとは一線を画した輝きを持っているのが、ジンギスカンである。
その後はディスコ・ブームも下火になってきたこと、また、イギリスを中心とするパンクやニュー・ロマン派などのブリティッシュ・パワーによる第二次ブリティッシュ・インベージョンに押され、『シェラネバダ』では他のグループと変わり映えがしないようなサウンドになってしまったのが残念である。（が、この頃になると、流石にディスコ・ブームも下火になっていた...）
ということで、資料を引っ張り出しながら記している内に、8曲の再生が終了してトップに戻り、現在は2曲目の『MOSKAU』がBGMになっている。バオバブ・シンガーズの方のこの曲も聴きたくなってきたが、この辺で幕とします。
今回聴いているアルバムではありませんが... (『BEST OF BEST』シリーズは廃盤)
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- アーティスト: ジンギスカン
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 1995/11/11
- メディア: CD
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