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J. D. SOUTHER『YOU'RE ONLY LONELY』 [音楽(洋楽)]

1979年に発表された表題のアルバムは、折からのA.O.R.ブームに火を付ける形となり、大ヒットを記録した。(でも、「一発屋」という印象を持たれてしまう...)彼の名前を耳にすると、他にバーティ・ヒギンズ、ボビー・コールドウェル、ランディ・バンウォーマー、ロビー・デュプリーなどの名前も思い浮かんでくる。(B.S.という大物については別途取り上げる予定。)が、「良い曲は良い」ということに変わらない。BGMは、もちろん表題のアルバムであり、1曲目から順番に再生する。

まずは、大ヒット曲であると同時に、アルバムタイトルでもある『You're Only Lonely』が流れる。哀愁感漂う美しいメロディとボーカルは絶品である。この曲は「名曲はいつの時代でも名曲である」ということを感じさせてくれる出色のナンバーである。また、こういう曲というのは、'90's以降の何でもありという時代では、「シンプル・イズ・ベスト」とは言わないが、新鮮みを感じることも出来る。この曲がヒットした頃は、世界中でのディスコ・ブームがやや下火になってきたころであった。そして、新しいサウンドとしてエレ・ポップが生まれ、それが発展した形で第二次ブリティッシュ・インベージョンを引き起こしたが、その一方で、雰囲気を大事にする大人のサウンドが求められたのもまた事実であった。その流れは「A.O.R.」として確かなブームを起こし、特に日本での盛り上がりは大きかった。(まあ、こういう所は何にでも反応する日本らしいところでもあるのだが...)時代は回帰するということなのであろうか。

このアルバムは、A.O.R.を代表するアルバムの一つであるのだが、それ以外のテイストもある。それは'60'sのポップス色と'70's前半のカントリー色である。特に、前者のテイストは8曲目の『Fifteen Bucks』やラストの『Trouble In Paradise』に出ていて、後者のテイストは3曲目の『The Last In Love』や4曲目の『White Rhythm And Blues』、6曲目の『The Moon Just Turned Blue』、7曲目の『Songs Of Love』にある。また、2曲目の『If You Don't Want My Love』と、5曲目の『Til The Bars Burn Down』には、それらが融合した'70'sサウンドのテイストが漂っている。(EAGLESのサウンドに近い、と言えばお分かり頂けるのではないだろうか。)ということで、本アルバムには、どこかに懐かしさとスマートさを感じられる曲が集まっているのである。季節は冬になろうとしているが、秋の夜長や冬の寒空の下で、ちょっと人恋しくなった時に聴きたくなるA.O.R.であるだけに、じっくりと聴き入るのがよろしいのでは...

でも、本アルバムではやはり『You're Only Lonely』なのである。とにかくこの1曲の出来があまりにも良すぎるだけに、他の8曲も決して悪くはないのだが、どうしても劣っているように感じてしまうのである。(こう感じてしまうのはとても残念である。)'80'sになろうという時期に「'70'sサウンド」のテイストに満ちた本アルバムの登場は、ある意味では来るべき新しい時代に対する苦悩の結果というように解釈することもできる。聴くのであれば、『You're Only Lonely』以外の曲もしっかりと聴いてもらいたいところである。(そこには、魂のメッセージがあります。)

 

ユア・オンリー・ロンリー(紙ジャケット仕様)

ユア・オンリー・ロンリー

アーティスト: J.D.サウザー

  • 出版社/メーカー: Sony Music Direct
  • 発売日: 2005/09/21
  • メディア: CD


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コメント 1

キヨさん

『You're Only Lonely』やさしく彼女を抱きしめて踊りたい曲です。
by キヨさん (2006-03-30 01:53) 

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