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DUSTY SPRINGFIELD『THE SILVER COLLECTION』 [音楽(洋楽)]

1988年にリリースされたベスト盤であるが、ここに収録されているのは1963年(ソロ・デヴューした年です)から1970年にかけて発表された名作ばかりが24曲(時間にすると約70分)収録されている。(ということで、今回は'60'sのサウンドを、ということになる。)これだけ収録されていれば圧巻でもある。中にはポップス界のスタンダード・ナンバーになったものもあり、イギリスを中心に数多くのヒット曲を放った彼女らしいところでもある。彼女は本国・イギリスだけでなくアメリカでもヒットを放っているが、ここでは特に注釈をしない限りは本国・イギリスでのこととする。

まずは、1963年の大ヒット曲(全英4位)である『I Only Want To Be With You』で幕が開く。この曲についてはBCRについて述べたこちらの記事でも触れたが、BCRはカヴァーであり、彼女が本家である。(この曲はポップス界のスタンダード・ナンバーであるから、他にも多くのアーティストたちがカヴァーしている。)続くのは1964年のヒット曲『Stay Awhile』で、楽しいポップス・ナンバーである。続く『I Just Don't Know What To Do With Myself』も1964年のヒット曲で、スケールの大きなメロディ・ラインに彼女のボーカルが魅力なナンバー、『Wishin' And Hopin'』はアメリカでのヒット曲で、これも1964年のナンバーで、'60'sポップスと言えばこういうナンバーという典型的な一曲である。更に、『Losing You』も1964年のヒット曲で、ややスローなテンポで進行するボーカル・ナンバーである。また、『Give Me Time』は1967年のヒット曲で、メロディラインのスケールが大きく、彼女のボーカルがそれに映えているバラード調のナンバーである。

次からの3曲はもう一つの彼女の魅力であるカヴァー・ソングが続くことになる。まずは『24 Hours From Tulsa』であるが、この曲はアメリカの男性シンガーであるジーン・ピットニーがオリジナルとなる、ちょっとファンキーなエッセンスの利いたポップ・ナンバーである。続く『If You Go Away』はフランスのジャック・ブレルがオリジナルとなるシャンソンを取り上げたものである。(彼女の歌う曲では、英語の詞を付けたものであり、フランス語で歌っているのではない。)が、とてもムードのあるボーカル・ナンバーとなっている。そして『Just One Smile』は『24 Hours From Tulsa』と同様にジーン・ピットニーのカヴァー・ソングで、じっくりと聴かせるバラード調のナンバーである。

カヴァー・ソングに続くのは1968年のヒット曲である『Son Of A Preacher Man』であるが、バック・コーラスとサックスを巧みに使ったややスローで印象的なナンバー、『All I See Is You』は1966年のヒット曲で、壮大なスケールを感じさせるオーケストラ風のイントロから一転してスローなテンポで進行するハートフルなバラード・ナンバーである。

続く『You Don't Have To Say You Love Me』は彼女の最大のヒット曲(1966年に全英No.1、全米4位を記録した。)であり、これもカヴァー・ソングである。プレスリーの男性ボーカルと比べてみたくなるのは当たり前のことであるが、女性ボーカルということで、また違った雰囲気が味わえる。尚、この曲はサンレモ音楽祭で優勝した曲でもあり、他にも多くのアーティストたちがカヴァーしているので、色々と楽しむことが出来るスタンダード・ナンバーでもある。

続く『I Close My Eyes And Count To Ten』は1968年のスマッシュ・ヒット曲で、ハートフルなボーカルと美しいメロディラインが魅力のポップ・ナンバーであり、『Some Of Your Lovin'』は1965年のヒット曲で、ピアノの伴奏とコーラスが印象的なバラード調の一曲、『In The Middle Of Nowhere』も1965年のスマッシュ・ヒット曲で、小気味の良いサックスの音が印象に残るポップ・ナンバー、『Little By Little』は1966年のヒット曲で曲名を何度も繰り返すフレーズが頭に残るポップ・ソング、『How Can I Be Sure』は1970年のヒット曲であり、スケールの大きなボーカル・チューンである。と言うように、次々とヒット曲が登場するので、聴いていても楽しくなってくる。

1967年のヒット曲である『The Look Of Love』は映画「カジノ・ロワイヤル」(007シリーズの番外編という作品)で使われた曲であり、じっくりと聴かせるバラード調のナンバーである。この曲も結構多くのアーティストたちにカヴァーされているが、オリジナルは彼女である。続く『My Colouring Book』は1963年のアメリカでのヒット曲のカヴァーでしっとりとしたメロディラインの美しいナンバー、『A Brand New Me』は1969年のアメリカでのヒット曲であり、小気味の良いポップ・ナンバー、『I'll Try Anything』は1967年のヒット曲でリズミカルでテンポの良いポップ・ナンバー、『Anyone Who Had A Heart』は1964年にディオンヌ・ワーウィックたちがヒットさせた曲のカヴァーで、スローテンポのバラード、『Am I The Same Girl』は1969年のヒット曲で、結構高い領域まで声域が広がっていることを感じさせてくれるボーカル・ナンバーである。そして24曲目となるラストを飾る『Goin' Back』は1966年のスマッシュ・ヒット曲であり、ピアノに合わせたボーカルが魅力のメロディアスに一曲である。ということで、全24曲という量は大変聴き応えがある。(24曲もあったら、やはりある程度の文章の量にもなりました。)

彼女の場合は、持ち歌が多くのアーティストたちにカヴァーされただけではなく、自らも他のアーティストのカヴァーを行っているので、どっちが本家でというのが分からなくなってくることもあるが、カヴァーでもヒットを記録すると言うことは、その曲自体が素晴らしい楽曲であるということと、彼女の歌に魅力があると言うことである。ということで、DUSTY SPRINGFIELDの名前を耳にすると、アーティストの枠を越えて「名曲はいつの時代でも名曲である」ということを強く感じることになる。'60'sポップスを堪能するだけでなく、スタンダード・ポップスに触れるということからもお奨めのベスト盤である。

The Silver Collection

The Silver Collection

  • アーティスト: Dusty Springfield
  • 出版社/メーカー: Universal Music TV
  • 発売日: 1988/01
  • メディア: CD


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