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NANCY SINATRA『THE HIT YEARS』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1986年にリリースされたベスト盤である。が、収録されている曲は1965年から1970年に発表されたものであり、'60'sポップスである。ということもあって、懐かしのサウンドという構成になっている。彼女は大スター・FRANK SINATRAの娘であるが、'60'sの全盛期には親の七光りではなく、実力で当時のトップ・アイドルとして君臨していた。本アルバムに収録されているのは全18曲であるが、彼女の代表的な曲は一通り網羅されているので、彼女を知るにはいい一枚ということになる。しかも、収録順は発表した順番になっているので、ありがたい構成でもある。

尚、本アルバムには彼女についての解説も書かれているので、コレクションにはよろしいかと。(ただ、筆者が所有しているのは当然のことながらUS盤であり、解説や歌詞の掲載が珍しい輸入盤のコレクターとしてのことである。日本版ではその辺りは補追されていますので...)

まずは1965年の『So Long, Baby』で幕が上がる。'60'sの香りに満ちた明るいポップ・ナンバーである。続く『These Boots Are Made For Walkin'』から『Summer Wine』までの6曲は1966年に発表された曲が続くことになる。『These Boots Are Made For Walkin'』はブラスがいかにも'60'sというサウンドであり、『How Does That Grab You, Darlin'?』でもリズムの進行の仕方、ブラス、メロディが'60's独特のテイストであり、『The Last Of The Secret Agents』はビッグバンド風のスケールの大きさがいかにも'60'sであり、『Friday's Child』はスローなテンポのバラードであるが、哀愁感のあるギターといい、ゆっくりと進むメロディといい、これも'60'sのバラードであるという一曲、続く『Sugar Town』はスローなテンポのポップ・ナンバーであるが、現在までに数多くのアーティストが取り上げているスタンダード・ナンバーであり、聴き比べてもらいたい一曲でもある。続く『Summer Wine』はLEE HAZLEWOODとのデュエット・ソングであり、サウンドは'60'sの王道をいくものである。と言うように、この時期の曲というのは黄金の'60'sポップスの王道を突き進む曲となっていて、何処かに懐かしさを感じるものばかりである。

続く『Love Eyes』から『Some Velvet Morning』までの8曲は1967年の作品であり、まさに八面六臂の大活躍をしていた時期となる。『Love Eyes』はスローなバラード・ナンバー、『Somethin' Stupid』は父・FRANK SINATRAとのデュエット・ソングであるが、父に対してはどこか遠慮がちに歌っていることが感じられる。メロディ・ラインはなかなか美しい一曲で、やはり注目の一曲でもある。続く『You Only Live Twice』は人気映画「007」の第5作「YOU ONLY LIVE TWICE」(邦題「007は二度死ぬ」、舞台が日本であった。ボンドを演じるのは、初代のショーン・コネリー)の主題歌であり、スローなテンポのボーカル・ナンバーである。(この曲で彼女のことを知っているという方は多いでしょうね。)ちょっとミステリアスな印象が'60'sということを強く感じさせてくれる一曲でもある。

再びLEE HAZLEWOODとのデュエットとなる『Jackson』はカントリーのテイストのある明るいポップ・ナンバーであり、『Lightning's Girl』はスケールの大きなサウンドを展開してくれるスローなテンポのボーカル・ナンバーであるが、やはり'60'sらしいサイケデリックな要素が良い味を出している一曲、『Lady Bird』は三度LEE HAZLEWOODとのデュエット・ソングとなるが、この曲ではNANCYがリードしている。サウンドは'60'sテイストそのままのポップ・ナンバーである。続く『Tony Rome』はパワフルなボーカル・ナンバー、『Some Velvet Morning』は四度LEE HAZLEWOODとのデュエット・ソングということになるが、LEEの魅力的な低音と実にマッチしたNANCYのボーカルが魅力的であるスケールの大きな曲である。ということで、この時期は実に幅広い世界の曲が堪能できます。

続いては1968年の2曲となるが、『100 Years』はアコースティック・ギターを中心としたボーカル・ナンバーであるが、そのギターが力強くリードしており、スケールの大きさを感じる一曲となっている。続く『Good Time Girl』はオルガンの音を活かした'60'sポップスらしいテンポのよいナンバーである。そして、ラストの『Hook And Ladder』は1970年の作品であり、カントリーのテイスト満載というよりも、カントリーという一曲となっていて、アコースティック・ギターの演奏に乗せて優しく歌っているのが印象的である。

NANCYの名前を出すと、そこには父・FRANKの影がつきまとう、というのはどうしても仕方ないことになってしまうが、親の七光りだけであれば「一発屋」として名前を残すことが出来たとしても、時代をリードする立場には到達できない。期間としては長期にわたるものではないにしても、'60'sの後半の一時期にNANCYはトップを占める位置にいた。時代は変わり、サウンドも変わったが、独特の雰囲気を持っていて、ある意味ではそれが完成の領域まで達した'60'sポップスであるが、NANCYはそんな時代を語る上では忘れられない一人である。特に、最近のサウンドに飽き飽きしている方には'60'sサウンドというのは全く違うものであり、それが新鮮に感じるであろうということから、手を伸ばしてみては如何でしょうか。

 

The Hit Years

The Hit Years

  • アーティスト: Nancy Sinatra
  • 出版社/メーカー: Rhino
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD


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