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PEARL JAM『VITALOGY』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1994年に発表されたものである。彼らは'90'sの一つの大きなムーブメントである「グランジ」を代表するバンドであるが、彼らはそれだけではなく、'60'sや'70'sのハード・ロックに新たな解釈を加えて、(当時の)今風なサウンドとして、新たなハード・ロックのイメージを確立させたバンドである。ということもあって、どうしてもNIRVANAと比較されることのある彼らであるが、ロック・スピリッツに関しては彼らの方がより高ものを持っていると筆者は感じている。また、本アルバムからは実験的なものに挑むようになり、こういう所は'70'sのプログレに繋がる動きと共通する部分があり、筆者は大いなる賛同者である。

また、筆者が所有している本アルバムは、当然のことながらUS盤であるが、通常のプラスチックのCDケースに入っているのではなく、サイズはCDケースを縦にした大きさであるが、書籍のような構成となっていて、30ページ強のブックレットにCDが付いているという形のものである。(現在でもこれと同じものが入手可能かどうかは分かりませんが、中古でお探しの方のために、ディスク番号を記しておきます。「EK 66900」(Sony M.E.)但し「EPIC」レーベルです。)ということで、サウンドだけでなく、コレクター心をくすぐる一枚でもある。

では、サウンドの方に触れることにする。最初に流れる『Last Exit』はなかなかパワフルなロック・ナンバーであり、まずはナイスな立ち上がりとなるが、続く『Spin The Black Circle』のパワフルでテンポの良いハード・ロック・サウンドで一気にテンションが上がる。また、ここには'70'sのハードロックのサウンドの魂を見ることが出来る。続く『Not For You』はミディアム・テンポのロック・ナンバーであるが、パワフルな所もこの曲の魅力である。続く『Tremor Christ』はギターのビートが唸っているミディアム・テンポのボーカル・ロック・チューンであり、ギターの音がたまらなく嬉しい一曲である。続く『Nothingman』はミディアム・テンポのボーカルを主体とした一曲であるが、ボーカルが動、メロディの方が静という感じになっている聴き応えのあるロック・ナンバーである。続く『Whipping』はパワフルで迫力のあるハード・ナンバーである。

Pry, To』は曲間を繋ぐための約1分のブリッジ曲であるが、この曲以降が「DIVISION TWO」というくくりになっている。続くはポップな要素をもつロック・チューンである『Corduroy』がパワフルに広がる。続く『Bugs』はロックとは一転して、カントリーではありがちなアメリカのロックの原点に通じる単純な音にあっけをとられる一曲であるが、続く『Satan's Bed』では、またもパワフルなロック・サウンドを奏でてくれる。(こういう所も筆者は好きなのですが...)

続く『Better Man』はスロー・テンポなバラード・ナンバーの姿で立ち上がり、そこからパワフルなロック・チューンへと変貌するところがナイスな一曲であり、これに続く『Aye Davanita』は派手さはないものの、ちょっとツボをついたようなリズムの一曲であり、面白い一曲である。続く『Immortality』はスロー気味のミディアム・テンポのロック・チューンであり、ギターのサウンドが魅力を放っている一曲でもある。(ギター・サウンド好きの筆者はこういう曲に惹かれます。)ラストを飾る『Hey Foxymophandlemama, That's Me』は7分を越える大作であり、本アルバムにおける彼らの一つの回答でもある。ストーリー性を持ったこの曲は、どこかでプログレの大作指向ということも感じることが出来るスケールの大きな曲でもある。

'90'sのグランジという流れでは欠かすことの出来ない彼らであるが、そんな彼らが脱・グランジということからまとめた一枚が本アルバムである。ここには'70'sのハード・ロックに通じるスピリットがあり、当時のサウンドを単に再現するのではなく、自分たちのロック・スピリットがしっかりとあるからこそ生まれた活きの良い(ハード)ロック・ナンバーが集まっている。また、本アルバムはBillboardのレギュラー・チャートで、1994年の暮れに1週間だけNo.1に輝き、1995年の年間アルバム・チャートでも6位に輝いていることから、大きく支持されたことは明かではある。(が、1994年と言えば、Billboardの集計方法に改革が行われた年でもある。この改革によってBillboardの権威も失墜したので、1994年以降の年間チャート、レギュラー・チャートについては、筆者はそれ以前とは一線を引いて参考資料扱いに格下げしている。

いずれにしても、'90'sのロックを語る上では欠かすことの出来ない一枚であることには変わりはない。是非、耳にしてもらいたい一枚である。

 

Vitalogy

Vitalogy

  • アーティスト: Pearl Jam
  • 出版社/メーカー: Sony
  • 発売日: 1994/12/06
  • メディア: CD


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