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OLIVIA NEWTON-JOHN『SOUL KISS』 [音楽(洋楽)]

「O」のアーティストは正直言って数が多くないということで、3度目の登場となるOLIVIAです。今回ピックアップしたアルバムは1985年に発表したものであるが、このアルバムは今ひとつパッとしなかった一枚であった。(プロデューサはお馴染みのジョン・ファラーということで、OLIVIA節というものは十二分に堪能できるのですが...)前作「PHYSICAL」から3年10ヶ月ぶりということ、前作「PHYSICAL」は1982年のBillboard年間アルバム・チャートで15位(シングル「Physical」は同年の年間シングル・チャートの1位)という大ヒットを記録していたことから登場が待ち望まれたアルバムであったが、やはり待たせすぎということなのであろう。しかし、「PHYSICAL」と本作の間には新曲が入った2枚目のベストアルバムがリリースされているので、4年近くも間が空いたという感覚は薄かったのですが...

また、本アルバムの邦題は「麗しの瞳」と付けられているが、アルバムの原題は「SOUL KISS」である。また、アルバム・タイトル・チューンの邦題は「ソウル・キッス」(原題は当然「Soul Kiss」)である。本アルバムは筆者が洋楽アルバムや曲名としてつけられる「邦題」を徹底的に嫌うことを決定づけたアルバムでもある。ということで、筆者は、OLIVIAに『SOUL KISS』というアルバムがあることは知っているが、「麗しの瞳」というアルバムは存在していないということにしている。

まずは『Toughen Up』。彼女らしいサウンドの一曲で、OLIVIA健在という所を見せてくれるボーカル・ナンバーである。続く『Soul Kiss』はスローテンポなボーカル・ナンバーであるが、力強さのあるOLIVIAのボーカルの魅力が満載の一曲(シングル・カットされました)、続く『Queen Of The Publication』はポップでいかにも彼女の曲というものであるが、面白いのはこの曲がパパラッチ(いわゆるゴシップを追う記者)のことを歌っているという所である。こういう皮肉めいたことが出来るようになったOLIVIAもまた魅力的なのですが...

続く『Emotional Tangle』はバラード・ナンバーで、この曲は「妖精・OLIVIA」の世界である。続く『Culture Shock』はちょっとファンキーな要素のある彼女らしいサウンドの一曲で、力強いOLIVIAのボーカルが魅力的な一曲である。(尚、OLIVIAのボーカルは、「パワフル」という言葉は似合わないため、「力強い」という表記をさせてもらっている。)

Moth To A Flame』は'80'sのOLIVIAというテイストの一曲で、大ヒット曲「Phisical」以降の路線のOLIVIA節である。当然のことながら彼女特有のボーカルは健在である。続く『Overnight Observation』はビートが利いたミディアム・テンポのボーカル・ナンバーで、冒頭のOLIVIAの囁きはちょっとセクシーであり、ここには「妖精・OLIVIA」の姿はない。ということもあって、ちょっと雰囲気の異なる一曲である。続く『You Were Great, How Was I?』はカール・ウィルソン(ビーチボーイズのメンバーです)とのデュエット・ソングであるが、スロー気味のテンポといい、メロディラインといい、これまでにも多くのデュエット・ソングを持つ彼女であるが、なかなか良い感じの一曲である。(どことなく「グリース」を思い出させてくれます。)

続く『Driving Music』はテンポの良いポップ・ナンバーで、爽快感を残してくれる一曲である。これに続く『Electric』も同じ傾向の曲であり、テンポのいい一曲である。この頃から隆盛を極めることになるエレ・ポップとは少し違う要素を持っているが、エレ・ポップに近い要素も持っている曲である。印象的なのは何と言っても冒頭の雷鳴の音と、切れた電線から放電している音である。尚、この曲はジャケットの方では特に独立した曲としては扱われておらず、前曲『Driving Music』の後半として扱われている。

ラストを飾る『The Right Moment』は静かなバラードであるが、メロディラインといい、OLIVIAの透明感のあるハートフルなボーカルといい、「天使の曲」を耳にしているような雰囲気を与えてくれる。

セールス的には今ひとつであったが、彼女の魅力は十二分に詰まっていて、そんなに悪い内容のアルバムではない。'70'sの妖精から脱却し、「PHYSICAL」からの大人の女性としての新たな魅力を見せてくれている。(でも、後にリリースする「WARM AND TENDER」(1989年)のことを考えたら、壁に当たっていたことも否めない。)やはり4年近くという空白期間が大きく影響しているということであろう。何せ、'80'sになってからは時代の変化も'70'sよりも早くなり、'80's初頭にはS.イーストン、マドンナ、C.ローパーと言ったビッグネームが次々と登場し、ヒットを放ち続けてきた。いかに'70'sからの実績のあるOLIVIAといえども、'80'sになってからの実績は大ヒット曲「Phisical」があると言っても彼女たちの前では霞んでしまったのは否めない所である。しかし、'70'sの「妖精」の魅力が失われるものではない。ポップなOLIVIAも楽しみましょう。(でも、万人にお奨めというのではなく、分かる方だけにお奨めしたいという一枚でもある。)

 

Soul Kiss

Soul Kiss

  • アーティスト: Olivia Newton-John
  • 出版社/メーカー: MCA
  • 発売日: 1993/05/25
  • メディア: CD


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