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JULEE CRUISE『FLOATING INTO THE NIGHT』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1989年に発表されたものであるが、何と言っても本アルバムはアメリカ中を席巻したTVドラマ『ツイン・ピークス』(「序章」が1989年に、更にシリーズとして1990~91年に、更には翌1992年に劇場版が製作された。)で3曲(『Falling』『Into the Night』『Nightingale』)が使われたことでも注目された。(TVシリーズのサントラ盤にも収録されている。)また、本アルバムのプロデューサは「ツイン・ピークス」のコンビであるデビッド・リンチとアンジェロ・バダラメンティということもあって、アルバム全体に「ツイン・ピークス」の独特の世界観が漂っている。でも、ちょっと怪しげながらも透明感のある彼女のボーカルは非常に味があり、心を和ませてくれる音楽として脚光を浴びることにもなった。

まずは『Floating』という幻想的な曲によってその世界に足を踏み入れることになるが、スローなテンポの中にも安堵感を与えてくれる不思議な優しさを感じることが出来る。続くは「ツイン・ピークス」を代表する曲である『Falling』である。あまりにもスローなテンポのメロディアスな一曲であるが、どこまでも澄み渡った透明感のあるボーカルは心を洗ってくれる。また、この透明感と不思議な響きが「ツイン・ピークス」という物語にもマッチしたこともあり、この曲を耳にするだけで「ツイン・ピークス」の数々のシーンが目に浮かんでくる。(「ピークス・マニア」ならば当然のことである。)続く『I Remember』も静かでスローな曲に乗せて透明感のある彼女のボーカルが冴え渡る一曲である。また、この曲ではサックスのサウンドが厚みを与えており、途中から幻想的でありながらも不思議な世界に誘う曲調の変化に対しても抑えのスパイスとなっている。

続く『Rockin' Back Inside My Heart』は本アルバムの中ではポップな一曲であり、テンポも早い曲となる。(それでもややスローなミディアム・テンポのボーカル・ナンバーである。)どこかに'50's調のノスタルジーを感じる優しい一曲である。続く『Mysteries of Love』はまたも幻想的でスケールの大きな一曲であり、この辺りとなると教会のパイプ・オルガンによる宗教音楽のような感じもしてくる。それだけスローで透明感のあるサウンドであり、優しく、暖かく包んでくれる。続く『Into the Night』はセンチメンタルで哀愁感漂うメロディながらも、透明感に満ちあふれたボーカル・ナンバーである。この曲も「ツイン・ピークス」で使われ、夜の森を何かと思わせてくれる。しかも、終盤に突然響き渡る部分は何もないと思われていた所に突然何者かが現れたという印象を与えてくれることになり、ドラマティックな演出もされている。(「ピークス・マニア」としたら忘れられない一曲でもある。)

続く『I Float Alone』はブラス系のサウンドが厚みを与えている幻想的な一曲であり、透明感のあるボーカルが心を癒してくれる。(この頃になると、もはや幻想的なサウンドに酔いしれている自分に気がつくことになる。)続く『Nightingale』は「ツイン・ピークス」でも使われた曲であり、「ピークス・マニア」にしたら忘れられない曲の一つである。この曲は幻想的な部分もあるが、他の曲と比べるとボーカル色がより強く感じられる聴かせる曲である。続く『Swan』は幻想的なサウンドをスローなテンポで繰り広げる優しい一曲である。ラストの『World Spins』も幻想的な雰囲気に満ちた一曲であるが、この曲には何処かに「ツイン・ピークス」を思わせるフレーズがある。それは本アルバムの2曲目の『Falling』に対する追加の処方箋のような感じでもある。が、「ツイン・ピークス」に捕らわれずに幻想的な世界の終着駅に聴いている者を導いてくれる天使の囁きのようにも感じることもできるのもこの曲のいい所である。とにかく、じっくりと聴き込むことで心が安らぎ、和らぐことになる。

彼女はデビッド・リンチ監督のお気に入りということで、リンチ作品にも出演しているが、役者としてではなくシンガーとしての魅力を本アルバムでも示してくれている。本アルバムが発表された当時は「癒し系」という言葉はまだ無かったが、ENYAと共にその分野を開拓していくことになった。その後、混迷の'90's、殺伐とした世の中となっていったことを思えば、流石はデビッド・リンチ監督である。数年早く世の中に登場させたということが出来る。(発表から15年以上の歳月が流れているが、)こういう心を洗ってくれるサウンドには時の流れたことを忘れさせてくれる力がある。心のリフレッシュのためにも本アルバムは常備薬の一つとして手持ちに置いておきたいアルバムの一枚である。(処方する場合は、部屋を暗くして、視覚的にも余計な情報が入らないようにして聴くことにすれば、「最高~」です。)

 

Floating into the Night

Floating into the Night

  • アーティスト: Julee Cruise
  • 出版社/メーカー: Warner Bros.
  • 発売日: 1990/05/09
  • メディア: CD


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