BIG MOUNTAIN『UNITY』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1994年に発表されたアルバムであり、そのサウンドはレゲエである。レゲエと言えば、'80's中頃にUB40などが取り上げたことから注目され、'80's終盤から始まるワールド・ミュージックの火付け役になったサウンドである。元々は'60'sにジャマイカで生まれたものであり、黒人ダンス・ミュージックにアメリカ・ソウル・ミュージックの影響を受けて成立し、初期にはボブ・マーリーがその中心的なアーティストであった。それからジャマイカ移民の多いイギリスでも発展したが、アメリカでも別の発展を遂げた。ソウル・ミュージックの血が流れていることから、ハートフルな曲が多く、また社会的なメッセージを含んでいる曲もある。
本アルバムでは、後者の系譜があり、啓蒙的なメッセージが含まれているが、全体的に優しいサウンドであり、重々しさは全くなく、安心して聴いていることが出来る。レゲエというと、ミディアム・テンポからスローなテンポの曲が多いが、心を洗われる優しいサウンドというのはとても良いものである。
まずは『Fruitful Days』から始まる明るく楽しいレゲエ・サウンドであるが、ミディアム・テンポで繰り広げられるこの曲で、その楽しいサウンドの世界に一気に引き込まれる。続く『Border Town』は、レゲエとしたらややスローなテンポの曲であるが、リズミカルでじっくりと聴かせてくれる一曲である。続く『Upful & Right』はアコースティック・ギターを中心としたシンプルなサウンドの一曲で、美しいコーラスを天皇出来る一曲、続く『Sweet Sensual Love』は、これが「レゲエ」だというリズム、メロディの一曲で、ややスロー気味の一曲で、ここでも美しいコーラスを堪能できる。
続く『I Would Find A Way』はポップのエッセンスが混じったレゲエであり、ミディアム・テンポで優しく語りかけてくれるようなサウンドはとてもハートフルであり、心を洗われる感じがする。続く『Tengo Ganas』はスローなテンポの一曲で、メロディアスなギターのサウンドが印象的な優しく、かつちょっとメロウな一曲、続く『Baby, I Love Your Way』はシングル・カットされて大ヒット（1994年のBillboard年間シングル・チャートでは21位にランクインしており、レギュラー・チャートでは最高位6位を記録している。）を記録した一曲である。優しく包み込んでくれるメロディ、コーラスは秀逸である。
続く『Young Revolutionaries』はアコースティック・ギターによるサウンドの一曲であり、レゲエというよりはカントリーといったテイストのするハートフルな一曲である。続く『Revolution』は一転して、これが「レゲエ」というサウンドの曲となり、更にはエレキ・ギターのサウンドがひと味違った雰囲気を生み出していて、じっくりと聴かせてくれる一曲となっている。続く『Time Has Come』は、冒頭のコーラスが異色と感じさせてくれるが、リズムを刻むドラムやベースの音が引っ張っていくちょっと異色のレゲエ・ソング、続く『Big Mountain』は雷鳴の音で始まり、ドラマ仕立ての7分を越える大作である。曲の方はゆっくりとしたテンポで進んでいき、ハートフルで優しいメロディの一曲で、心を洗ってくれる。また、曲の最後も降雨の中の落雷の音で締めてくれる。
以下はボーナス・トラックということになり、2曲が収められているが、この2曲は共にスペイン語で歌っている曲である。そのため、曲名もスペイン語となっていて、括弧付けでスペイン語であることが分かる用になっている。まずは『Baby, Te Quiero Ati(Spanish Version)』であるが、英語バージョンの曲と聴き比べてもらいたいところであるが、言語が違うだけ（曲のアレンジは変わらない）で雰囲気が異なっている。が、この曲は大ヒットした曲でもあり、メロディには聴き慣れたこともあり、違和感などは全く感じない。もう一曲の『Un Sensual Amor(Spanish Version)』スペイン語による曲であるが、「レゲエ」という雰囲気は変わっていない。
長時間にわたって、また、毎日何度も聴いているよりは、ある時に集中して聴いた方が、レゲエというゆったりとしたテンポの曲を聴くには向いているという気がするのだが、そうやって聴くと、心が癒されることになる。また、せせこましい日常生活からの気分転換にもなり、心を洗ってくれる。ということで、本アルバムは常備薬のような感覚でライブラリーに加えておき、時々耳にする、というのにピッタリの一枚である。
- アーティスト: Big Mountain
- 出版社/メーカー: Giant
- 発売日: 1994/07/19
- メディア: CD
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