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MADONNA『I'M BREATHLESS』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1990年に発表されたもので、マドンナ自身が出演した映画「ディック・トレイシー」の中で使われた曲も含まれている。(サントラ盤というものではありません。)彼女のアルバムの中では不評の声が多い一枚である。何せ、本アルバムが発表された当時と言えば、まさにマドンナは絶頂期であり、ポップなサウンドを期待されていたが、全く違う'50'sサウンドを思わせるジャジーなボーカル・ナンバーを中心にしたものである。これはこれで新たなチャレンジとして評価することは出来るが、明るく楽しいマドンナとはかけ離れたものである。が、セールスの方はそれなりに売れていて、1990年のBillboard年間アルバム・チャートでは42位にランクイン(レギュラー・チャートでは最高位2位)している。(こういう所は、「腐っても鯛」やっぱりマドンナである。)マドンナということではなく、'30'sから'50's風サウンドをということで聴くのがいいアルバムである。(たまには酷評もします。)

再生を始めると、今までのマドンナとは全く違うサウンドが展開される。『He's A Man』はスローなテンポのボーカル・ナンバーであり、どことなく'50'sの面影のある一曲である。続く『Sooner Or Later』も'50'sサウンドを意識したスローなテンポの一曲であり、あのマドンナは何処へ行ってしまったの?と思わせてしまう。続く『Hanky Panky』は'50'sのビッグ・バンド風の一曲で、リズミカルな所は彼女らしさがあるものの、ジャジーなこの曲はマドンナの持つイメージとは違うものである。

続く『I'm Going Bananas』はカリブ海の陽気な雰囲気を漂わせる一曲であり、明るいところはマドンナらしいのだが、ボーカルがちょっと軽くてマドンナとしては不完全燃焼という一曲で終わってしまっている。続く『Cry Baby』はやはり'50'sを意識したちょっとジャジーな一曲というだけの仕上げ、更に『Something To Remember』はスローなテンポのバラード仕立てのボーカル・ナンバーで聴かせてくれるのだが... 続く『Back In Business』もまた'50'sのジャジーな雰囲気を漂わせたテンポの良い一曲であるが、それだけに終わっている。続く『More』もジャジーなピアノのメロディを中心とした'50's風サウンドの明るい一曲である。

続く『What Can You Lose』はスローなテンポのジャジーなデュエット・ソング、続く『Now I'm Following You, Part. 1』は'30'sのクラブでは盛んに演奏されていたようなメロディの一曲で、タップを踏む音が印象的、続く『Now I'm Following You, Part. 2』は前曲からの続きを'90's風のサンプルを行った一曲であるが、どうも'30'sと'90'sでは時代が違いすぎるのか、空回りしている。ラストの『Vogue』は、これまでの曲とは完全にかけ離れた一曲であるが、この曲はマドンナらしいリズミカルでポップな一曲であり、1990年に3週連続全米No.1に輝き、同年のBillboard年間シングル・チャートでも堂々の5位に食い込んだ大ヒット曲である。どうして本アルバムに収録されているのか、全く世界観が違う一曲となってしまい、本アルバムでは浮いた存在になってしまっている。だが、往年のスターの名前が次々と出てくる所は気持ちが良い所でもある。

ラストの『Vogue』が収録されていなければ、本アルバムはそれはそれなりに纏まりが出来たアルバムということになり、もう少し良い評価が得られたことになっただろう。ということで、マドンナのアルバムを全て集めているというコレクターに取っては必須のアルバムであるが、そうではない方は相手にしないというのがいいでしょうね。尚、'30'sから'50'sのサウンドに触れたいと言う方にも、他のいいアルバムがたくさんありますが、今までポップスを中心に聴いていた方が興味を持った、というのであれば、とりあえずはいいのかも...(尚、『Vogue』であれば、ベスト盤には収録されているので、そちらで堪能すると言う方が、他の曲とのバランスも取れるでしょうね。)トータル評価では「外れ」というアルバムであるが、それでもセールスに関しては凄いというのは、流石はマドンナというところですな...

 

I'm Breathless

I'm Breathless

  • アーティスト: Madonna
  • 出版社/メーカー: Warner Bros.
  • 発売日: 1990/05/10
  • メディア: CD

↓映画「ディック・トレイシー」はこちら

ディック・トレイシー

ディック・トレイシー

  • 出版社/メーカー: ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
  • 発売日: 2006/01/25
  • メディア: DVD

↓そのサントラ盤です。

ディック・トレイシー

  • アーティスト: K.D.ラング&テイク6, ジェフ・ビンセント&アンディ・ペイリー, ジェリー・リー・ルイス, ブレンダ・リー, アンディ・ペイリー, トミー・ペイジ
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1990/07/25
  • メディア: CD


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