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MERYN CADELL『ANGEL FOOD FOR THOUGHT』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1992年にリリースされたものであり、ソウルフルなボーカル・アルバムである。が、ボーカル・アルバムというよりも語りを含めたトータル・コンセプト・アルバムと言った方がよいものである。そのため、収録曲(曲と言えないものもあります)は20トラックと言うことになっているが、この中で曲と言えるものは実質的には半分に達していない。更に収録時間も36分弱ということで、音楽的なことから言えば典型的な「不景気レコード」という認定を行うのだが、それ以上に内容の方がちょっと面白い。「語り」というものも、ハートがあり、更にそれを多用するとなると、これはメロディを持たない音楽のような感じを受けるようになる。本アルバムにはそういった「語り」の美学というものがある。「音楽」としてではなく(もちろん、「朗読」等ではない)新たな「聴きもの」としての可能性を感じさせてくれる。(が、セールスなどでは大したことがなかった...)

アカペラの『Secret』から始まるが、この曲は導入部という感じの一曲で、1分少しというものである。歌唱力があるからこその一曲である。続く『Bumble Bee』は、語りとアカペラによるものであり、まだまだ肩慣らしといった所、続く『Flight Attendant』は飛行機の機内放送のを彼女が語るものであり、独立したトラックになっているものの音楽(曲)ではない。続く『Being in Love』はアカペラのワンコーラスの繰り返しと語りであり、これも曲とは言い難いもの、続く『Inventory』で、ようやく音楽と言える楽曲の登場となるが、アコースティック系のサウンドのソウルフルなボーカル・ナンバーである。続く『Deep Sixin'』はリズムを刻むドラムの音が心臓の鼓動音のように包み込んでくれる静かなボーカル・ナンバーである。

続く『Knitting』は語りかけであって、アコースティック・ギターによるボーカル・ナンバーの『I Say』に繋いでくれて、フォーク調の優しいボーカルを聴かせてくれる。続く『Wait』は語り、『I Been Redeemed』は語りとアカペラによるもの、『Spelling Bee』は語り、というように、独自のスタイルが続く。そんな中、久しぶりに本格的なイントロが流れてくる『The Sweater』であるが、これは曲に乗せての語りかけである。(変形のラップという考えもあるかもしれないが、やっぱり「語り」です。)続く『Job Application』も語り、続く『The Pope』は'30'sのジャズを思わせるジャジーなピアノの音が印象的なボーカル・ナンバーである。

続く『Sharkhead』は効果音付きの語りといったものであり、『Martina』は語りであるが、やや早足で歩くヒールの靴音に合わせたリズミカルな語りである。(が、リズムに合わせた音階のない音楽という解釈も出来る。)続く『Maidenform』は語りではあるものの、僅かにずらした多重音声というもので、ちょっと面白いものである。で、3トラック続いた語りから、久しぶりの音楽トラックとなる『Confide』はアコースティック・ギターを中心としたフォーク調の優しいボーカル・ナンバーである。19秒という語りのトラック『Clothes』を挟んで、ラストの『Barbie』はアカペラによる優しいスローなテンポのボーカル・ナンバー(アカペラてこういうのも何か変ですが...?)

音楽を聴き込みたいという方には本アルバムはとても耐えられるというものではないだろうが、とにかく新たな試みとしたら面白いものである。考え方としては「リズムに乗らないラップ」という解釈をしてもいいだろうが、そういうのは「ラップ」と言えるのか?という疑問もあるし... とにかく、まずは本アルバムに接してみて、それから「好き/嫌い」を判断してもらいたい所である。(が、大きくブレークしなかったという結果を考えると、後者だという意見が多かったのは火を見るよりも明らかだったのですが...)

 

Angel Food for Thought

Angel Food for Thought

  • アーティスト: Meryn Cadell
  • 出版社/メーカー: Warner Bros.
  • 発売日: 1992/04/14
  • メディア: CD


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