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ORCHESTRAL MANOEUVRES IN THE DARK『ORCHESTRAL MANOEUVRES IN THE DARK』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1980年に発表された彼らの1st.アルバムである。が、筆者が所有している輸入盤(US盤)には「1987年」という表記があり、1980年という文字は何処にもない。当然、解説書(歌詞カード)も無く、内容を述べているものは無く、そこにも「1987年」という数字がある、というちょっと不思議なアルバムである。(強いて言えば、LPで1980年に発表され、CD化されたのが1987年ということになるのかもしれない。が、それであってもオリジナルをリリースした「1980年」という表記が消えるとは(著作物であるので)おかしいことになる。いくら何でもそこまで無知な会社だと、CDなんてリリースできない。)

彼らのサウンドは、シンセサイザーを用いた「エレ・ポップ」というものであるが、この言葉は1980年当時にはまだ存在していないものである。では、何を用いたらいいのかということになるが、本アルバムにおけるサウンドとしては「テクノ」という言葉がピッタリのサウンドである。(所謂「テクノ・ポップ」ということになる。)また、当時としたらかなり実験的なサウンドにも挑んでいて、シンセサイザー全盛の現在となっては、これがまた面白く感じられる。

まずは、これぞ「テクノ」という言葉がピッタリの『Bunker Soldiers』というシンセサイザー・サウンドの一曲でスタートする。明るい曲調で、しかもリズミカルなこの曲はまさに「テクノ・ポップ」というにピッタリの一曲である。続く『Almost』はミディアム・テンポの一曲であり、シンセサイザーの無機質なサウンドがスケール感豊かに響いてくる一曲である。続く『Mystereality』はシンセサイザーのビートがサックス調に繰り広げられる一曲で、サウンドとしてはシンプルな構成で、「初期のテクノ」という感じの一曲である。続く『Electricity』は後の「エレ・ポップ」に繋がるリズミカルでテンポの良いポップスというサウンドの一曲であるが、'80's初期ということを考えたらなかなかのサウンドである。(今となったら、単純でシンプルなサウンドということになる。)が、これがほのぼのとした気持ちにさせてくれる。

続く『The Messerschmitt Twins』はかなり実験的な一曲で、不思議な世界に誘ってくれるサウンドの一曲で、スローなテンポの曲でもある。'70'sにはロックの世界で「プログレッシブ・ロック(プログレ)」というものが台頭して新たなジャンルとして確立したが、そういうことを思わせてくれる一曲でもある。(が、シンセサイザーの技術進歩のペースが速すぎて、シンセの世界ではそういうものは確立されませんでしたが...)続く『Messages』は後の彼らのヒット曲『Enola Gay』に繋がるようなスケールの大きなエレクトリック・ビートの利いたテンポの良いポップス系の一曲である。(でも、現在であれば、シンプルなメロディの一曲ということになってしまう...)続く『Julia's Song』はシンセサイザーのビートが半歩下がったところにあるミディアム・テンポのロック系の一曲であり、これも一つの実験的なサウンドであり、「テクノ」とはまた違った味のある一曲である。

続く『Red Frame/White Light』はリズミカルでテンポの良い明るいサウンドの一曲であるが、シンセサイザーのサウンドとしては比較的単純でシンプルなものであり、メロディ・ラインを任せたものである。(これも一つの実験ということになる。)続く『Dancing』はシンセサイザーならではのエフェクトを多用した作りのサウンドであり、シンセサイザーの可能性の広さを示した一曲であり、'80年当時らしいサウンドでもある。ラストの『Pretending To See The Future』はややスローなテンポのドラマチックな構成を持った一曲であり、無機的なシンセサイザーのサウンドと、有機的な人間のコーラスやボーカルが不思議な魅力を醸し出して融け合った一曲である。

シンセサイザーは'70'sの時代にもあったが、一気に広がりを見せたのは'80'sになってからのことである。当時からいくつかのグループが活きの良いサウンドを聴かせていたが、その可能性、幅の広さは十分に出し尽くされていなかったということもあり、実に色々なアプローチから様々なサウンドの曲が登場したが、本アルバムはいくつかの実験的なサウンドが面白い音を生み出していて、それが時を経て成熟したサウンドを奏でている現在から見てみると、チープな感じとして映るが、そこがまた面白いところである。「テクノ」という雰囲気と後の「エレ・ポップ」という雰囲気、更には実験的なサウンドと、まさにシンセサイザー・サウンドの創世記の見本市というような内容のサウンドは聴き所満載である。

 

Orchestral Manoeuvres in the Dark

Orchestral Manoeuvres in the Dark

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Virgin Vip
  • 発売日: 1998/08/31
  • メディア: CD


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