WHITNEY HOUSTON『I'M YOUR BABY TONIGHT』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1990年に発表された彼女の3枚目のアルバムである。が、本アルバムではサウンドの方に変化が見られていて、ソウルフルなボーカル・アルバムとなっている。が、このサウンドの変化は中途半端なものではなく、本格的なブラック・ミュージックへの帰結となり、'80's終盤から見られたブラック・ミュージックの台頭とダンス系ビートは時代にマッチするものとなった。しかし、前2枚のアルバムのように全米No.1の座は獲得できず、本アルバムはBillboardのレギュラー・チャートでは最高位3位に留まった。（1991年の年間アルバム・チャートでは10位にランクインしている。）とは言え、'90'sでもWHITNEYは健在と言うことを知らしめたアルバムである。
まずはアルバム・タイトル・ナンバーである『I'm Your Baby Tonight』で幕が上がる。ミディアム・テンポのソウルフルなこの曲は全米No.1の座に輝いたヒット曲（1位は1週間のみ）であるが、随分とイメージが変わったものである。ちなみに、この曲は1991年のBillboard年間シングル・チャートでは42位にランクインしている。続く『My Name Is Not Susan』はソウルフルなブラコンであり、ミディアム・テンポのボーカル・ナンバーであり、じっくりと聴かせてくれる一曲である。続く『All the Man That I Need』は2週間にわたって全米No.1の座に輝き、1991年のBillboard年間シングル・チャートでも16位にランクインしたヒット曲であり、優しい彼女のボーカルを堪能できるバラードナンバーである。メロディ・ラインも美しく、落ち着いて聴き込むことの出来る一曲である。続く『Lover for Life』はパワフルでソウルフルな彼女のボーカルを堪能できるミディアム・テンポのボーカル・ナンバーであり、とてもいい雰囲気の曲である。
続く『Anymore』はミディアム・テンポでリズミカルなボーカル・ナンバーであり、実にソウルフルでパワフルな一曲である。続く『Miracle』はスローなテンポのバラード・ナンバーで、透明感のある優しいメロディ・ラインに乗せて、優しく包み込むような彼女のボーカルが魅力的なハートフルな聴かせる一曲、続く『I Belong to You』はミディアム・テンポの優しいボーカル・ナンバーで、ソウルフルでハートフルな優しい彼女のボーカルと、綺麗なメロディ・ラインが大人の雰囲気をあでやかに醸し出している秀逸なボーカル・ナンバーである。
続く『Who Do You Love』はリズミカルなダンス系の一曲であるが、明るく楽しいポップスのエッセンスの利いたミディアム・テンポの一曲であるが、ブラコンのダンス系チューンとして捉えても小気味の良い一曲と言うことになる。続く『We Didn't Know』はSTEVIE WONDERとのデュエットによるミディアム・テンポのぼーかる・デュエット・ソングである。が、'80'sに数多く見られたバラード調のデュエット・ソングではなく、ソウルフルで大人の魅力のあるじっくりと聴かせるボーカル・ナンバーとして仕上がっている。続く『After We Make Love』はスローなテンポのラブ・バラード・ナンバーであって、彼女のとろけるかのような透明感のある澄んだボーカルと、あまりにもメロディアスで美しいメロディにうっとりしてしまう。ラストを飾る『I'm Knockin'』はミディアム・テンポながらもリズミカルであり、ブラコンのダンス系の血を引くダンサブルな一曲である。が、しっかりとした芯のあるソウルフルなボーカルがいい味を出している聴き込むことの出来る一曲である。
今までの彼女のアルバムと比べると、魂の籠もったソウル系への傾倒によって、ボーカリストとしては更に一皮剥けることになった。そして、'90'sという混迷の時代の中でも輝きを失わない素晴らしいアルバムとなった。セールス面では前2作に届いていないが、セールスとアルバムの内容というものは正比例するものではない。とにかく本アルバムの内容は高く、本アルバムを聴かなければ'90'sの音楽（特に、ボーカル系）は語ることが出来ないという名盤である。
※本記事の投稿日時がメンテ中の時刻になっているのは、本件はミラー版に先にUPし、その時刻に合わせたためです。
- アーティスト: Whitney Houston
- 出版社/メーカー: Arista
- 発売日: 1990/10/12
- メディア: CD
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